2014年3月16日日曜日

書評: 世界最高のプレゼン術 World Class Speaking

【本のタイトルは?】
世界最高のプレゼン術 World Class Speaking
著者: ウィリアム・リード (クレッグ・バレンタイン監修)
発行元: 角川書店


【なぜ手を出した?】
一番の理由は、自分自身、人前で喋ることが圧倒的に多いからだ。ほぼ毎日と言っていい。多い時は500人を前に喋るときもある。そのくせ、最近、成長してる感が得られない、ときている。以前、類書で「スティーブ・ジョブズ驚異のプレゼン」を読んだこともあるが、もうその時に得た効果も薄れてしまったような気がする。

【具体的に何が書いてある?】
世界最高のプレゼンテクニックを磨くための指南書だ。世界25,000人以上のスピーカーの中から世界一を決めるコンテスト・トーストマスターズのワールドチャンピオンスピーカーになったクレッグ・バレンタイン(Craig Valentine)氏が本書を監修しているということから、文字通り、「世界最高のプレゼン術」というわけだ。もちろん本書を実際に手がけたリード氏も、バレンタイン氏に師事し、2009年に世界で第一号のワールドクラス・スピーキングの認定コーチになった人だ。

さて、本書を開くとノッケから、著者本人が使った講演資料の解説から始まる。プレゼンのイロハや、なぜプレゼン術を学ぶことが重要か?・・・と言ったテーマから入り込むのが、王道のような気もするが、こうした意表の突き方にもプレゼンテクニックが活かされているといったところか。講演資料解説の後は、2つのテーマに分けたノウハウ紹介が始まる。前段は「コンテンツを作る」、後段は「伝え方を磨く」だ。

【何が特徴的?】
なんと言っても日本人向けを意識して書かれている点だろう。「スティーブ・ジョブズ驚異のプレゼン」でもそうだったが、類稀なる評価を受けているプレゼンターにはそもそも外人が多い。そいう言った人たちが書くものだから、事例も自然と英語が当たり前になる。ところがどっこい。本書の著者はアメリカ人だが、日本に30年以上も住んでいる人だという。だからこそ、本書は明らかに日本人読者を想定して書かれている。先述した「著者本人の講演資料解説」というのも実は、氏が大阪で行った日本語スライドがベースになっている。そんなわけで日本人マインドも心得ているようだ。だからこそ次のようなアドバイスも出てくる。

『英語では"YOU"を使うように指導しています。"あなたは〜"と呼びかけることによって、話し相手と会話をしている感覚になり、距離感も縮まっていきます・・・(中略)・・・日本語では「あなたは〜」「あなたたちは〜」と呼びかけるのは、上から目線で偉そうな印象を与えてしまうので要注意です。』

【何が印象に残った?】
PARTS・・・フレーズ、アンカー、リフレクション、テクニック、セール・・・等、色々なことが印象に残った。中でも一番の印象に残ったのは、シンプルかつ重要なポイントで「リハーサルが大事だ」という点。実はこれ「スティーブ・ジョブズ、驚異のプレゼン」でも全く同じことを指摘していた。やはり慣れてくると、ぶっつけ本番が多くなり、それがおそらく冒頭で述べた成長を感じられない、につながっているんだろう。

【で、オススメか?】
というわけで、人前で話す機会が多い人・・・とりわけ独学で適当にやってきた人には、こうしたインプットは刺激になるのではないか。一冊くらい、こういった本を読んでおくと、すぐにでも明日から使えるヒントが見つかるはずだ。

ただし、私のように本(例えば「スティーブ・ジョブズ驚異のプレゼン」)の内容に感動しても忘れて実践に移してなかった自分に気がつくことも多々あるわけで。今回は同じ過ちを繰り返すまいと、チェックリストを作ることにした次第。皆さんも、おきをつけて。


【類書】
スティーブ・ジョブズ驚異のプレゼン

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