2014年11月30日日曜日

書評: 免疫力をあなどるな!

免疫力をあなどるな!
著者: 矢崎雄一郎
出版社: サンマーク出版
価格:1400円


矢崎医師は、がん根絶のため、”免疫力”を使った治療の研究開発を進めている。本書は、そんな医者が書いた健康を維持するための虎の巻だ。免疫力とは何か? どうして免疫力が大事なのか? 免疫力を高めるために何をしたらいいか? の回答にせまる!

正直、最初にパラパラっと全体をめくってみた直後の私の感想は、「適度の運動しろ、とか、トイレを我慢するなとか・・・あるし、なんか当たり前っぽいことが書いてあるな~」といったもの。ところが、改めて少し丁寧に読んでみると、なるほど、と思えるいくつかの点・・・つまり、本書を読むメリットに気がつく。それが何か?を理解するために、本書の特徴を他書との比較の中で見てみたい。

健康管理本の類書である「50歳を超えても30代に見える生き方」の著者、南雲医師は「命の導火線と呼ばれるテロメアをどうやったらすりへらさずに済むか」を論点にしていた。一方、本書の著者である矢崎医師は、人間が元々持っている病気と闘う力・・・免疫力をどうやって高めるかを論点にしている。免疫力を論点にすると、普段とやや異なった健康管理法が見えてくる、というのが矢崎医師の主張だ。たとえば、運動。長時間の運動は、運動能力を身につける、という意味では良いかもしれないが、健康体を作るという意味ではかえって良くないという。なぜなら、運動のやり過ぎはかえって疲労がたまり、免疫力低下につながるからだ。他にも、「口内細菌の量が免疫力に影響しているということを理由に、歯磨きを1回よりも2回実施するべき」という主張をしておられる。ちなみに、南雲医師は運動なんてするな・・・と主張しておられたが、矢崎医師は運動は汗をかく手前でやめるのがいいとの主張だ。これをどうとるかはあなた次第。私自身は、何事も「過ぎたるは及ばざるがごとし」が当てはまるのではないかなと思っているが・・・。

「へー、そうなんだ!?そんな健康管理実践法があったのか!?」と、魔法のような奇抜で効果抜群の健康管理手法を、知らず知らずのうちに我々読者が求めてしまうのも悪いのだろう。結果的には「当たり前のこと」が割と多く書いてある・・・その印象は、本書を丁寧に読んだ後も、さほど変わらない。

でも、それは逆に言えば、明日からすぐにでも実践できることばかりが書いてあるということだ。実際、「納豆キムチが免疫力アップに良い」という著者の主張を読んで、明日から早速買ってたべようとおもってるくらいなのだから。

2014年11月10日月曜日

書評: できる人はなぜ、本屋で待ち合わせをするのか?

なかなか、キャッチーなタイトル。ご本人の知恵なのか、出版社の知恵なのか、わからないが、良い意味でだいぶ策士だなという印象を持った。

できる人はなぜ、本屋で待ち合わせをするのか?この「ひと工夫」が一流の人生を作る。
著者: 臼井由妃(うすい ゆき)
出版社: 翔泳社



■誰が書いた、どんな本か?


ビジネスで成功を収めた主婦が書いた自己啓発本。ビジネスで成功するための基本的な心構えや、時間の使い方、発想力を高める方法など、「成功する人のシンプルな習慣37」と題して、紹介している。

どれだけ成功した方かと言うと、日本テレビの「マネーの虎」で、投資家たる審査員の側で出演していたほどの方・・・とのこと。お金の面では、相当な成功者と言えるのだろう。ちなみに、ネット上では年商20億円以上を稼ぐ・・・という数字が出ていた。

プロフィールを簡単に拝見すると、
  • ガンに倒れた夫の後を継ぎ、専業主婦から健康器具販売の社長に転身
  • 独自のビジネス手法で通販業界で成功をおさめる
  • 多額の負債を抱えていた会社を優良企業に変える
  • マネーの虎に出演し人気を博す
と、ある。

■成功する人のシンプルな習慣37とは?

本書は、成功する人のシンプルな習慣37を、1つあたり約3~4ページ弱割いて解説している。具体的にはたとえば、発想力を高める習慣の1つに「行列では必ず立ち止まるべし」というものがある。著者は、次のように解説している。

「いったいこの行列はなんだろう?」

こうした時、あなたは立ち止まりますか? それとも、スルーするでしょうか?

工夫上手な人、アイデア豊かな方、仕事ができる人は、必ずと言っていいほど、行列を見つけたら立ち止まります。ある金融機関の支店長は、移動中でも・・・

(できる人はなぜ、本屋で待ち合わせするのか? ヒットを生み出す発想法より)

と、こんな感じだ。

■本書最大の特徴は?

さて、私は書評を書く際に、その本にしかない魅力について触れるよう最大限努力しているが、さすがに世に溢れる自己啓発本ともなると、もうそうした魅力を見つけるのは至難のワザと言わざるを得ない。それが嘘偽りのない感想だ。そうした中でもあえて、本書の魅力を挙げるとすれば、私は次の3つではないかと思う。

1つ目は、主婦・・・いや、女性が書いた本であるということ。文章に柔らかさを感じるとかそういうこともあるが、女性目線で書かれている・・・と感じるときがあり、それが男性読者には考えたこともなかった新鮮みを感じさせ、女性読者には親しみを感じさせる・・・そんな効果を生んでいるのではないかと思った。たとえば、37の習慣の1つに「家事の工夫から仕事を学ぶ」というものがあるが、これなんかまさにそう。

2つ目は、「シンプルな(習慣)」という形容詞に現れているように、本当にシンプルな指摘であること。悪く言えば当たり前、よく言えば誰もがおさえてソンはない基本中の基本・・・そんな内容が紹介されているのだと言える。

3つ目は、表題がキャッチーであること。本そのもののタイトルもキャッチーだと思いますが、37の習慣それぞれにつける表題がこれまたキャッチー。たとえば、「ブラジャーについて本気で考える」「机はギリギリまで小さくする」「忙しいときは桃太郎をゆっくり語る」・・・こんな表題を見ると、「いったい何が書いてあるんだろう?」と興味をひかれてしまう。それが比較的上手だと思う。

■誰が読むのがいいか?

自己啓発本の書評の最後はいつもこんな感じになってしまうが、既にこれまでに類書を何冊も読んできている人に、改めてこの本を読むことはおすすめしない。もし、類書をそれほど読んでいなくて、他の本よりも先に、この本にたまたま出会った・・・という人ならば、手を出してみたらどうかと言いたい。とりわけ、著者自身が女性であることから、女性の方・・・そして、内容のシンプルさから新人ビジネスマンなどに向いているのではないかと思う。

先述したように、キャッチーな表題が多いので、ぱらぱらっとめくってみて、「おっ!?これ何だろう?」と目を引いた表題のみ、目をとめて読んで見る・・・そんな読み方をするのもアリではないかと。


書評: 3 行で撃つ <善く、生きる>ための文章塾

  「文章がうまくなりたけりゃ、常套句を使うのをやめろ」 どこかで聞いたようなフレーズ。自分のメモ帳をパラパラとめくる。あったあった。約一年前にニューズ・ウィークで読んだ「元CIAスパイに学ぶ最高のライティング技法※1」。そこに掲載されていた「うまい文章のシンプルな原則」という記...