2013年8月27日火曜日

今日の気付: 日本酒ブームなのに酒米が生産できない裏事情

WEDGE9月号にて、日本酒の獺祭(だっさい)が売れてるけど困っているとの記事を発見。

『(獺祭)など日本酒の売り上げが伸びているのは)日本酒全体の出荷量は減り続けているものの、醸造アルコールを添加しない米だけで造る、純米酒や純米吟醸(精米歩合60%以下)の増加や輸出ののびがもたらした結果だ。しかし、これ以上の増産となると難しい。というのも、山田錦をはじめとした酒造好適米は、主食用米と同じく「生産数量目標」の内数となっているからだ。要するに生産数量に制限がかけられているのである。』 
(WEDGE9月号 「日本酒ブームなのに酒米・山田錦が足りない」より)

わたくしの感想)
何とも信じがたい。山田錦をもっと生産してくれっ!と酒造メーカーが頼んでるのに、農水省の「生産数量目標」のせいで、作れないとは・・・。農水省は「そもそも、こうなる制度を望んだのは農家だし、酒造好適米を生産していない農家が不利になるので、彼らは制限解除を望んでいない」と主張するが、以前、不利が起こらないように配慮した仕組みをもって喜多方市が、3度、特区申請を出したが却下されたそう。その理由がなんとも滑稽だ。

「当時は本当に需要があるか確認できなかった」から・・・だというのだ。

需要があるかわからないからこその特区申請なのだと思うが、なんとも腰の重い話に悲しくなるばかりである。まぁ、ほかにも実態は、農水省にとどまらず、その他の色々なステークホルダーが反対しているのだろうけれど・・・。

2013年8月25日日曜日

月刊VOICE9月号「中国バブル崩壊に備えよ」について

月刊VOICE9月号は、「中国バブル崩壊に備えよ」が特集テーマ。

『(新聞やテレビが福島第一原発の所長の功績をたたえる一方、津波対策をおろそかにした面もあったという点について・・・)あまりにひどい誤解だといわざるをえません。そうした報道に接するたび、私は吉田さんがかわいそうに思えてならない。そもそも、吉田さんが津波対策をおろそかにした事実はありません。逆に、津波対策についていちばん積極的だったのは吉田所長です。』
(「追悼・吉田昌郎元所長」における門田隆将氏の発言より)

感想)先日、聞いたTBSラジオ「ボイス!そこまで言うか」にて全く同じことを青山繁晴氏が触れていてそのとき青山氏は、「元所長が吉田元所長が3/11が起こる前に、3/11クラスの津波を想定した防潮堤をつくることに反対したのは事実・・・といっておられた。こちらVOICEでの門田隆将氏の発言を聞くと、いったいどちらが正しいのか、あるいは、どこからどこまでが事実で、どこからどこまでが誰の意見なのか・・・わからなくなってしまった。ただし、少なくとも、吉田元所長は誰よりも被害最小化に尽力した人である・・・ということだけは間違いないという印象を持った。


『肝臓を患った50歳の男性がいる。移植以外に手立てはなく、移植しなければあと1年いきられないかもしれないと医師に宣告されている。血液型が適合するのは弟のみ。血液型が適合すれば兄は助かるだろう。ただし、弟には妻とまだ幼い子供がいる。合併症が起きる可能性もあり、死亡例もゼロではないとなれば、家族が心配だ。だが、移植に同意しなかった場合、弟は兄の死に罪悪感を感じるだろう。兄を救えるのは自分だけ、という場合、弟が最終的に臓器提供に同意したとして、それは完全な自由意志と言えるだろうか』
(「生体臓器移植の悩ましさ」にて、”ドナーは決して強制されて決まるものではない”という考えに対しての最相葉月氏の発言から)

考えたこともなかった。自由意志って、形式ばっかり整えても、満たされないものだな・・・そんな簡単に満たせるモノではないのだな・・・と気づかされた。


『中国経済はいま、イノベーションを起こし、新しい製品を創り出さなければならないステージに達しています・・・(中略)・・・共産党政府と密接に結びついた特定の企業の力が強すぎて、新しい製品を創り出すエネルギーになる競争力が確保されていない。これではいつまで経ってもイノベーションは起こせません。将来的に中国経済には、日本が味わった苦難が大幅に増大されたかたちで表れてくると思います』
(「エリートの既得権が国を滅ぼす」の「先進国の後追いは必ず行き詰まる」というダロン・アセモグル氏の主張より)

中国は近い将来崩壊する・・・と言われて久しいが、その最たる理由として挙げられるのは、やはり共産党の締め付けだ。いまはまだ経済成長が進み、ジワジワではあるが、豊かになっていくのを実感できている間は既存政党をひっくりかえそうという気持ちは起こらないが、成長が止まったとき・・・不満が爆発してひっくりかえる可能性がある・・・というものだ。この話は良く聞いていたが、次の成長のためにはイノベーションが必要なこと、そして、政府の今のやり方がイノベーションを抑制していること、この2点を挙げて中国崩壊に言及する記事は(個人的には)新鮮だった。納得感がある。


『(円谷)社内で「(ウルトラマンティガ・ダイナ・ガイアのいわゆる平成三部作について)一番組当たりの収支をつけていない」という・・・(中略)・・・。ところが、制作費と著者区件収入を対比して精査すると、実際は大赤字でした。作品ごとの収支を管理していないので、出費に歯止めがかからず、経費がどんどん出ていく。』
(「ウルトラマンと中国進出の難しさ」より)

この記事を読んで感じたというより、びっくりしたのは、円谷プロダクションがそんなひどい状況だったという事実だ。また、中国進出の難しさは確かに興味深かったし・・・確かに難しいとは思うが・・・それ以上に、そんなことも予期せずに海外進出しようだなんて・・・失敗するべくして失敗した・・・としか感じられなかった。反面教師の記事にはなったと思う。


『ガダルカナル島から未帰還のパイロットは半分以上が撃墜ではなく、自ら墜落して亡くなったと。なぜか? じつは帰還中、パイロットが疲労のあまり睡魔に襲われ、意識を失ってしまうからです。帰路、横を飛んでいる僚機がすーっと高度を下げていく。零戦には無線がないから起こすこともできない。そうして命を失った戦友の姿を、幾度も見たそうです。』
(ゼロの懸けた祖父たちの思い」渡辺昇一氏と百田尚樹氏の対談から百田氏の発言より)

感想)当時の指揮官や軍部を非難する根拠には枚挙にいとまがないが、「なんなんだろう・・・このむなしさはいったい」といった想いばかりがこみ上げてくる・・・。

2013年9月号月刊VOICE

書評: 日本人が「世界で戦う」ために必要な話し方

突然だが、わたしが外国系企業で働いていたときの一場面を述べたい。

日本人の部長が日本人の部下を、大声で叱っていた。怒りが収まらなかったのか、果ては机の上にあったティッシュペーパーをまるめて投げつけていた。その光景は他の従業員からもガラス越しに見てとれた。それを見ていた1人の外国人従業員は次の日に退職届を出してきた。自分もパワハラを受けたのと同然、こんな企業で働きたくない、という理由だ。

これは日本人がグローバル企業で働く際に起きるトラブルのほんの一例に過ぎない。そして、こんな事態に陥らないための虎の巻がここにあるレビュープラス様から献本いただきました)

日本人が「世界で戦う」ために必要な話し方
著者: 北山 公一
発行元: 日本実業者出版


■グローバル企業で働く上での処世術


『口べたで日系出身企業の私が、15年間のグローバル企業勤務で必死になって身につけた、人を動かす「主張」の技術』・・・帯にはこうある。本書を表すのにこれ以上的確な表現はない。200ページ弱からなるこの本には、グローバル企業での処世術が書かれている。なお、グローバル企業という言葉はやや曖昧なので補足しておくと、より正確には、外国人が多く働く環境・・・すなわち、外資系、外国系、あるいは外国に進出した日本企業の支店や子会社といった方がいいだろう。

そんな本書の中身だが、具体的にはたとえば、「結論ファーストを徹底する」という項がある。ここには、グローバル企業で働くなら、「”結論を先に行ってから理由づけをする”癖を身につけるべし」とのアドバイスが書かれている。また、「上司の指示を疑い、積極的に意見せよ」の項。ここには、「グローバル企業の上司は、部下からの意見があることを当然のことと考えているゆえ、積極的な意見を述べることが重要視される」ことなどが書かれている。

■誰もが100%経験することが書かれている


本書の特徴は、2つだ。1つは、非常に易しく読みやすい本であるという点。文中、グローバル企業に多いというマトリックス組織図の解説が入るが、難しいと言ってもせいぜいこの程度で、何の前知識がなくても読める。事実、わたしは1時間で読み終えてしまった。

そして特徴の2点目。グローバル企業で働く日本人なら、絶対に誰もが経験することばかりがカバーされている、という点だろう。私自身、外資系・外国系企業で働いたことがあるが、この本に書かれていることは全て経験している。冒頭で挙げたわたしのパワハラ経験が、まさにその証拠だ。本書にも同様に「”日本流”で叱るとパワハラ扱いされることも」という項で似たようなことが述べられている。

ただし、こうした特徴は本書の魅力であると同時に興味を失わせる理由にもなっている。どういう意味かというと、外国人が働く環境に勤めるのが初めての人には、まずもってこの本に書かれていることを間違いなく経験するわけだから、「どんな心構えで臨めばいいかを学べる」という点で本書は魅力的なのだ。一方で、そういう環境で少しでも働いたことがある人なら、(わたしのように)既に経験したことばかりが書かれているという点で、本書の意議は低いと評せざるを得ない。

■グローバル企業に初めて勤める人に


しかるに結論だが、グローバル企業(≒外国人が働く環境)で働いた経験がある人には本書は新鮮味がないだろう。本書を手にとるべき人は、グローバル企業で働くことに強い関心がある人、これから勤める予定がある人・・・たとえばグローバル企業に就職が決まった学生諸君や、グローバル企業の子会社社長として出向が決まった人など・・・であれば、参考になるだろう。きっと、冒頭に挙げたわたしの事例に登場する上司も、この本を事前に読んでいたら、従業員の1人がやめてしまう・・・という失敗を犯さずにすんだのかもしれない。


2013年8月13日火曜日

アメリカ(ケンタッキー州)&カナダ海外出張記

2013年のお盆の時期に海外出張が入った。約1週間弱のケンタッキー州&1日カナダ滞在になる。東京→シカゴ→シンシナティ(ミシガン州)→現地へ、という経路だ。

2013年8月11日(日)

東京からシカゴへのフライト内で出たJALの朝食。今、大人気のクマもんセットが出だ。つい最近、情熱大陸で、クマもんの親、クリエイター水野学氏の特集を観たばっかりだっただけに、びっくり。

なお、8月のお盆の時期にもかかわらず、シカゴのこのときの気温は18度だった。
シンシナティ空港に到着したのは午後2時半頃。わかってはいるが、日曜日の午前中に東京を出て、16時間近くかけてシンシナティに到着したのに、時間はまだ午後2時過ぎ・・・という事実に、大きな違和感を覚えた。

空港から滞在先のマリオットホテルへ移動。

滞在初日・・・の夜。現地のクライアントにステーキ屋さんに連れて行っていただいた。現地人ならだれもが知っている有名なステーキハウス、マローンズというお店。

どうせ、アメリカの肉はガムみたいなんだろ・・・と思っていたが、どうやらその認識は間違いだったみたいだ。

この店で、カラマリ(イカのフライ)と、オイスターを前菜としてオーダー。メインは、もちろん、ステーキ。

はじめてしったローカルエール。ケンタッキーバーボンビールと呼ぶらしい。アルコール度数は8%と、いっぱんのビールに比べ高い。値段も他のビールに比べるとやや高め。だが、うまい。個人的に気に入った。アメリカでは、いつもサミュアルアダムスばかり呑んでいたが、もし、手に入るのなら、今度からこれもオプションに入れたい。

2013年8月12日(月)

本日の奇妙な発見。ケンタッキー州の法令なのか、オフィスにはトルネードから避難するためのシェルター設置が義務づけられている。スペースがないので、トイレをそのままシェルターとすることが多いのだとか・・・(笑)。

本日の夕食は、日本食。橘(たちばな)というお店。居酒屋だ。

まぁまぁの値段。味も悪くない。

2013年8月13日(火)

ケンタッキー州にいる間の滞在先は Residence in Marriot。アメリカに来ると、たいてい、マリオットかヒルトンか・・・そんな選択肢になるイメージだ。

さすがアメリカ。部屋はほんっと広い。一泊約100ドル。
今日の天気もなかなか。イギリスと同じで平野がひたすら広がり山がないためか、天気はわりとめまぐるしく変わる印象だ。雨は降っても一瞬で止む。


夜はイタリアン。

アメリカらしくやや大味だが、なかなかイケる。

2013年8月15日(水)

本日のお昼は、タイ料理屋さんへ。

グリーンカレーを食す。辛さはばっちし。甘さは・・・ちょっと甘すぎたかなぁ・・・(あくまでも個人的な意見)。

しかし、これまでの脂ぎった食事と変わった風味にちょっと一息・・・。

ケンタッキー州の滞在最終日。バッファローワイルドウィングスという手羽先?・・・がおいしいアメリカンスポーツパブへ・・・。

サラダやナチョス・・・。

おいしい・・・と噂の手羽先群。ややきつい酢の味にむせたが、なかなかイケる。
夜9:00前の空。たそがれ・・・ってやつだろうか。なかなかなもの。

2013年8月16日(木)

朝から、ホテルのジムでジョギングをした。汗をかいたTシャツを急遽洗濯しなければいけなくなり、ホテルのコインランドリーを訪れた。

こちらのコインドリーは、たいてい25セントを4枚要求してくる。
本日は朝からカナダはトロントへの移動だ。ホテルからシンシナティ空港へ1時間かけて移動。搭乗口にて、自分のフライトを待った。

搭乗口で待っているときに、偶然発見したこと。こちらのペットボトルにも、キャップがおちないタイプのものが発売されている。正直、飲みにくい以外の何者でもない。

トロント空港に13:00に到着。そこからレンタカーを借りて、一路目的地へ。こちらは日中でもヘッドライトの灯火が義務づけられているそうな。対向車がみんなライトをつけているのが分かる。
アメリカ同様、広大な土地を持つカナダも、遙か彼方をみわたせる。一面に広がる雲が印象的だった。

本日宿泊予定のホテルは、Kitchenerのヒルトン系列のホテル。とても綺麗で、なによりみんな親切。もちろん、インターネットなどは無料。

夜は、地元(Waterloo)のイタリアンに。JLB(ジャネットリンズビストロの略)というレストランだ。あの有名なスケータージャネットリンのお店かとおもいきや、どうやらこの店を立ち上げたオーナーの奥さんがたまたま同じ名前だっただけらしい。

とにかくここの料理は全ておいしかった。行く予定のある人にはお勧めだ。

ちなみに、こちらがこのお店のメニュー(参考まで)。

お店のホームページは、こちら

2013年8月17日(金)

アメリカやカナダのホテルの朝食には、たいてい、ワッフルマシンがある。どうしても一回くらいは食べておきたくて、つくってみた。

見かけ以上にボリュームがあり、お腹がすぐふくれるので、気をつけられたし。

本日は、時間的余裕があるため、一路Kitchenerから、トロント市街へ向かうことに。

ちなみに朝は通勤時間帯にぶつかると激混みで要注意。普段は45分くらいの距離だが、渋滞につかまると2時間かかる。わたしのときは、休暇中の人も多かったためか、普段に比べるとややすいていた。朝7時にホテルを出発したが、8:20頃には市街へ到着した。

ちなみにタクシー代は200ドル弱といったところだ。

トロントの中心部には、MBA時代の友人が住んでいる。会わいでか・・・。彼が今年の1月に日本にきたときに会っているので、半年ぶりの再会。

市街地を散歩。真ん中に見えるのは、アルカポネも利用したという酒の工場。実際は、工場と右横の銀行の間を地下トンネルでつないでおき、アルカポネは銀行にお金を持ち込んで、そこでお酒を回収。密輸をしていたという。

トンロントの市庁舎は、過去3回くらい移設している。これが現在の市庁舎。なかなかモダンで素敵。

トロントには、船を使って20分くらいでわたれるアイランドがある。これがなかなかナイスだ。船からトロントを振り返ると、なんとなくマンハッタンにいるかのような雰囲気にさせられる。

お昼を友人のSteveと・・・トロントアイランドにて・・・。一瞬、ホリデーのような錯覚をしてしまうぐらい、穏やかで非現実感漂う和む雰囲気。

ハンバーガーを食す。
アイランドから見たトロント市街。まるで絵のような・・・ "Picturesque" とはこのこと。
なんと、アイランドの中央部には、桜の木々が植えてある。

いったいどんな経緯でだれが植えたのか・・・と思いきや、なんとSteveが率いるNPOにて植えたのだそう。題して桜プロジェクト。

桜プロジェクトをたたえたパネル。

夕方18:00トロント発シカゴ行きのフライトにあわせて、トロント空港へ。ついついアルコールに手が伸びる。
2013年8月18日(土)

シカゴ(オヘア)空港のヒルトンホテルにて一泊。このホテル、なんでもかんでも有料サービス。インターネットは1日20ドル(?)する。予約の仕方が悪かったのか、朝食もついてない。

写真は、ホテルの部屋から見た朝焼け。

シカゴ(オヘア空港)ラウンジ内でもらった朝食。朝からビールを飲むことにやや罪悪感を覚えつつ、一方で、はらわたに染み渡るアルコールに恍惚感を覚える。

これにて、今回の旅行は終了。

あまけ(パノラマ写真)

2013年8月9日金曜日

書評: 奇跡の営業

今回は 「レビュープラス」様から献本いただいた本に対する書評です。もちろん、いつものように遠慮せず、想ったことをビシッと書きます!

奇跡の営業
著者: 山本 正明(やまもと まさあき)
発行元: サンマーク出版



■スーパー営業マンが明かす成功する営業の極意

ソニーライフ生命保険株式会社のライフプランナー4000人の頂点に君臨したスーパー営業マンが指南する営業ノウハウ本である。なお、ライフプランナーとは、生命保険会社で保険商品を顧客に提案して販売する営業社員のことである。

スーパー営業マンの名は、山本正明(やまもとまさあき)。何がスーパーなのか? 単に売り上げナンバーワン・・・ってだけなら、類書がゴマンとある今の世の中で、なんとなくパンチが足りない。山本氏がスーパーたるゆえんは”売り上げが凄い”ってことだけじゃない。そのバックグラウンドにもある。ライフプランナーになる前は、中堅ゼネコンの現場監督・・・営業とは無縁の技術者をやっていた。そんな山本氏が、ライフプランナーの世界に飛び込んだのは44歳(2003年)の時。そして、(最初の数ヶ月こそ不調だったものの)初年度から同期トップの営業マンとして新人賞を獲得した。つまり、生保どころか営業そのものに全くの未経験、しかも頭の固くなりがちな年齢での再出発・・・ネガティブな要素満載だった状況にも関わらず、未経験の営業で頂点に君臨した・・・その事実がスーパーなのである。

■ライフプランナーのライフプランナーによるライフプランナーのためのノウハウ本

「ライフプランナーのライフプランナーによるライフプランナーのためのノウハウ本」・・・本書最大の特徴をひと言で表すとすれば、これに尽きるだろう。タイトルが「奇跡の営業」となっているものだから、一見、ライフプランナーにとどまらず営業業務に少しでも従事する者であれば、何か役に立つノウハウが載っているに違いないと期待する。しかし、それは違う。著者は、間違いなくライフプランナーの眼だけを見て書いたハズだ。

その証拠に、本書の巻末にはライフプランナーに有効な営業ツールの1つアンケートの様式がつけられている。また「保険に加入できないお客様のもとにこそ行くべきである」などといった、明らかにライフプランナーに向けたアドバイスもふんだんに登場する。

『私は少しでも紹介につながる可能性があれば、保険にご加入できないお客様のところへも喜んで馳せ参じます・・・(中略)・・・ご本人は保険に入ることができなくとも、ライフプランナーとしてお客様のお役に立てることが必ずあります。じつはガンで保険に入れない方ほど、保険の知識を必要としていることが多いのです。』(第一章 営業での成功は紹介なくしてあり得ない、より))

ただし、先のわたしの発言を少し補足すると、他業種の営業マンに全く役立たない、と断定するのは言い過ぎかもしれない。実際、著者がノウハウの1つとして紹介するアンケートの作り方・使い方や、紹介を最大限に活かす、という考え方そのものは、コンサルタント業を営む私にも、ちょっとしたヒントを与えてくれた。それは事実である。また、ライフプランナーならずとも、ライフプランナーに似た職業・・・相対で一般消費者に対しての営業を行うような職業・・・たとえば、戸別訪問販売をする営業マンなどにも、それなりに有効なヒントが得られる可能性はあるだろう。

■ライフプランナー、あるいはライフプランナーになろうと考えている人にお勧め

そんなわけだから、本書はライフプランナーでない人にはあまりお勧めできない。逆に、ライフプランナーなら本書は間違いなく買いだ(実際、これこそが著者の狙いそのものでもあるはずだ)。ライフプランナーの眼を見て書かれた本だからこそ、ドンピシャの対象読者であるライフプランナーには必ず役立つことが書かれているハズである。「なんかライフプランナーなら、既に知っていて当然なテクニックばかりが書いてあるんじゃないの?」・・・そう否定的に思うライフプランナーの方もいるかもしれない。だが、仮に損をしたとしてもせいぜい1400円だ。それに1つでも役に立つテクニックがあるのなら大もうけじゃなかろうか。


書評: 3 行で撃つ <善く、生きる>ための文章塾

  「文章がうまくなりたけりゃ、常套句を使うのをやめろ」 どこかで聞いたようなフレーズ。自分のメモ帳をパラパラとめくる。あったあった。約一年前にニューズ・ウィークで読んだ「元CIAスパイに学ぶ最高のライティング技法※1」。そこに掲載されていた「うまい文章のシンプルな原則」という記...