2015年11月28日土曜日

書評: もしも、あなたが「最高責任者」ならばどうするか? VOL.1

久々の書評だ。私の悪い癖で、何かをずっと続けることはできるのだが、やりすぎると、ふとしばらくその活動から離れたくなる。最近ずっと読書を敬遠して、映画ばかりみまくっていた。AMAZONプライムのせいだ・・・。

それはさておき...まじめな話。

久々に読書をした。レビュープラス社からの献本がきっかけ。献本だが、自分も読みたいと思って、話を引き受けた。タイトルはもしも、あなたが「最高責任者」ならばどうするか?Vol.1。私が好きな大前研一氏が関わっている本である。

本書は、一言で言えば、勉強本。それも企業戦略立案のための思考力アップを目的とした勉強本である。

そんな本書だが、特徴は3つのキーワードで表せる。ボリューム、ケース、大前研一・・・の3つだ。

ボリューム感というと「とても分厚い、お得感のある本なのか?」と誤解を与えるかもしれない。事実はその逆。ページ数にして170ページ程度。どちらかというと薄い。後述するが、中身が重たい内容だけに、この薄さが逆に有り難い。

そして、ケース。本書は特定のケースに対して、読者自身がまず自らの頭で考え、その考えと本書の考えを照らし合わせて、気づきを得る・・・そんな読み方を想定している。なお、ケース数は全部で8つ。コカ・コーラ、ローソン、UBER、任天堂など・・・。また、特定のケースとは言ったものの、本書が読者に投げかけるボールは単純明快。「あなた(読者)が、この企業の社長なら、どういった手を打つか?それを考えなさい」。それだけだ。

3つめのキーワードは大前研一。読者自らが考えたものと、本書の考えとを照らし合わせて気づきを得る・・・と述べたが、「本書の考え」とは、そもそも「大前研一氏の考え」である。一流の戦略コンサルタントの思考プロセスを追体験できるという意味で価値がある。

そのまま何も考えずに、本書の考えを読んでも何の役にも立たない。自らでまず考えることが必要な本である。その意味で、正直、なかなか・・・良い意味でヘビーな本ではある。頭に高負荷のかかる本だ。だから、先の話につながるわけだが、ちょうどいい薄さだと思う。

さて、企業戦略立案の思考力アップという観点では、まさにそういう立場にある人・・・具体的にはたとえば、社長や役員をはじめ、経営企画部の人、これから新しく事業を立ち上げようとしている人・・・などに向いている本と言えるだろう。

ただし一点、留意事項を挙げておきたい。本書が読者に投げつけるものが、「この会社の社長になったら、どうするか?」という、大きいボールなので、それを受け止められる力量をある程度持っている人でないと、キツいと思う。具体的には、有価証券報告書や四季報、業界マップなどから情報を引っ張ってこれることはもちろん、そこにある内容から、財務諸表や事業環境などを読み取り、課題を抽出できるような能力は、先に持っておきたいところだ。本書も述べているが、複数人まじえてのディスカッションを前提とした・・・グループ勉強会などで使うというのもありだろう。

たぶん、個人的には、Vol2が出たら、買ってしまうだろうな。下手なパズルを解くより面白い。


書評: 3 行で撃つ <善く、生きる>ための文章塾

  「文章がうまくなりたけりゃ、常套句を使うのをやめろ」 どこかで聞いたようなフレーズ。自分のメモ帳をパラパラとめくる。あったあった。約一年前にニューズ・ウィークで読んだ「元CIAスパイに学ぶ最高のライティング技法※1」。そこに掲載されていた「うまい文章のシンプルな原則」という記...