2018年5月2日水曜日

書評: 堅牢なスマートコントラクト開発のためのブロックチェーン 技術入門

今回の本は専門書の部類に入るので、興味がこれっぽっちもない人には全くおすすめしない。逆に、真剣にその基礎技術を勉強したい人なら強くオススメする。

堅牢なスマートコントラクト開発のためのブロックチェーン 技術入門
著者:田籠照博
出版社:技術評論社

本書は、ビットコインの基礎技術であるブロックチェーンの仕組みについて、技術的な側面から解説したものである。前段では、ビットコインを例にとりながら、ブロックチェーンの技術的な仕組みを解説しており、後段では、ビットコインについで2番目に有名なブロックチェーン、イーサリアムの実際の環境構築やその活用方法について、プログラミングのソースコードにまで踏み込む形で解説している。

そもそも、私がこんな難しそうな・・・いや、難しい本をどうして手にとったのかといえば、ブロックチェーンを本気で理解しておきたいと思ったからだ。もちろん、自分がこれをもとに新たな仮想通貨を作るとかそんなことを考えているわけではない。ただ、今後間違いなく、台頭してくる基礎技術の一つだと考えている。だから、非技術者の立場であっても、骨の髄まで理解しておきたいと思ったのだ。昔から、私の勉強方法として、技術的だからとか、複雑な数式が出てくるからとかで、あきらめることをせず、多少時間がかかっても丁寧に読み込むようにしてきた。その結果、得られたものがものすごく多かったので、同じような効果を期待して、本書に手を出したという背景がある。

さて、本書を買って良かったかと聞かれれば、「良かった」と答えるだろう。ただし、条件付きで・・・だ。本書は確かに深い学習をするのに役立ったが、そのきっかけを提供してくれたに過ぎない。言葉足らずの解説も少なくなく、実際には、他の文献も参考にしながら理解を進めていったというのが事実だ。ちなみに、私が本書を読む上で抱き合わせで読んだ文献は下記のものだ。

いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン(大塚雄介)
Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System(サトシナカモトの論文)
4枚の図解でわかる公開鍵暗号(HP)
Bitcoin Explorer(マイニング状況の情報サイト)

また、後段で登場するイーサリアムのスマートコントラクトの実際のプログラミングの仕方については理解を諦めた・・・。さすがにそこまでの知識は不要だと思ったからだ。

ところで、私が本書を読む際に明らかにしておきたいと思っていた主な疑問点は次のような事項だ。


・誰がサトシナカモトの論文を現実化し、誰が運用を支えているのか?
・10分ごとに行われる競争のプロセスとは?
・ブロックチェーンのブロックの単位とは?
・ブロックのヘッダーの構成要素は?
・公開鍵と秘密鍵の詳しい原理・数式は?
・ウォレットとは?
・マルチシグの原理は?
・アルトコインとは?
・アルトコインとビットコインの違いは?
・ピアツーピアの世界観は?
・台帳の現状のサイズは?


最終的に全てを明らかにすることができたし、お陰で、初心者に原理をわかりやすく説明できるくらいには理解できたと思うが、本書だけではきつかっただろう。

世界は天才だらけだ・・・。すごい! 改めてそう感ぜずにはいられない。


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