2016年2月13日土曜日

イノベーションと経済危機と自動洗濯折り畳み機

今日は、イノベーションについて考えたい。世の中、イノベーションを起こすのにみんな必死だ。だがイノベーションってそもそも何だろう。

私は、ユーザーにもたらす良い意味での驚きのことだと思う。そしてその驚きには購買欲求も伴う。その意味で言えば、iPhoneなぞは、まさにイノベーションだった。その証拠に、みんな(私も含め)飛びついた。多少高価でも関係ない。みんな飛びついた。

だが、盛者必衰のことわりを表すとはよく言ったもの。iPhoneの売り上げが減少したと先日の日経は報じていた。人間は飽きやすい動物だ。驚きは長続きはしないのだ。そんな動物にイノベーションをもたらし続けるってきっと大変なことなのだ。

他方、イノベーションは、経済危機にも関係があると言う。佐藤優氏の本で学んだ。イノベーションが停滞すると購買活動が減り、売り上げが減少、給料が減少、これが行くところまでいくとバブルがはじける・・・それが経済危機だそうだ。

ぼんやりとそんなことを考えていたところ、今日、日経ビジネスを読んでいて良い意味での驚きに出会った。なんと、自動洗濯折り畳み機の実用化がすぐそこまで来ているという。これが実用化されたら、その購買欲求たるや、iPhoneに匹敵・・・いやそれ以上ではなかろうか。

人間は飽きやすい動物といったが、飽くなき欲求があるかぎり、イノベーションはもたらされつづけるのだろう。経済危機もやってはくるだろうが、乗り切れそうだ。

2016年2月12日金曜日

仕事の効率化術(バッグ編)

私はずっとランドセルのような厚さの大きなバッグを仕事で使っていた。しかも、常にパンパンだった。酷使していたため、数年でひもが引きちぎれ、買い換えてきた。その都度、大きめのモノを・・・という選び方をしてきた。

数年前、佐藤可士和氏の「仕事の超整理術」という本を読んだとき、「定期的にバッグをからっぽにする」といった彼の発言を見て、これだ!と思った。そして、定期的にバッグをからっぽにするように心がけてきた。だが、気がつけば最後はいつもパンパンになっている。

ホチキス!ポストイットのり!参考書!ノート!PC!iPad!電源がなくなったときのための予備バッテリー・・・。困ったときにあると便利だが、バッグが重くなる一方だった。パンパンかつ重たいバッグを持ち歩いて、健康に良いことなどない。肩も痛くなるし、体も傾く。

2016年12月、何を思ったか突如、薄型のバッグを買った。とにかく何も持ち歩きたくない・・・いっそのこと持ち歩けないバッグにしてみてはどうだろうか・・・と思ったからだ。予備のバッテリー? いらない! ホチキス! なくても困らない! ノート!数枚で十分!・・・そんな感じで無駄を排除した結果、必要なものは全てそこに収まった。それから2ヶ月。特に困ることは何もない。強いて言えば、客先でもらったペットボトルの水が入らないことくらいだ。でもさっさと飲み干せばいい。
いったい、パンパンで重たいバッグを持ち歩いて・・・それでも、まだ何か足りない・・・という状態だったあの数年間の苦しさはいったい何だったのだろう。バッグは軽いし、体も軽い。必要なものもすぐに取り出せる。整理整頓の整理は捨てること、整頓はしまうこと・・・とは良く言ったモノだが、捨てること・・・これをせざるを得ない強制的な環境を作ること・・・これも一つの有効な手段なのかもしれない。

書評: 売る力 〜心をつかむ仕事術〜





●顧客目線を実践したい一心で手を出した
著者の鈴木敏文氏が結果的に成功したものはその多くが、提案当初、たくさんの人から反対されたものばかりだった・・・という。セブン銀行やおにぎり販売、共同配送・・・などなど。セブン銀行のときは取引銀行の頭取までもが直接訪問してきて反対したというからびっくりだ。顧客目線が重要と言いながら、いかに顧客目線じゃない人が多いかということを示すのにこれほど分かりやすい例はないのではなかろうか。

セブン-イレブンに関する本は過去に1冊に読んでおり、鈴木敏文氏の考え方はある程度わかっているつもりだ。それでも、今回改めて彼の本に手を出したのは、顧客目線・・・が分かっていても、実践しきれていないと感じるからだ。まるで、顧客目線から引き離そうとする強力な磁場が働く中にいるかのようだ。油断するとすぐに売り主目線になっている。

この強力な磁場から抜け出すためのヒントが少しでも得られれば・・・という思いから、本書に手を出した。そして結論から言えば、その希望はある程度叶えられたと思う。

●顧客目線の第一人者が語る仕事術
「売る力」は、顧客重視の第一人者といっても過言ではない、鈴木敏文氏が執筆した本だ。ご存知の通りセブンイレブンは競争が激化しているコンビニ市場にあって、コンビニ業界・・・いや小売業界の王様と言える。その大きな原動力になってきたのは、間違いなく鈴木敏文氏である。どんな環境変化にさらされてもタイムリーに顧客の心を掴み、売れる商品を提供し続けてきた鈴木敏文氏のアプローチ方法が、本書には書かれている。

●本書が読者にもたらす3つの価値
3つの理由で価値ある本だと思う。

1つめは、顧客目線とは何たるかを教えてくれる点だ。顧客目線とは、売れる商品を作り完売させることではなく、顧客が買いたいと思う商品に欠品を出さないことだ・・・という鈴木敏文氏の話が、印象的だった。Francfranc(フランフラン)高島氏の「横(ライバル)を見るのではなくひたすら客だけを見続けた」と言う対談話は、胸にぐさりと突き刺ささった。

2つめは、顧客目線を持つにはどうしたらいいかを教えてくれる点だ。顧客目線を持つには、「顧客のために」という思考ではなく、「顧客の立場で」という思考が大事という鈴木氏の話は至極まっとうだ。そのほかにも、セブンイレブンのブランディングを担当したクリエイティブディレクター佐藤可士和氏の赤い携帯電話の事例話が面白かった。

3つめは、顧客自身も気づいてない顧客目線というものをどうやって持つかを教えてくれる点だ。ただし、この点については昨日読んだ堀江貴文氏の「アイデア自体の価値は下がっている。重要なのは実行に移すかどうかだ」という言葉も思い起こされる。その意味では、ヒントはごろごろ転がっているハズで、ちょっとした工夫で、気づけるようになる・・・ということなのだろう。AKB48で有名な秋元康氏の予定調和の壊し方に関する対談話や、自らの声にいかに耳を傾けるかという鈴木敏文氏自身の話が興味深かった。

●会社の仲間に伝えたい
あの鈴木敏文氏が敬意の念を抱いているという人達の話は、有名な人ばかりだ。そして期せずして共通しているのは、みんな地道で尋常じゃない努力をし続けているという点だと言う。

うちはB-to-Cじゃないから。そういう声もあるだろう。だが、顧客重視に業種・業態など関係ないはずだ。みんな顧客目線に立つために、地道で尋常じゃない努力をしつづけてきているんだ・・・ということを、わたしの会社の仲間にも伝えたいし、読んで欲しい。そう思わせてくれる本である。

2016年2月11日木曜日

書評: 本音で生きる


著者: 堀江貴文



堀江貴文が、日々何を心がけ、どういう努力をし続けてきているのかを紹介した本だ。いろいろなメディアで見かけるので、おおよその生き方は知っていたつもりだが、本書を読んでみて、彼の究極まで突き詰めた無駄時間の排除には改めて驚く。ちなみに、「そもそも無駄なことを排除することがいいことなのか?」「無駄にも意味があるだろう!」などといった反論が聞こえてきそうだが、無駄の定義は人それぞれだし、それは揚げ足し取りだと思うので、ここではそうした議論は取り上げない。

価値観の違いはあってしかるべきだから、読んだこと全てを受け入れ、マネする必要は全くないが、「おっ、これは使える」とか「確かにそうだ」とか・・・刺激となったものは私にとっても、いくつかあったようだ。

たとえば無駄な会議を減らす方法についての話。わたしの会社の会議が増える一方で困っているのだが、メーリングリストの活用など実は実践できてない。トライする価値があると思った。

また、「今の時代アイデアの価値はなくなってきている。アイデアはでつくしているし、自分が思いつくアイデアなど既に転がっているものばかりだ。ゆえに、成功するかしないかの違いは、良いアイデアを思いついたかではなく、それをやったかどうか・・・それだけだ」という堀江貴文氏の発言には、ぐうの音も出ない。実行力の大切さを普段から意識し、実践を心がけてはいるが、まだまだ腰が重い方だと思う。

そんなことを気づかせてくれる本書だが、「上には上がいる。自分がやっている努力などたかが知れている。」と思わせてくれることが、私にとっては何よりも価値があることだった。わたし自身本をたくさん読んでいるし、ニュースアプリや各種媒体から情報もたくさん入手するし、モノをたくさん書くし、公私ともに日々自分に足りないところを感じれば改善の努力をし続けているつもりだ。それなりに頑張っていると思うのだが、ビジネスマンとしては彼の足下にも及ばない。でもそう思わせてくれるので、また明日から突っ走れる。

さて、井上ひさしの時にも感じたが、堀江貴文は一家庭人としてとか、一人間としてどうか・・・などといった問いかけをすると、その答えは怪しい。そこは当人も本書の中で(チャレンジの多い人生を送りたいとか、何かを成し遂げたいとか、思っている中で、全てにバランスをとろうだなんてそんなきれい事は通用しない。ずるい、などと)述べている。ただしビジネスマンとしての堀江貴文には、学ぶべきところが大いにあると感じる。彼の言動に嫌な感じを覚え、嫌い・・・という人もいるだろうが、少なくとも彼の努力は本当に尋常じゃないほどすごいと思うし、そこは私は素直に尊敬している。


記事評: Can you employee really speak freely? (従業員はあなたに自由に話しかけることができるか?)

2016年2月号のハーバードビジネスレビューで次の記事が目にとまった。

Can you employee really speak freely? (従業員はあなたに自由に話しかけることができるか?)

なぜなら、私の会社でも果たして従業員が本音を語ってくれているだろうか?と不安に思うからである。この問いは最近メディアを騒がせているような事象も想起させる。コンプライアンスに関わる事件事故を引き起こした会社の足下でも、こうしたことが課題になっていたのではないだろうか。

私が知っている言葉に“集団浅慮”というものがある。「あるテーマに対し周りの判断が何かおかしいな」と、あなた1人違和感を感じていたとする。ところが、マジョリティーがオーケーだと言う判断をしているわけだから、その雰囲気に呑まれ、「あ、おかしくないんだ」と、違和感がかき消されてしまう。せっかく違和感をもっていてもとりあげられず、結果として大きなミスや事故を回避できない事態を引き起こしてしまうような集団心理を指す。こうした心理はまさに組織におけるコミニケーションの円滑化を難しくするものだ。

企業はこうした状態に陥いらないようにそれなりにコミュニケーションの円滑化に向けて、努力をするがなかなかうまくいかない。この記事もそれを指摘する。

『最近の企業では匿名のユーザーアンケートやオープンドアポリシー(いつもあなたの上司もしくはその上の上司へのドアはあいています!悩みがあればいつでも相談に来て下さい・・・という会社方針)などで、従業員が気軽にコミュニケーションを取れる環境を作るよう躍起になっている。が、その効果は期待するほどではない。なぜなら匿名といっても本当にどこまで匿名性が守られるか、怪しいからだ。皮肉なことに、会社が課題と感じて解決に向けて取り組もうとすれば、ある程度誰が言ったかなどは推定できてしまう場合も少なくない。オープンドアポリシーにしても、あまりに受け身であり、従業員にとってはハードルが低くない。』

ではどうすればいいのか? まさにその部分がこの記事の趣旨である。大雑把にポイントをまとめると以下のようなものだ。

  • 定期的かつカジュアルな会話機会を頻繁に持つ
  • 直接現場に足を運び話しかける
  • 相手がリラックスできる(少なくとも上司のオフィスではない)場所を選ぶ
  • 相談したらきちんと「アクションをとってくれるんだ」と思ってもらえる信頼を勝ち取る
  • 仮にアクションは取れない場合は、誠意を持って何らかの回答を返す
自ら従業員に積極的に話しかけているか?・・・そして、従業員があなたに話しかけたくなるような雰囲気作りに努めているか?・・・が大事なのだと思う。皆さんの企業での取り組みはこうした要件を満たすものになっているだろうか?

2016年2月6日土曜日

書評: 色彩を持たない田崎つくると、彼の巡礼の年

著者:村上春樹

久々に読んだ・・・村上春樹の小説。うーん、好きだ。村上節は健在だ。百田尚樹もそうだが、テンポがいい。過度な情景描写はない。でも、シンプルかつ美しい言葉で読み手の頭の中に情景を思い描かせる。

主人公の田崎つくるは、高校時代、仲良し5人グループの一人だった。このグループは、主人公曰く・・・完璧な調和がとれたグループだった。そうまさに完璧だった。この関係は、つくるが地元の名古屋を出て、東京の大学に進学したあとも決して壊れることなく続いた。そんなある日・・・つくるは、4人から絶縁される・・・。物語は、30代になった主人公つくるが、当時のことを振り返る場面から始まる。いったい何が起こったのか。

読んで感じるのは、一応の爽快感?・・・。同時に、たくさんの疑問。物語のあちからこちらに登場する、不思議な話、悲しい話、つらい話、明るい話・・・。咀嚼するまもなく、本を読み終えてしまう。

そんな中で、私が感じたのは、

 ・世の中、自分の思い通りにならないことなんていっぱいある
 ・自分の思い込みもたくさんある
 ・事実・現実から目を背けて何も解決しない
 ・意思とは無関係に、時間は流れてゆく

泥臭く頑張るのはかっこわるい、そこまで頑張って何がかわる・・・など、何事もクールにすまそうとする・・・人々・・・現実逃避しがちな若者こそ、読むべき物語なのかな・・・と感じた。

書評: 3 行で撃つ <善く、生きる>ための文章塾

  「文章がうまくなりたけりゃ、常套句を使うのをやめろ」 どこかで聞いたようなフレーズ。自分のメモ帳をパラパラとめくる。あったあった。約一年前にニューズ・ウィークで読んだ「元CIAスパイに学ぶ最高のライティング技法※1」。そこに掲載されていた「うまい文章のシンプルな原則」という記...