そんな中、献本サイト(レビュープラス)からの話が舞い込んだ。その本のタイトルは、「複数の問題を一気に解決するインクルージョン思考」だという。著者の名前を見ると、石田章洋とある。はて、どこかで見た名前だ。そう、思い出した。確か、以前彼の著書を読んだことがある。そのタイトルは「企画は、ひと言」。自分の中にそうした印象が少しでも残っているということを考えると、今回の彼のこの本についてもきっと読む価値があるに違いない。そう考えて、読むことにした。
複数の問題を一気に解決するインクルージョン思考
著者: 石田 章洋
出版社: 大和書房
早速、本書を手にとったわけだが、やはり気になるのは、この横文字・・・インクルージョン思考。いったい何なのだ!?・・・と思った時点で、実はすでに著者や出版社の術中にハマっている。キャッチーなタイトルで読者を惹きつけたい・・・そんな戦略がタイトルに見え隠れするからだ。インクルージョン思考とは何か?の答えは、すでにタイトルの中にある。「複数の問題を一気に解決する思考」こそが、インクルージョン思考なのだ。
本書は、複数の問題を一気に解決できるアイデアをどうやったら生み出せるか、その実践術を指南した本なのである。
アイデアというものはそもそも「複数の問題を解決するもの」・・・そう定義する任天堂の宮本氏の言葉を、著者自身が本書で引用している。なので、「複数の問題を解決できる発想力を身につける」と・・・タイトルが謳うとおりにその意味をとることもできるが、もっと明瞭簡潔に、本書は「発想力を身につける指南書」と言い換えることもできると思う。
さて、書いてある内容は、シンプル。次の項目がカバーされている。
・インクルージョン思考とは何か?
・発想力にインクルージョン思考がなぜ重要なのか?
・インクルージョン思考はどうやって実践するのか?
個人的な感想を言えば、これまで発想力の本は何冊か読んできたので、そこまで目新しい!とか、ワオッ!と思うようなことはなかった。そんな中で、改めて印象に残ったキーワードは「寝かせる」だ。アタリマエのことで、そこまで気にしてこなかったが、改めて著者がいう「いったん、寝かせる」というステップは、文章として読むとなるほどと思う。振り返れば、自分もぱっとナイスアイデアを思いつくときは、いったん、机からはなれて、皇居の周りを散歩していたり、自宅周辺のジョギングコースを走っていたりするときだ。無意識だったことが、有意識になった。
さてさて発想術を書いた本は無数ある。おそらく大きな違いは、具体性、読書容易性、実行容易性などの観点でだろう。その観点で本書を評価すると、具体性・・・○、読書容易性・・・◎、実行容易性・・・◎といったところか。事実、私の人生の中で一番早く読み終えた本であるといっても過言ではない。つまり、本書は読書が苦手な人、何か言われてもなかなか実行に移すことが苦手な人・・・にこそ向いているだろう。
【同じ著者の別の本】
・企画は、ひと言(石田章洋)