2014年6月21日土曜日

書評: 企画は、ひと言。

正直、読書疲れでかなりご無沙汰してました。そろそろ、ゆっくりと再開しようと思います。

 さて、久方ぶりに紹介する本は...

企画は、ひと言。 
著者:石田章洋(放送作家)
出版社:日本能率協会マネジメントセンター



良い企画を生み出せずに困っている人に向けた本。著者の石田章洋氏は、「世界ふしぎ発見!」や「TVチャンピオン」など数々の有名番組を手がけてきた放送作家だ。つまり、氏の成功体験を・・・氏が極めた極意を・・・氏の頭の中に入っているノウハウを・・・我々読者が読める形に落とし込んでくれたのだ。

さすが、「企画は、ひと言。」と主張するだけのことはある。著者のメッセージは非常にシンプルだ。決して、5つの要素とか、3つのポイントとか・・・ちょっとした数にまとめられているというわけではなく・・・いや、それ以上にシンプルだ。メッセージはたった一つ。

「企画は、ひと言で言えるものでなければならない」

と、それだけだ。だから、本書の話の中心は、全てシンプルなセンテンスをどうやって創出するか、である。「まず、企画書の構成を学ぼう」とか、「企画の目的から整理しよう?」とか、「内容の骨子を作ろう?」とか・・・そんな平凡な感じの本ではない。面白いひと言企画を作れさえすれば、内容は後から展開できる、という考えだ。たとえば、あの有名なTVチャンピオンの番組企画をとおすときのひと言は「あらゆるジャンルの日本一を決める番組!」というものだったそうだが、なるほど、確かにそのひと言を聞くだけで、イメージが沸き、面白そう!という気になれるし、後の細かい話を聞かなくても、7割は賛成!という気にさせられる。

ところで、企画を生み出す・・・という以上は、どんなに単純であったとしても、そこにはやはり発想力が求められる。本書はそうしたテクニックについても具体的に解説してくれている。テレビや新聞をうまく活用する話。外を歩く話、逆転の発想・・・などなど。このあたりについて、興味深いな・・・と感じたのは、発想力について同様に説いた小山薫堂氏の「もったいない主義」に通ずるところが多々あったという発見だ。外を出歩くとか、逆転の発想とか・・・数々の成功者が口をそろえて説くわけだから、本当にその通りなのだろうと、心底思うのだ。

さて、やや横道にそれたが、企画書を書く人、提案書を書く人、プレゼン資料を作る人・・・など、なにか人に訴えかける資料を作る職業にある人なら、読む価値はあるだろう。「いやいや、もう提案書なんぞ、何枚も書いてるし、今更シンプルな話を聞かされても・・・」と思った人がいるとしたら・・・その人こそ読むべきだ。なぜなら、私がそうだったからだ。熟練者ほど、手の込んだ資料を作りがちで、ひと言で伝える重要性を見失いがちではないか・・・とそう思うのだ。


【類書】
もったいない主義(小山薫堂著)

2 件のコメント:

石田章洋 さんのコメント...

ご紹介ありがとうございます!

りょう さんのコメント...

こちらこそ、ご丁寧にコメントを頂戴し、ありがとうございます。・・・と、同時に対応遅れすみませんでした(最近、本から逃げてました・・・)。

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