2018年2月15日木曜日

書評: お金2.0

直前に読んだのがビットコインの本だったので、お金つながりで手に取った。

「あー、これだよこれ。自分もなんとなく感じていて、でもうまく言葉にできなかったものってこれだったんだ」

それが本書を読み終えた時に最初に持った感想だ。
じゃぁ、それが一体何かと言えば、私流の言葉で表現すると次のような疑問に対する答えだ。
  • なぜゴールのないゲームにこそ人はハマれるのか?
  • 一見無意味に見えるけど、人が何かにハマる行為がお金に変わる理由って何なのか?
  • ベストじゃないがベターと言われ続けてきた資本主義の次のステージは何なのか?

著者はこう答える。

ゴールのないゲームにハマれるのは、それが人の脳を刺激するポイントを全て抑えているからだ、と。 具体的には、ヒエラルキー、コミュニケーション、インセンティブ、リアルタイム、不確実性が伴うと自律性と永続性を帯びるという、、、やや難しい表現だが、まぁ要するに、ゴールがあるかどうかはさしたる問題じゃないのだ。

また、一見無意味に見える行為がお金にかわる世の中になりつつあるのをうまく説明できないのは、モノの価値を「お金」で語ろうとするからだ、と。金銭的値段がつくものが必ずしも価値があるのではなくて、テクノロジーのおかげで価値あるものに金銭的値段がつくようになってきただけのことだ。つまり本来のあるべき姿に進もうとしているわけだ。

私自身、何とは無しに感じていたことで、決して斬新な話ではないが、今の世の中に起きている価値観のシフトを、著者は見事に言語化してくれていると思う。

わかりやすい平易な言葉で書いてくれており、また過去の偉人の格言を引用する文章には著者の教養の深さを感じるし、それがまた本書の信頼度を上げていると思う。強いて難点をあげるなら、やや抽象的な表現が多い点だろう。 本書の価値を下げるものではないが、具体的な話がもっとあるとなお良かった。

まとめると本書は、我々が今後、何を価値の尺度において、個人の人生や、会社の経営を目指すべきか、、、そのキャリブレーションをしてくれるもの。そう思う。

私個人は経営者として、これまでも常に「自分たちの付加価値は何か」を問い続けてきたが、より一層の自身への問いかけと社員への教育が必要だと感じた。
 

 
 

0 件のコメント:

書評: 3 行で撃つ <善く、生きる>ための文章塾

  「文章がうまくなりたけりゃ、常套句を使うのをやめろ」 どこかで聞いたようなフレーズ。自分のメモ帳をパラパラとめくる。あったあった。約一年前にニューズ・ウィークで読んだ「元CIAスパイに学ぶ最高のライティング技法※1」。そこに掲載されていた「うまい文章のシンプルな原則」という記...