2018年2月13日火曜日

書評: いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン

(8ヶ月ぶりの投稿...。だいぶ活字から離れてましたが、また徐々に)

ビットコインがまた世間を賑わせている。ブロックチェーンは注目すべき技術だ。良くも悪くも、そう思う。

書籍:  いまさら聞けない ビットコインとブロックチェーン
著者: 大塚雄介

本書は、ビットコイン、いや仮想通貨になぜ人が注目しているのか、その基礎技術であるブロックチェーンとは何かについて、そのイロハを解説している。例えば次のようなことだ。
  • 仮想通貨の生まれた歴史
  • その存在意義
  • 使われている仕組み(公開鍵、暗号鍵、ハッシュ、ブロック、マイニング、承認)
  • 仮想通貨の種類と特徴
  • ウォレットやアドレスの仕組みなど
わかりやすい。最初に感じたことだ。ブロックチェーンの本は、最初のホワイトペーパー(9ページ程度のもの)を始め、いくつか読んだことがあるが、わたしのレベルにはこの本が最も理解しやすかった。

具体的には例えば、著者は「仮想通貨を、ゲームで登場する通貨が現実世界で売り買いできるようになった類だ」と表現する。ただし、そこに有限(希少)であること、勝手に偽造できないことが加わって、通貨らしいというか兌換紙幣らしい形を整えているという説明はなんだかしっくりくる。他の人とポイントを交換できないPASMO/SUICAのそれとも、航空会社のマイレージとも違うのもわかる。

同時に本書を通じて基礎技術の考え方を理解することで、「ブロックチェーン論文を書いた人やその実現にこぎつけた開発者の連中は天才だ」...そう唸らずにはいられなかった。今の法定通貨のように日本銀行やFRBなど中央銀行管理する中央集権型ではなく、分散型思想に基づいた設計。法定通貨の造幣に当たるマイニングが必要となるような機能。分散型ではマイニング(造幣)をする人が必要だが、そこに動機が働くような報酬の仕組み。技術革新を考慮した4年に一回の報酬レートの変更。発行に自動的に上限が設定されるような仕掛け。こうした世の中にインパクトをもたらす技術が、国や企業の力に頼らず生まれてきたという現実に驚きを禁じ得ない。

ところで本書で得た知識などをもとに冷静に仮想通貨を観察してみると、なるほど将来、我々の生活に影響を与える技術であることに間違いはなさそうだ。ビットコインそのものが成功するかどうか、、、失敗するという識者も少なくないので、そこはわたしにはわからないが、形を変えても残っていく技術だと思う。

であるならば、なおさら時代の趨勢に乗り遅れないよう、こうした技術について勉強しておくべきではなかろうか。本書には、仮想通貨に将来性があるのか、自分たちの世界にどう影響を与えそうか、考える機会をもらった。 できれば、こうした本と同時にYouTubeなどでも色々な識者が、発言しているのでそうしたらものも観ると、なお自分なりの意見が持てるのではないかと思う。

最後に余談だが、本の著者が関係する会社でも事故が起きた。だが、私はニュートラルに本だけを見て本の判断したつもりだ。



 

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