著者のベン・ホロウィッツは、IT会社オプスウェア(元ラドクラウド)の創業者。成功して、今は次世代の最先端テクノロジー企業を生み出す企業家に投資する投資家。「私はどうやって成功したか」と言う目線で書かれた本はゴマンとあるが、この本は違う。「私はどうやって危機を乗り越えたか」を書いた本、と言い切ってもいいだろう。フィクションであったとしても、なかなかここまでの窮地を描くことはできないだろう、と思うほど、「これでもか」「これでもか」といった危機を経験し、必死でもがき、そして乗り越えた話がそこにある。
本書を読んでまず一番の大前提に気づかされる。
それはCEOは、戦艦の艦長であり、副社長含めそれ以外の人と持っている責任の重さが全く違うと言うことだ。なんとなくわかってはいたが、どれだけ違うのか、と言うことが著者の体験談を通じてはっきりと理解できる。
こういう前提があるから、
- CEOは、持っている責任の重みが違う人にヤンヤ言われても、その通りに意思決定しても救われないし、解決もしない。頼りすぎてもいけない
- 加えて、良い手がないときに集中して最善の手を打つ能力がCEOには必要不可欠になる
- ビジョンをいきいきと描写できる能力
- 正しい野心
- ビジョンを現実化する能力
- 部下のことを優先して考える力
とりわけ、著者の次の言葉は強く印象に残った。
「真に偉大なリーダーは、周囲に『この人は自分のことより部下のことを優先して考えている』と感じさせる雰囲気をつくり出すものだ」(本書より)
みなさんは、自分に足りないものが何かわかっただろうか。少しでも興味を持ったのであれば、本書を手に取ってみることをお勧めする。