2016年4月13日水曜日

書評: インド数学の発想 〜IT大国の源流を語る〜


ふと、ホントーにふと、インド人はなぜITに強いのか? もしかして日本人より数学が得意なのか? ゼロを発明したことが関係しているのか? もっと言えばなぜゼロを発明できたのか?もしかしたら、そこには彼らの宗教観や言語なども、関係しているのでは? そこで得たヒントはもしかして子供の教育にも生かせるのでは?

答えを知ったらどーなるんだ?というツッコミはおいておいて、そんな疑問がたくさん湧いたので、とにかく手っ取り早く答えを知りたいとアマゾンで探して本書を買った。

結論から言うと、欲しい答えは全て得られた。本を買わなければ得られなかった答えなのかどうかは別にして。満足のいく答えだったかどうかは別にして。

本書の著者にはもちろん縁がなかったわけだが、凄いと思う。何がって、本当に歴史を深く研究し紐解いているから。インドでは九九掛け算は19×19まで暗記しているのかどうかとか、インドでの数学の教え方は日本と実際違うのかだとか、ゼロは本当にインド人が発明したのかだとか、地球の自転についてインドの学者どう考えていたのかだとか、それはもう、詳しい。

既に述べたように疑問の全ては明らかになった。が、答え以外の領域への著者の踏み込み程度は、深海のよーにハンパないわけで、読書家としての忍耐力が少ない私は、後半に息切れしてしまった。もー、読み飛ばすわ、読み飛ばすわ。

加えて、「ITはなぜインドで発達したのか」という疑問に対して、「カースト制に縛られない新興職業だから」という一行を読んだ時、説得力ある、でもあまりの単純明快さに、「こんなことなら本買わずにググっておけば良かった」という、やるせなさ、も感ぜずにはいられなかった。

まぁー、冒頭でもあげたように他にも疑問がたくさんあったわけだから、本書は無意味だったとは言わない。二桁の大きな数字の掛け算の面白い方法も学べたし。息子の反応は「ふーん」程度ではあったが、私は確かに感動した。

総括すると、そんなわけで...費用対効果は人によってだいぶ変わりそうだ。気軽に読める本ではないので、目的意識がはっきりできない限りはオススメしない。購入される際には私以上に慎重になられたし。

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