2020年12月26日土曜日

書評:High Output Management

「過去に大企業の会社運営で苦労した人の考えを知ろうとしないなんてもったいない」・・・そう思わせてくれた本だ。

HIGH OUTPUT MANAGEMENT(著者:アンドリュー・S・グローブ)

同著者の「パラノイアだけが生き残る」を読んで、感銘を受けていたこともあり、この人の本なら間違いないだろうとの思いから手を出した。

著者のインテルでの経験を基に、企業のミドルマネジメントの”あるべき姿”を書いた本だ。著者は、あの偉大なインテルの第一号の社員であり、1979年から社長、そして会長を2004年まで担った有名な人物だ。ミドルマネジメントのあるべき姿のすべてとは具体的には、役割・責任、立ち振舞方、生産効率の上げ方、1on1、教育・訓練、退職者への対応、人事考課などなどを挙げることができる。

超大作なので読むのに時間が必要で(私は1日で読み切ることはとてもできなかったが)、概念的な話に終始するものではないので、読みやすかった。何より具体的で著者自身の体験談が書かれており、ときにはそのときの思考プロセスが描かれていたので、興味を持って読むことができた。

得られたことはたくさんあった。気がつくと私のメモには・・・「組織不全の真の兆候は、人が25%以上の時間を、臨時に開かれる使命中心ミーティングで過ごすときに現れる」、「ワンオンワンミーティングは最低1時間は続けるべきであろう。私の経験で言うと、時間がそれ以下の場合には部下が持ち出してくる問題は、素早く取り扱える簡単なものにおのずと限定されがちである」「われわれは(人事考課において)スター的従業員の業績改善の試みにもっと時間を使うべきではないか」など、たくさん書かれていた。

実際、メモに取ったもののいくつかは、直接私が面倒を見るリーダーやメンバーたちに伝えたいと思ったし、人事考課における取り組み方など、いくつか会社で実践してみたいと思うことがあった。

ビジネスパーソンなら全員が読むべき内容である。「ミドルマネジメントのあるべき姿」という以上は、ミドルマネジメントはもちろんのこと、そういうミドルマネジメントを育てていかなければいけない経営者、やがてミドルマネジメントを目指す人は全てその対象になるからだ。


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