「運脳神経」のつくり方 ~運動も勉強もできる脳を育てる~
著者: 深代千之
出版社: ラウンドフラット
価格: 1,500円
■文武両道は成り立つ!?・・・いや、成り立たせるべき!
本書は、運動が脳の活性化・・・つまり、頭を賢くするのに大いに役立つことを、科学的・統計学的に証明するとともに、脳を活性化させる具体的な実践方法を解説している本である。
なぜ運動することが頭を賢くすることなるのか。本書によれば、運動も勉強も、実は脳を使うからだ、という。「運動する=体を鍛える」というイメージが先行するが、「運動する=脳を鍛える→体を鍛える」なのだそうだ。わかりやすく書けば、次のようになる。
「運動する=脳を鍛える(→体を鍛える)」=「勉強する=脳を鍛える(→指先を動かす)」
■実践方法を図解入りで解説
日本大学総合科学研究科の林成之(はやしなりゆき)教授は、その著書「脳に悪い7つの習慣」の中で、脳に悪い習慣の1つとして「スポーツや絵などの興味がない」ことを挙げており、具体的に、手軽にでき、かつ、得られる効果が高い運動として”キャッチボール”を薦めていた。
面白いことに、今回の本の著書、深代教授も、技術(テクニック)を磨く運動の典型例として、キャッチボールを挙げている。指先や手首、腕の関節をどう動かすのか、ボールをどのような力で、どういう放物線を描くように手放すのか、様々なテクニックが求められるからだ。もちろん、プラクティスにいいのはキャッチボールだけではない。体の捻り、大また歩き、足指歩き・足指遊び・・・など、10を超えるプラクティスの実践方法が紹介されている。
そう・・・まさに、こうした効果的な実践方法を図解入りで具体的かつわかりやすく解説しているのが本書の特徴でもある。
■受験生から、ビジネスマン、育児中の親にいたるまで
ところで、深代教授によれば「プラクティスによる効果の有無に年齢は関係ない」とのこと。したがって、年齢問わず、自分の脳力を高めたいという人には有り難い理論だ。特に、運動がおろそかになりがちな受験生やビジネスマンこそ、読んでおくといいかもしれない。
もちろん、育児の真っ最中・・・という親も一読の価値があるだろう。なにせ、神経細胞が発達するゴールデンエイジは3歳ぐらいから小学校低学年までなのだそうだから。ちなみにわたしは、育児に活かす目的で本書を買ったクチだ。
■理論を理解すること、と、実践することは別問題
本書を読めば、運動(プラクティス)が脳に良いことは十二分に理解できる。また、それを実現するための方法も理解できる。しかし当然ながら、本書を活かすも殺すも、理解したことを実行に移せるかどうか・・・それが全てである。わたしを例にとると、読了後、一応家の前で自分自身、体を捻ってジャンプしてみたり、大股で歩いてみたり・・・また、息子と数ヶ月ぶりに公園でキャッチボールをしてみたり、サッカーをしたり・・・してはみた。果たして、これを数ヶ月後も実践できているかどうか・・・それは私にもわからない。
理論と実践方法を学ぶにはベストな本だ。それは間違いない。後は、実行し続けることができるか・・・その意志があるかどうかが、この本を買うかどうかの判断の分かれ目と言えるだろう。
・脳に悪い7つの習慣(林成之著)
===素人が150Kmの剛速球を打ってしまう衝撃===
先日、朝の番組が「集中力のプロは、やったことのない運動でもそれなりの成果を出せる」・・・そんな証明をすべく、ある実験をしていた。速読のプロ(女性)、カルタとりのプロ(女性)、そろばんのプロ(男性)・・・いずれも野球など一回もやったことがないという成人だが、この人達にピッチングマシンから投げ出される150Kmのボールを打ってもらう、という実験だ。150Kmというと、野球をやっていた人でも、そのスピードになれるまでかすることも難しい球速だ(わたしも野球をやっていたので分かる)。なんと、この3人、練習なしでいきなり10球中6~8球を打ち返すという快挙をやってのけた。専門家に言わせると、ボールのリリースからバッター(自分)の手元に届くまで、そしてそれにあわせて自分の体のどの部位をどの程度のスピードで動かせばあたるか・・・そういった脳の計算処理のスピードが一般人よりも速いのだそうだ。「運脳神経」の実例を、まざまざと見せつけられた・・・本当に衝撃の映像だった(2013年4月27日追記)
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