この本を読むとリスク感度がどうして人によって異なるのか、それはどうやれば養えるのかのヒントを得ることができるだろう。
タイトル:なぜ危機に気づけなかったのか 〜組織を救うリーダーの問題発見力〜
著者:マイケル・A・ロベルト
冒頭で述べたように、本書は、誰よりもいち早く問題に気づいて行動を取ることができた人はどういう人だったのか、それはどういう理由だったのか、そこに共通要素はあるのか、あるとしたらそれはどうやったら標準化できるのか、それをやった事例はどんなものか、などといったことについて書いてある本だ。
例えば、オーストラリアのいくつかの病院で、容態が急変し亡くなる前に、患者の異変にいち早く気づくためにどうしたらいいのかについて取り組みを行なった事例が紹介されている。彼らがやったことはおおよそ3つあり、1つ目としては各病棟に心停止の前兆となりうるトリガー例を貼り付けてあるそうだ。2つ目としては、そうしたトリガーに基づいてアラートをあげた看護師の声に、いち早く処置できる緊急対応チームを立ち上げたそうだ。第3に、看護師が誤った警報を出しても、一切咎めないというルールを徹底したそうだ。なお、緊急対応チームは、火災で言えば、いわば煙の段階に対応・処置するチームであり、消火役のコード・ブルー・チームとは一線を画している。
言い換えれば、本書は昨今よく言われる「バッドニュースファースト」をどうやったら実現できるのか、について解説している本ということもできる。組織では、「なかなか問題が起きていることに気づけない」「気付いたとしても上げようとしてくれない」「あげたとしても情報にフィルターがかかってしまう」など、あらゆるところにインシデント対応上のハードルがあるが、それをどうすれば取り除けるのか、についてたくさんのヒントが書かれている。
組織の再発防止やインシデント管理を洗練させたいのなら、おすすめの一冊だ。
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