ISACAの記事「Business Skills for the IT Audit and Assurance Professional(IT監査におけるビジネススキル)」を読んだ。
「IT監査をする者には、テクニカルスキルだけでなく、ビジネススキルが必要であり、企業は組織のITの使い方や利用度に合わせて、それを監査させる者のスキルの持たせ方に配慮せねばならない」というのが趣旨だ。
「技術が分かっているだけでは、ビジネスに役立つ監査はできない」
それは全く当たり前のことだと思う。何を今更言っているのか?という気すらしてしまう。
ただし、確かに当たり前のことなのだろうが、
「技術を持っているから即IT監査人になれると思う人が溢れており、実際、そうしている人が多い」
「マネジメント自身もIT監査人を技術者扱いしてしまい、本来は共有すべき経営情報を共有していない」
といった事態が現実には多いのだろうと推察される。自身もそういう現場を数多く見てきた。
なお、せっかくなので記事の概要をまとめると、
まず、IT監査のあるべきアプローチ方法として、
1. 監査対象とする企業の属性を定義する
2. 企業の属性に応じて、その企業の8つの項目について理解する
3. 監査を行う
と述べている。ここで「1. 監査対象とする企業の属性を定義する」については、大きく以下のような種類を挙げている。
・金融業(Financial Services)
・大規模コンシューマー向け産業(Consumer-intensive)
・ヘルスケア(Health care)
・運輸業(Transportation)
・政府(Government)
・資源(Resource Industry)
・製造(Manufacturing)
・農業・漁業(Extractive)
・生活インフラ(Utilities)
・パブリックセクター(Public Sector)
・非営利団体(Nonprofit organizations9
また「2. 属性に応じて、その企業の8つの項目について理解する」における「8つの項目」とは以下のことを指している。
・業界・組織(Organization)
・統治・業務分掌(Governance)
・法規制(Laws and Regulations)
・ビジネスプロセス(Business Processes)
・オペレーション(Operations)
・技術の使い方(Use of Technology)
・ビジネス上の成果として活用される指標(Business Measurement)
先述したとおり、至極ごもっともな話だが、このような項目に対する理解は、IT監査人に限った話ではなく、企業において何らかの改善活動や仕組み作りを行う者にとっては、当然、実施すべきタスクであるように思う。私自身、企業において様々なコンサルティングをしてきたが、どのような目的のプロジェクトであっても、上記8項目は最初に抑えておく、というアプローチが最も重要だと感じている。
ただし、監査人一人に求めるスキルとしてはかなり贅沢な要求だと思う。難易度が高いわりに、IT監査人に対する経営陣の意識は低く、なおかつ、まだまだ報酬も低いのではないだろうか。特に日本においては。
20代後半から、今日にいたるまで毎日を全速力で駆け抜けてきました。疾走するスピードは毎年加速度的に増えています。 そんな自分の足跡を残したい、考えを整理したい、自分の学びの場としたい・・・こういった思いからこのブログを立ち上げました。とりわけ、読んだ本や雑誌、観た映画、その他遭遇した事件・・・などなど、思いの丈を吐露しています。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
書評: 3 行で撃つ <善く、生きる>ための文章塾
「文章がうまくなりたけりゃ、常套句を使うのをやめろ」 どこかで聞いたようなフレーズ。自分のメモ帳をパラパラとめくる。あったあった。約一年前にニューズ・ウィークで読んだ「元CIAスパイに学ぶ最高のライティング技法※1」。そこに掲載されていた「うまい文章のシンプルな原則」という記...
-
現在、ロシアはサンクトペテルブルク滞在中。 さて、ふと 「自分の苗字のルーツはなんだろうか?」 と思った次第である。私の苗字である勝俣(かつまた)は、富士山の周りに多い、というのは以前から噂に聞いてきたことだが、インターネットを駆使してもう少し調べられないものかと奮起してみた。 ...
-
さる8月21日グランドラピッズ(ミシガン州)のお寿司屋さんに行ってみた。MIKADO(ミカド)という名前のレストランである。きっと”帝”をモジっているのだろう。 ぱっと見たお店の雰囲気は、 忍者タートルズ の世界である。なんか、全て造りが大げさで、日本のように見えない。お店の中な...
0 件のコメント:
コメントを投稿