会社全体の生産性だけでなく、仕事場や私生活において個人としての生産性向上は誰もが考える身近なテーマだ。そんなわけで、前回の号に引き続き、今号も気に入った。時間がある人には、ぜひ一読をお勧めしたい。
私が5月号を読んで、心に残ったのは以下のような記事だ(※以下に挙げたものは、記事の実際のタイトルではなく、記事の趣旨を私流に表現したものだ)。
- 「顧客は長い時間待たされても、待たされている理由を知らされると安心する」
- 「効率的に事を運べる上司は、同じ事を何度も繰り返して言う」
- 「iPad2」とネーミングするか全く異なる名称にネーミングするかで、顧客の対応が異なる」
- 「生産性を上げたいのなら、ToDoリストの作り方を工夫しろ」
彼の主張は、一言で言うと「実は、マーケティングって、世の中のみんなが思っている以上に、人類に非常に重要なものなんじゃない?」ということだ。
Ariely氏は記事中、次のように述べている。
"I propose that getting people to want things they don't really need may be far more valuable to society than we think.(人が必要に思ってないモノを欲しい気持ちにさせることは、一般に思われているよりも、はるかに社会にとって価値あることではないだろうか、と問いたい)"
彼がこう主張する論理を整理するとこうだ。
「そもそも何が世の中の役に立つかはフタを開けてみなければ分からないことが多い」
↓
「どうでも良さそうなモノに見えたけど使ってみたら、凄く役に立った!と気づくこともあるだろう」
↓
この前提に立てば、一見、人が必ずしも必要と感じていないモノに購買欲求をもたせるための活動(マーケティング)は、実は、すごく大事な活動なんじゃないか?」
不景気になると決まって真っ先にコスト削減のヤリダマに上げられる販管費だが「そんな軽いノリで削減するのはお門違いでしょ」といったところだろうか。
ここでふと思い出されるのは、かのスティーブジョブズ氏の発言だ。彼は大学生の時に、カリグラフィー(書道の西洋版ともいうべきもの)を、将来何の役に立つのかといったことなんて考えもせず、ただ魅了されて、その道をひたすら極めたそうだが、この時のこのカリグラフィーとの出会いがなければ、アップル社のマッキントシュは生まれなかっただろうと後に述べている。その時に点でしかなかったものが、後から別の点とつながって線になる・・・このような線は、最初から見えていないことの方が多い、という同じような主張だ。
【カリグラフィー】
そんなわけで、たった1ページの記事だが、Dan Ariely氏の主張は一理も二里もある。彼の思いが伝わってくる・・・「マーケティングを単なるコストと見るなかれ・・・」と。
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