2016年2月6日土曜日

書評: 色彩を持たない田崎つくると、彼の巡礼の年

著者:村上春樹

久々に読んだ・・・村上春樹の小説。うーん、好きだ。村上節は健在だ。百田尚樹もそうだが、テンポがいい。過度な情景描写はない。でも、シンプルかつ美しい言葉で読み手の頭の中に情景を思い描かせる。

主人公の田崎つくるは、高校時代、仲良し5人グループの一人だった。このグループは、主人公曰く・・・完璧な調和がとれたグループだった。そうまさに完璧だった。この関係は、つくるが地元の名古屋を出て、東京の大学に進学したあとも決して壊れることなく続いた。そんなある日・・・つくるは、4人から絶縁される・・・。物語は、30代になった主人公つくるが、当時のことを振り返る場面から始まる。いったい何が起こったのか。

読んで感じるのは、一応の爽快感?・・・。同時に、たくさんの疑問。物語のあちからこちらに登場する、不思議な話、悲しい話、つらい話、明るい話・・・。咀嚼するまもなく、本を読み終えてしまう。

そんな中で、私が感じたのは、

 ・世の中、自分の思い通りにならないことなんていっぱいある
 ・自分の思い込みもたくさんある
 ・事実・現実から目を背けて何も解決しない
 ・意思とは無関係に、時間は流れてゆく

泥臭く頑張るのはかっこわるい、そこまで頑張って何がかわる・・・など、何事もクールにすまそうとする・・・人々・・・現実逃避しがちな若者こそ、読むべき物語なのかな・・・と感じた。

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