頭でっかち・・・裸の王様・・・
この病気にかかると、抜け出すのはなかなか難しい。ではどうするのか? 同じ体験をした著者が書いた次の本を読めば良いのではないかと思う。
著者は大学進学せず、視野を広げるべく2年間かけて世界中を飛び回ったというやや移植の経歴の持ち主だ。そんな彼は、プロデューサーめざして、スタジオジブリへ就職。ただ、一風変わった人生を歩んできたがために、いわゆる頭でっかち...「俺は世界を知っている」「自立している」「自分の意見を持っている」を自負しすぎた部分があったようだ。
そんな彼は仕事はできるが、職場でぶつかる。同僚から、見放される。クビ寸前まで言ったらしい。
そこで救いの手を差し伸べたのが、あの天才プロデューサー鈴木敏夫。別名、再生請負人。私も、鈴木敏夫氏は、実際に人を活かす天才だと思う。それを証明する一例がある。これは本書からではなく、鈴木敏夫氏のラジオ番組で聞いた話だが、崖の上のポニョで、大橋のぞみちゃんとともにポニョの歌を歌った藤巻氏という人がいる。博報堂の担当者だったらしいが、まぁ、(話を聞く限りでは)仕事があまりできない人だったらしい。鈴木敏夫氏の藤巻評はいつも惨憺たるもの。「じゃぁ、なんで付き合うのか?俺だったら付き合いやめるよ」と思うのだが、鈴木敏夫氏は、やめるどころか、なんと素人なのに、藤巻氏を歌手デビューさせてしまう。そしてこれが大当たり。私にはとてもできないことだ。
そんな再生請負人、鈴木敏夫氏に育てられた部下である著者。鈴木氏から受けた6年間にわたる指導の内容・・・今、すごく役に立ったと感じている当時のその瞬間・・・。それをまとめているのが本書である。
○鈴木敏夫の仕事の流儀
「自分の意見を持つな。何か言おう、言おうって思ってると人の話が聞けなくなる。君は自分の意見ばかり、考えて人の話を聞けてない」
「大事なことは、監督が作ったものをそのまま届けること」。
「意見は他人の真似でいい」
「怒りを10段階でコントロールしろ。本気で起こることは1年に1回か2回くらい。それ以外はたいてい大したことないんだ」
・・・鈴木敏夫氏の発言が印象的だ。また、観客を魅了する話術・・・枕から始める話。私自身鈴木敏夫氏のラジオ番組の話を聞いて一発で引き込まれたのでこの点には強く興味があったが、なるほどな・・・と思った。
「怒りを10段階でコントロールしろ。本気で起こることは1年に1回か2回くらい。それ以外はたいてい大したことないんだ」
・・・鈴木敏夫氏の発言が印象的だ。また、観客を魅了する話術・・・枕から始める話。私自身鈴木敏夫氏のラジオ番組の話を聞いて一発で引き込まれたのでこの点には強く興味があったが、なるほどな・・・と思った。
色々とある中で、最も印象的に残ったのは、鈴木敏夫氏の流儀だ。どう受け取られるか、「こちらがどう」ではなく、「受け手がどうとるか」...その一点に最大限フォーカスして、答えを導き出すプロフェッショナルな姿勢には頭が下がる。
典型的な受け手は映画を観てくれるお客様だが、それだけ話ではない。例えば、一緒に働く仲間。取引先の人。自分が「どんなに正しい」と思ってやっても、写る人の目にどう写るかで全ては決まるという話。オフィスで日経新聞を朝から広げて読んでいた著者が、鈴木敏夫氏に(なぜか)注意されるシーンがある。何故叱ったか・・・は読み進めると分かるが、「受け手がどう思うかがすべて」・・・を端的に表す事例だ。
○指導者も、指導される側も
そもそも本書を読んだのは著者に興味があったからではなくて、鈴木敏夫自身に興味があったからだ。彼に、強烈な魅力を感じている。ラジオ番組で聞いていて、いちいち、彼の話に惹き込まれる。宮﨑駿や高畑勲の裏話、天才との接し方、マーケティングの体験話・・・など、面白い話は尽きない。
私はそのような理由で本書に手を出したわけだが、実際のところ、本書がどう言った読者層に向いているかといえば、2者に分けられるだろう。
1つは、著者の若かった頃同様にこれから社会人になるんだ・なろうという人、あるいは著者のように頭でっかちな人に向いた本だろう。どのような心構えで仕事に臨むべきか、裸の王様にならないための、ヒントを得ることができる。
もう1つは、人を活かさねばならない立場を担う人...そう例えば、プロデューサーを目指す人や、プロデューサーライクな立場にいる人・なろうとしている人、すなわち例えば、プロジェクトマネジャーやミドルマネジメントの役割を持つ人などに向いていると思う。こうした人たちが読めば、昨今の若者との接し方について、なにがしかのヒントを得られるかもしれない。
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