出光興産創業者、出光佐三(いでみつ さぞう、1885年8月22日 - 1981年3月7日)の人生物語。アメリカのメジャーが牛耳る石油業界。日本企業も、その資本に次々と飲み込まれていく中、敢然と立ち向かう主人公。決して、あきらめない、従業員を馘首しない、...ブレない信念を貫き続け、激しく戦い、まさに海賊のような人生を全うした男の物語である。
印象に残ったことを挙げよ・・・と言われれば、次の3点に尽きる(ネタバレはしないように配慮してます・・・)。
1点目:主人公の“自ら考える力”
「こんなに思慮深く、三歩先を冷静に読む男が、本当にいたのかなぁ」と思えるほどの人生。たとえば、主人公は、彼の同級生が大手企業に就職先を決める中、明確な目的・根拠を持って、異なる道を選んだ。今の世の中でもこういったことができる人は少ない。今の学生でこういった行動をとれる人がどれくらいいるだろうか。ちなみに、以前、このブログで書いたが、上場企業約1700社のうち、テレビCMを流している有名企業(約10%)に志望する学生が大半だそうだ。また、私の就職時代には、証券会社はボロボロだったし、ソニーは輝いていた・・・ので、それにしたがった就職人気っぷりだったが、その後の状況はご存じの通り。
2点目: 主人公のブレなさ加減
主人公のブレなさっぷり・・・果たして、現代において、横に並びうる人がいるのだろうかと思えるほどだ。ただし、単に意思が固い人というだけでは印象に残らない。そんな人はたくさんいる。彼のブレなさ加減を際立たせるのが、ぶつかった壁の大きさと数である。艱難辛苦という言葉はまさにこの人のためにあるのではないかと思えるほど、すさまじい難題がつぎつぎと降りかかってくる。にも関わらず、めげないし、決して信念を曲げないのである。
3点目:日本の踊らされっぷりと気づかなさっぷり
本を読んでいると、日本は敗戦国であるということ、そして敗戦国は、合法的に搾取される対象であるということ・・・を改めて思い知らされる。多くの場面で、そうした事実に気づかず、あるいは状況が読めず、いいようにもてあそばれてきたわけだ。本書は、あくまでも石油業界の話だが、主人公のような人物がいなかったら、今の時代どうなっていただろう・・・と考えてしまう。もちろん、現代にいたっても、なお、似たようなことが色々な業界において続いているのだろう・・・と強く感じた。
話はズレるが、先日、たまたま著者の「私の履歴書」(日経新聞 復刻版)シリーズに目を通す機会があった。そこで読んだ次の記事を紹介しておきたい。
『私は一生を通じて、人とは異なった、ある一貫したものを持ってきた。それは何かというと、読書に縁がないという――これは自慢になるかならないかしらないが、とにかくそういうめぐり合わせになったのだが――恵まれなかったことだ。どういう原因でそうなったかというと、生まれたときは非常にいい体質をもって生まれたのだけれども、小学校に行くころから体が弱くなり、本を読む力がなかった。子供のくせに不眠症や神経衰弱になってしまったのである。読みたいという欲は十分あるのだが読めない。そこで読書をのけて私には一つの習慣がついた。それはものをよく考えるということである。何かやるにしても考えて考えて考え抜く。それが私の一生である。(後略)』
(私の履歴書復刻版 出光佐三「第1回 少年のころ 二つのめぐみで成長 いざこざのない平和な生家」より)
本を読まない・・・というか、読めない人であった事実・・・だが、それが逆に「考え抜く」という力を与えた事実・・・。「本を読め、読め」と誰しもが口をそろえて言う時代(私もそう)にあって、これは・・・本当に衝撃的なことだ。「世の中、立派な人間になるためには、絶対にこうじゃなきゃいけない」なんてことは、世の中一つもないんだな・・・と思い知らされた。同時に、小説を読んで感じた、主人公の“自ら考える力”や“ブレなさ加減”の原点はここにあったのか・・・と気づかされた次第だ。
百田尚樹氏の本は、小説「永遠のゼロ」でもハマったが、「海賊とよばれた男」は、あの本以上に読まなきゃ損だ。
今の日本人に最も足りていないモノ・・・本書を読むと、それが何か、それがどれだけ大切なことか・・・こうしたことを体全体で、そして全力で、体感することができるだろう。
印象に残ったことを挙げよ・・・と言われれば、次の3点に尽きる(ネタバレはしないように配慮してます・・・)。
1点目:主人公の“自ら考える力”
「こんなに思慮深く、三歩先を冷静に読む男が、本当にいたのかなぁ」と思えるほどの人生。たとえば、主人公は、彼の同級生が大手企業に就職先を決める中、明確な目的・根拠を持って、異なる道を選んだ。今の世の中でもこういったことができる人は少ない。今の学生でこういった行動をとれる人がどれくらいいるだろうか。ちなみに、以前、このブログで書いたが、上場企業約1700社のうち、テレビCMを流している有名企業(約10%)に志望する学生が大半だそうだ。また、私の就職時代には、証券会社はボロボロだったし、ソニーは輝いていた・・・ので、それにしたがった就職人気っぷりだったが、その後の状況はご存じの通り。
2点目: 主人公のブレなさ加減
主人公のブレなさっぷり・・・果たして、現代において、横に並びうる人がいるのだろうかと思えるほどだ。ただし、単に意思が固い人というだけでは印象に残らない。そんな人はたくさんいる。彼のブレなさ加減を際立たせるのが、ぶつかった壁の大きさと数である。艱難辛苦という言葉はまさにこの人のためにあるのではないかと思えるほど、すさまじい難題がつぎつぎと降りかかってくる。にも関わらず、めげないし、決して信念を曲げないのである。
3点目:日本の踊らされっぷりと気づかなさっぷり
本を読んでいると、日本は敗戦国であるということ、そして敗戦国は、合法的に搾取される対象であるということ・・・を改めて思い知らされる。多くの場面で、そうした事実に気づかず、あるいは状況が読めず、いいようにもてあそばれてきたわけだ。本書は、あくまでも石油業界の話だが、主人公のような人物がいなかったら、今の時代どうなっていただろう・・・と考えてしまう。もちろん、現代にいたっても、なお、似たようなことが色々な業界において続いているのだろう・・・と強く感じた。
話はズレるが、先日、たまたま著者の「私の履歴書」(日経新聞 復刻版)シリーズに目を通す機会があった。そこで読んだ次の記事を紹介しておきたい。
『私は一生を通じて、人とは異なった、ある一貫したものを持ってきた。それは何かというと、読書に縁がないという――これは自慢になるかならないかしらないが、とにかくそういうめぐり合わせになったのだが――恵まれなかったことだ。どういう原因でそうなったかというと、生まれたときは非常にいい体質をもって生まれたのだけれども、小学校に行くころから体が弱くなり、本を読む力がなかった。子供のくせに不眠症や神経衰弱になってしまったのである。読みたいという欲は十分あるのだが読めない。そこで読書をのけて私には一つの習慣がついた。それはものをよく考えるということである。何かやるにしても考えて考えて考え抜く。それが私の一生である。(後略)』
(私の履歴書復刻版 出光佐三「第1回 少年のころ 二つのめぐみで成長 いざこざのない平和な生家」より)
本を読まない・・・というか、読めない人であった事実・・・だが、それが逆に「考え抜く」という力を与えた事実・・・。「本を読め、読め」と誰しもが口をそろえて言う時代(私もそう)にあって、これは・・・本当に衝撃的なことだ。「世の中、立派な人間になるためには、絶対にこうじゃなきゃいけない」なんてことは、世の中一つもないんだな・・・と思い知らされた。同時に、小説を読んで感じた、主人公の“自ら考える力”や“ブレなさ加減”の原点はここにあったのか・・・と気づかされた次第だ。
百田尚樹氏の本は、小説「永遠のゼロ」でもハマったが、「海賊とよばれた男」は、あの本以上に読まなきゃ損だ。
今の日本人に最も足りていないモノ・・・本書を読むと、それが何か、それがどれだけ大切なことか・・・こうしたことを体全体で、そして全力で、体感することができるだろう。
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