2012年9月15日土曜日

書評: 目からウロコのコーチング

「優れたホステスがやっていることとコーチングは同じこと」

著者はそう言い切る。

目からウロコのコーチング ~なぜ、あの人には部下がついてくるのか~
著者: 播磨 早苗
出版社: PHP文庫


テーマを”コーチング”に絞って本を買いあさり・・・書評も、ついに三冊目(もうそろそろ飽きてきた)(-_-;)

■コーチングの本質をビジュアル化

冒頭で述べたように、本書最大の特徴は、コーチングの要点を優れたホステスがやっていることに喩えて事例を紹介している点にある。

なんとなくボンヤリとして掴みどころの無さそうな”コーチング”というテーマに、ホステスの世界観を持ち込むことによって、その本質が一瞬のうちに読者の頭の中にビジュアル化される。

そういった店に行ったことある人でもない人でも、「あぁ、なんとなく聴き上手ってイメージだよなぁ」とか「相手を乗せるのがウマそうだようなぁ」ってな具合に・・・(^_^;)

たとえば、コーチングのプロセスには「成長させたい相手(例:部下など)を”承認”する」という重要な行為がある。ここでいう”承認”とは”褒める”とは違い、「相手の存在(価値)を認めてあげる」というものだ。この行為について、著者は次のように解説する。

『ホステス(Mさん)は自分のお客が来たとき、別の接客をしていて席を離れられない場合にも、必ず、来店したお客にアイコンタクトで「来店を知っているわ。あなたの存在を知っている」と伝えます。お客もMさんを視線で探していますから、視線同士がヒットすれば、お客は「Mさんに来店を認められた(承認された)」と安心します。』(本書P91より引用)

ものごとを学ぶには、その本質を捉えることが一番大事なわけで・・・その意味では、この本は十分にその要件をクリアしている。優れたコーチング指南書だと思う。

■肌身離さず持ち歩きたい本

もう1つ、この本の良い意味での特徴を挙げるとすれば、文庫本サイズである・・・という点だ。

「そんなの中身の話じゃないじゃん!」

とお叱りを受けそうだが、指南書において、本のサイズは大事だと思う。

中身に限って言えば、2週間くらい前に読んだ「この1冊ですべてがわかるコーチングの基本」も非常に優れていた。いや、むしろ事例の数に勝るという点で、わたしにとっては「目からウロコ・・・」よりも、お気に入りの本であると言えるだろう。しかし、如何せん文庫本サイズがない。持ち歩きには難あり・・・なのである。

コーチング技術をしっかりと身につけたいという人ならば、こういった類の本を常に一冊は携行していたいものである。

本を読んだ直後は知識も鮮明に頭に残っているし、気も高揚するが、時間の経過とともにそれらが薄まっていく・・・。だから、常に原点に立ち返ろうとコーチングの本を手にとってぱらぱらと読み返したくなることが少なくない。

地味な話だが、こうした理由から、文庫本サイズというのは魅力なのだ。(電子書籍リーダーのiPadやKindleも、当然小さいし・・・)

■買うべきか、買わざるべきか

さて、本書を買うべきかどうか。

ホステスのいるお店に通ってコーチングを学ぶか・・・、はたまた、この本を買ってコーチングを学ぶか・・・。ちなみに、本書は約500円。

それはあなた次第・・・。

【類書】
書評: この1冊ですべてわかるコーチングの基本
書評: 子どもの心のコーチング

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