2012年11月11日日曜日

顧客第一主義の意識を社内に根付かせる方法


ハーバードビジネスレビュー(HBR)2012年11月号の「How I Did it」(私はどうやったのか)は、ドイツの総合電機大手シーメンス社長兼CEOのピーター・レッシャー(Peter Loscher)氏の記事。

あのオリンパスのガバナンス問題が子どものように見える。シーメンスでは2007年とんでもない汚職事件が発覚した。事業受注をめぐり、各国の当局者らに13億6000万ドル(約1230億円)の賄賂を贈っていたことが分かったのだ。結果、2008年12月には米国やドイツ当局に総額約10億ユーロ(約1240億円)の制裁金を払うこととなり、当時の社長は引責辞任した。

ちなみに株価の変動を見る限りでは、この事件がどれだけ組織の企業価値に影響を与えたのか、よく分からない(あまり下がってないような・・・(-_-;) )

まさにこの苦難の時期に社長を引き継いだのが、この記事の主人公、ピーター・レッシャー氏だ。彼はいわゆる”プロパー”ではなく、ゼネラル・エレクトリック(GE)から引きぬかれてやってきた外部の人間だ。そんな彼が、どうやってこの組織を建てなおしたのか。

「人の意識を変えなければならない。しかも100年以上も続いてきた意識を・・・」

気の遠くなる仕事・・・それだけは容易に想像がつく。

記事にはビジネスに参考になる話がたくさん見つかるが、中でも「顧客第一」を社内に浸透させるため彼がとった手段の1つが印象的だった。

全てのCEOと役員の前年度の(アウトルック)カレンダー履歴をひっぱってきて、過去1年間に彼らがどれだけ顧客に会っていたか・・・その時間をグラフ化しランキングをつける・・・これを毎年続けるようにしたそうである。

最初の3年間こそ、(本人曰く、残念ながら・・・)社長であるピーター・レッシャー氏自身が1位だったらしいが、その後、ランキングが変わっていったとのこと。

このような話を聞くと「カレンダーなんぞに登録された情報に果たしてどこまで信ぴょう性があるのか」「顧客にどれだけ会ったかが、本当に”顧客第一”につながるのか」「CEOや役員の間に数値で優劣をつけて関係がぎくしゃくしないか」など・・・わたしのような素人は、ついつい「できない理由」をすぐに挙げてしまう。

しかし実はこれほど、シンプルかつ明瞭で、実践的な手段はない・・・かもしれない。本当にレッシャー氏自身が考えついたの?と勘ぐりたくなるほど、いいアイデアだ。きっと、前職とか顧客などからヒントを得たに違いない・・・。まぁ、それはさておき・・・、その効果の程はどうだったのか? 

「”顧客に耳を傾ける”というビジネスの原点」
「それを何としてもやりとげるという社長の強い意思」
「そしてそれを実践させる明瞭簡潔な手段」

とても勉強になった。

HBR 2012 Nov
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