シャープのオンリーワン戦略・・・その結晶であり、生き残るため”最後の綱”である最新液晶技術IGZO(イグゾー)が、同時にシャープを苦しめる理由にもなっている・・・その苦悩に言及した記事だ。
飛ぶように売れているApple社のiPadには、シャープの液晶が採用されている。
しかしiPadを買っても、液晶パネルがIGZOとは限らない。新型iPadには、シャープ製のIGZOと韓国サムスン電子などが作るアモルファス液晶という2種類のパネルが混在しているからだ。それが消費者に分からないよう、アップルは性能で勝るIGZOの解像度をわざと落としている。(記事抜粋)
それは”どんなに製品が良くても、一社しか供給できない状況にはしない”複数購買戦略のことだ。もちろん、バイイングパワーが伴わなければできないことだが、画質を落としてでも複数社からの仕入れを実現させる・・・この姿勢には正直、驚いたし・・・だが、他のグローバル企業が見習うべき点がある。
調達先を複数にしておけば、事故・災害などにより、そのうちの一社が供給停止に陥ったとしても購買する側の企業は事業継続が可能になる。そして、もちろん価格競争をさせることにより調達価格自体を引き下げることにもつながる。
日本メーカーの多くは、今、二社購買にすることができずに困っている。オンリーワン企業が多い
からだ。しかも、仮に調達先(一次サプライヤ)を二社にしても、その先のどこかでつながっているケースは少なくない。しかし、一方で事故・災害は待ってくれない。それどころか日増しにリスクは高まっている。ニューヨークを襲ったハリケーン(サンディ)、タイの大洪水、東日本大震災・・・日経ビジネスによれば、「10ヶ月に1回は世界のどこかで大災害が起きている計算になる」そうだ。
「よりいいものを!」は確かに顧客の持つ強いニーズだが、「事業継続できるものを!」も、また顧客の持つ強いニーズと言えよう。オンリーワン戦略は、供給者側にとって(生き残るために)重要だが、需要者側にとっては「よりいいものをより安全に」が重要となるわけだ。
供給者側はこのパラドックスを、解けるのか。あるいはパラドックスであるとおもうこと自体間違いなのか。今流行の事業継続計画(BCP)は、その答えとなるのか・・・。
「顧客のニーズ(課題)解決をできる企業が生き残る」という事実を念頭においたとき、日本企業は、果たして、どのような戦略をとることができるだろうか。
【関連リンク】
・日経新聞社(公式HP)
・Apple社(公式HP)
・シャープIGZO紹介ページ
===オンリーワンがリスクマネジメント戦略を凌駕!?(2012年12月23日追記)====
最近、読んだ記事に、企業が求める答え(選択肢?)の1つたりうるものがあったので、ぜひ紹介しておきたい。YKK株式会社会長の言だ。
『例えばジーンズの米リーバイ・ストラウスはかつて、部材については自社商品の生産に支障を来さないように2~3社から同等のモノを仕入れることができるようにする方針だった。ところが、当社からファスナーを購入するようになってからは当社1社にしたいと言ってきた。いいモノを責任をもって供給してくれるので、リスクヘッジのため複数社に発注するよりもYKK1社の方がいいという判断だった』(日経ビジネス2012年12月24日号 吉田YKK代表取締役会長兼CEOに関するインタビュー記事より引用)
うーむ。なかなか・・・色々ありますな。
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