2013年5月19日日曜日

多くの日本企業が「似たような事業」に取り組んでいる

月刊VOICE2013年6月号
今回、月刊VOICE2013年6月号で最も印象に残ったのはローランド・ベルガー氏の次の話だ。

『私が見過ごせないと思うのは、多くの日本企業がじつは「似たような事業」に取り組んでいる事実である。ソニー、日立、東芝、パナソニックといった日本企業は、同業他社をベンチマークにしすぎるあまり、いずれも同じようなビジネス、市場にフォーカスしている。』
(ユーロが強い通貨であり続ける理由 ローランド・ベルガー)

要するに、「日本企業はグローバルで戦うには非常に非効率だ。似た事業をするならくっつくべきだし、そうでないならもっと差別化を図るべきだ」・・・そんな指摘なのだと思うが、”同業他社をベンチマークしすぎるあまり”という言葉に激しく同意したい。そして、この指摘は何も事業戦略に限った話ではない、ということを付け加えておきたい。私は、企業に対してリスクマネジメントのあり方をコンサルティングさせていただく立場だが、プロジェクト期間中に十中八九聞かれる言葉が

「他社はどうしている?」

という質問だ。自分たちがどうしたいか?どこまでリスクをとりたいか?を決めるのに、その判断基準の多くを他社に求めてしまうのである。市場の攻め方も一緒なら、守り方も一緒・・・。これまでは需要があったのでそれでも通用したが、グローバル化が進み、供給者の競争が激化する今日・・・これでは生き残れないのではないか・・・と、生意気ながら、危惧してしまうのである。


以下は、その他月刊VOICE2013年6月号で私の目にとまったもの。

『最近、自らの意見は述べず、その傍らで誰か著名人が発した刺激的な言葉を世の中に流布させようとするメディアが目立つ』
(高校野球で見えた「狡い」メディアの姿 杉山茂樹)

『まずアメリカだが、これは完全に復活したのではないか、と思うほどの状態だ。』
(世界のマネーは米国をめざす 大前研一)

『たとえば過去五~六年のあいだ、円はドルに対して約四割上昇した。そして韓国ウォンに対しては約五割上昇したのだ。』
(「東京特区」が日本経済の景色を変える 竹中平蔵)

『「ロシアはエネルギーを政治の武器に使用する」という間違ったイメージが日本国内にも広がってしまったからだ。そもそもウクライナへの(ロシアによる)天然ガス供給停止は、ウクライナが天然ガス料金をロシアに払わないばかりか、ウクライナ領を通過するパイプラインからの天然ガスを違法に抜き取る行為を、恒常的に行っていたことに対するロシア側の懲罰的な措置であったのである。』
(いまこそ「エネルギー日ロ同盟」を結べ 藤和彦)

『日本式の(意志決定)モデルは、”正しい”選択をするために十分な情報をもつべきだ、というものでしょう。いい替えれば、何かを選択する際には、経験を十分に積んでおかなければならない、ということです。一方、アメリカ式のモデルは、とにかく選択しなさいというものです。”正しい”選択というのは、まさに選択することからしか学べないというわけです。』
(安倍総理の「過去の失敗」は名誉の勲章だ シーナ・アイエンガー)

『部長職で定年退職した人の平均余命がいちばん短く、役員になった人や、部長に昇進できずに定年退職した人の平均余命は長い傾向が見られました。上場企業を足し良くした人に話を聞くと、「役員になる人には、いい加減な人がいるけど、部長で定年になる人は、非常にまじめな人が多い」と教えてくれました。』
(免疫力を高める中高年の秘密兵器 奥村康)

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