■1000人斬りをして学んだコミュニケーション術
ん!?阿川佐和子(あがわさわこ)さん?聞く力!?・・・確かに有名人であるには違いないが、インタビューの達人だったっけ?
本書のプロフィール欄を見ると、”週刊文春”の対談ページは連載900回を突破している・・・とある。なるほど、これだ。900回・・・ということは、この連載のためだけでも900人以上とインタビューをしたという計算になる。毎日インタビューをしたとしても3年近くかかるボリュームだ。そう、つまり、本書は、阿川佐和子さんが実体験の中で得た”上手な対話の仕方”について得た学びを35個のヒントにまとめ、共有してくれる本・・・というわけである。本人の言葉を借りて表現すれば、本書は、阿川佐和子さんがインタビューの中で1000人近い出会い、30回以上のお見合いで掴んだコミュニケーション術を披露したものなのだ。
本書のプロフィール欄を見ると、”週刊文春”の対談ページは連載900回を突破している・・・とある。なるほど、これだ。900回・・・ということは、この連載のためだけでも900人以上とインタビューをしたという計算になる。毎日インタビューをしたとしても3年近くかかるボリュームだ。そう、つまり、本書は、阿川佐和子さんが実体験の中で得た”上手な対話の仕方”について得た学びを35個のヒントにまとめ、共有してくれる本・・・というわけである。本人の言葉を借りて表現すれば、本書は、阿川佐和子さんがインタビューの中で1000人近い出会い、30回以上のお見合いで掴んだコミュニケーション術を披露したものなのだ。
■本書そのものが阿川さんの主張の裏付けになっている
ひとたびページを開くと、スラスラと読めてしまう。さすが、エッセイスト。あたかも読者が目の前にいることがわかっているかのような、淀みのない、やわらかい言葉遣い。そして、時折みせる謙虚な姿勢。人の話を上手に聞くための35のヒントの中に「相手の気持ちを推し測る」「自分ならどう思うかを考える」・・・というポイントが出てくるが、これらは何もインタビューのためだけではないのだろう。こうしたテクニックは、本書にも遺憾なく発揮されているのだ。
「テレビにしょっちゅう出てる人が、そんなビクビクしてる・・・だなんて。謙遜し過ぎるのもはなはだしい」・・・普通なら読者はこう考え、やや引いてしまうところだが、彼女が惜しげもなく披露する失敗事例を読んでいると、それ(謙虚な姿勢)が全くの嘘ではないことが分かる。本当は、相手にしゃべってもらわなければいけなかったのに、自分がほとんどしゃべっていた、という話。事前に用意したメモばかり見てインタビューをしたがために、全く流れを無視した質問になってしまった、という話。分からなければ何でも正直に聞けばいいという考えに甘えすぎて準備を怠り、相手を怒らせてしまった話・・・などなど、聞いていると、「あぁ、テレビに出てるような有名人でも、我々庶民とさして変わらないところから出発し、苦労を積み重ねてきたんだなぁ・・・」という(なぜだか)読んでいる者に、安心感を与えてくれるのだ。
■人とコミュニケーションをとる機会が多い人に
さて、読んでみてどうだったか。冒頭に触れた自分の苦手は克服できそうか。結論から言うと、”難しそう”である。理由は、(少なくとも私にとっては)35のヒントについて、既に知っていた・・・あるいは、これまでも何となく気にかけていた・・・といったものがほとんどであったからだ。きっと、過去にビジネス書を何冊か読み、テクニックだけに関しては既に”頭でっかち”の息に達していたからなのかもしれない。だからわたしのように「明日からすぐにでも使えそうな魔法のテクニックが欲しい」・・・そんな幻想を抱いて読むなら、やめた方がいい。
とは言え、本書を読むことで、基本的な考え方は整理される。「メモなんか用意してたらダメ。相手の話に集中できなくなる。」などといった指摘を聞くと、「ああ、そうだった、そうだった」と、普段からなんとなく分かってはいるけどあまり意識していなかったことに気づかせてくれる。ぼんやりと考えていたことが整理された・・・みたいな・・・感覚だ。
まとめると、”決して魔法の本ではないが(いや、そんなものがあるはずもないだろうが)、人との対話における基本中の基本をカバーしている本”・・・それが本書「聞く力」と言えるだろう。だから、「人と話す機会は多いけど、自分はしっかりと基本を抑えることができているか自信がないな」とか、「いま、人と話すことにおいて、自分はどのレベルにいるんだろう」とか・・・そんな疑問を持つ人が読むのにちょうどいい本だと思う。ちなみに、私の場合は、「どうも、基本は抑えることができているようだ。だから、後はテクニックにこだわり過ぎて”頭でっかち”にならず、実践重視で磨いていくのが正しい道かな」ということが、本書を読んで得た結論だ。
【コミュニケーションという観点での類書】
・伝える力(池上彰著)
・伝え方が9割(佐々木圭一)
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