2013年8月9日金曜日

書評: 奇跡の営業

今回は 「レビュープラス」様から献本いただいた本に対する書評です。もちろん、いつものように遠慮せず、想ったことをビシッと書きます!

奇跡の営業
著者: 山本 正明(やまもと まさあき)
発行元: サンマーク出版



■スーパー営業マンが明かす成功する営業の極意

ソニーライフ生命保険株式会社のライフプランナー4000人の頂点に君臨したスーパー営業マンが指南する営業ノウハウ本である。なお、ライフプランナーとは、生命保険会社で保険商品を顧客に提案して販売する営業社員のことである。

スーパー営業マンの名は、山本正明(やまもとまさあき)。何がスーパーなのか? 単に売り上げナンバーワン・・・ってだけなら、類書がゴマンとある今の世の中で、なんとなくパンチが足りない。山本氏がスーパーたるゆえんは”売り上げが凄い”ってことだけじゃない。そのバックグラウンドにもある。ライフプランナーになる前は、中堅ゼネコンの現場監督・・・営業とは無縁の技術者をやっていた。そんな山本氏が、ライフプランナーの世界に飛び込んだのは44歳(2003年)の時。そして、(最初の数ヶ月こそ不調だったものの)初年度から同期トップの営業マンとして新人賞を獲得した。つまり、生保どころか営業そのものに全くの未経験、しかも頭の固くなりがちな年齢での再出発・・・ネガティブな要素満載だった状況にも関わらず、未経験の営業で頂点に君臨した・・・その事実がスーパーなのである。

■ライフプランナーのライフプランナーによるライフプランナーのためのノウハウ本

「ライフプランナーのライフプランナーによるライフプランナーのためのノウハウ本」・・・本書最大の特徴をひと言で表すとすれば、これに尽きるだろう。タイトルが「奇跡の営業」となっているものだから、一見、ライフプランナーにとどまらず営業業務に少しでも従事する者であれば、何か役に立つノウハウが載っているに違いないと期待する。しかし、それは違う。著者は、間違いなくライフプランナーの眼だけを見て書いたハズだ。

その証拠に、本書の巻末にはライフプランナーに有効な営業ツールの1つアンケートの様式がつけられている。また「保険に加入できないお客様のもとにこそ行くべきである」などといった、明らかにライフプランナーに向けたアドバイスもふんだんに登場する。

『私は少しでも紹介につながる可能性があれば、保険にご加入できないお客様のところへも喜んで馳せ参じます・・・(中略)・・・ご本人は保険に入ることができなくとも、ライフプランナーとしてお客様のお役に立てることが必ずあります。じつはガンで保険に入れない方ほど、保険の知識を必要としていることが多いのです。』(第一章 営業での成功は紹介なくしてあり得ない、より))

ただし、先のわたしの発言を少し補足すると、他業種の営業マンに全く役立たない、と断定するのは言い過ぎかもしれない。実際、著者がノウハウの1つとして紹介するアンケートの作り方・使い方や、紹介を最大限に活かす、という考え方そのものは、コンサルタント業を営む私にも、ちょっとしたヒントを与えてくれた。それは事実である。また、ライフプランナーならずとも、ライフプランナーに似た職業・・・相対で一般消費者に対しての営業を行うような職業・・・たとえば、戸別訪問販売をする営業マンなどにも、それなりに有効なヒントが得られる可能性はあるだろう。

■ライフプランナー、あるいはライフプランナーになろうと考えている人にお勧め

そんなわけだから、本書はライフプランナーでない人にはあまりお勧めできない。逆に、ライフプランナーなら本書は間違いなく買いだ(実際、これこそが著者の狙いそのものでもあるはずだ)。ライフプランナーの眼を見て書かれた本だからこそ、ドンピシャの対象読者であるライフプランナーには必ず役立つことが書かれているハズである。「なんかライフプランナーなら、既に知っていて当然なテクニックばかりが書いてあるんじゃないの?」・・・そう否定的に思うライフプランナーの方もいるかもしれない。だが、仮に損をしたとしてもせいぜい1400円だ。それに1つでも役に立つテクニックがあるのなら大もうけじゃなかろうか。


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