2016年8月4日木曜日

書評: 超・箇条書き

先日の「世界のトップを10秒で納得させる資料の法則」を読んだのと同じ理由で手を出した。資料作りは社会人にとって避けては通れないタスクの1つだ。加えて、❝箇条書き❞というシンプルでありながら、とても狭いテーマに特化している本書の姿勢に惹かれた。






企画でも、プレゼンでも、議事録でも、なにかを誰かに伝える際に、いかに明瞭完結かつ魅力的にそれを箇条書きを使って実現するか・・・そのテクニックについて、とことん掘り下げた本である。具体的には、次のような論点を抑えた本だ。

・なぜ、箇条書きが大切か?
・どうすれば、素晴らしい箇条書きが作れるか?
・箇条書き能力を更に他の作業に応用させるには?

結論から言えば、2つの観点でタメになる本だ。

1つ目は、本書がそもそもの狙いにおいているとおり・・・純粋に普段作成している資料の有効性向上を図ることができる。普段、無意識のうちにやっていること・やれてないことを、自覚し、明日以降の資料作りに早速反映できる。

2つ目は、上手に箇条書きを使う方法をわかりやすく教える方法を取得することができる。箇条書きのような至極あたりまえでシンプル極まりないものについて、人に必要なテクニックを伝えるのはなかなか難しい。そこにいくと、本書の著者が優れているのが、こうしたアナログ的な技術を、巧みに言語化している点だ。たとえば、タイトルからしてそう。「超・箇条書き」。その他にも、MECE(ミッシー)崩し、隠れ重言・・・など、ユニークな用語を使って解説しているので、印象に残りやすい。

ちなみに、私にとって「なるほどな」と思えたのは、❝自動詞と他動詞の整合を考えろ❞と❝箇条書きに体言止めは使わない方が良い❞と❝隠れ重言NG集❞・・・かな。この3点については、私自身もう少し改善の余地があると感じた。

さて、対象読者は誰であるべきか? これまた冒頭で述べた「世界のトップを10秒で納得させる資料の法則」同様、あくまでも、対象者は、ビジネスマン、それも入社3年目以降の社員であろう。なぜ、3年目以降かと言えば、無駄な資料作りを何回か経験し、失敗してからの方が本質をより理解できると思うからだ。


 

【資料作りをパワーアップさせるという観点での類書】
世界のトップを10秒で納得させる資料の法則(杉野幹人)
マッキンゼー流 図解の技術ワークブック(ジーン・ゼラズニー)

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