2020年1月4日土曜日

書評: 9割の不眠は「夕方」の習慣で治る 白濱龍太郎

一言で言えば、視野を広げてくれた本だった。というのも正直、自分は眠りに困ってなかったからだ。決して満足いく睡眠時間ではないが、「寝れてない」のは、「眠り方がわからない」からではなく、「寝る時間が少ない」ためだ。現にベッドに入れば速攻寝落ちする。

しかし、どうやら「眠る原理」を知っているのとそうでないのとでは、相当な違いがあるようだ。「人はどうして、どういうときに、どうやって眠りに落ちるか」を論理的に理解できただけで、精神的な安心感を増強してもらった気分になれる。

そんな本書だが、いったい何を書いた本か。人が眠る・眠れない原理を科学的根拠に基づいて説明し、それゆえどのようなことに気をつければ効果的・効率的に眠れるかを解説してくれている本だ。

こういったノウハウ本はたいてい結論を最後まで伸ばして伸ばして・・・最後の最後でもったいぶって結論に触れるのが普通だが、いきなり冒頭で結論を教えてくれる。そう・・・眠れるかどうか・・・その全ては、深部体温のコントロールにかかっているのだ、と。

深部体温とは、体の中心部の温度のことだそうで、この温度が下がり始めると人は眠くなるらしい。逆に言えば、眠る前にはこの深部体温が上がっていることが望ましい。そんなわけで本書は、この深部体温を眠る前のちょうどいいタイミングであげておくにはどうしたらいいのか・・・について様々なソリューションを紹介してくれているのだ。

ところで一番、単純な方法は、軽い運動で深部体温を上げることだ。そんなわけで、図解入りで、肩甲骨を動かす運動方法が書かれている。そのほか「シャワーではなくお風呂に入る」「生体リズムを整えるため起床直後に朝日をさっさと浴びる」「15時以降に寝ない」「帰宅時の電車で寝落ちしない」など数々のテクニックが紹介されている。

そして、私が何よりも学べた・・・と感じたことは、眠れない理由は確かに精神的理由によるところが大きいのだろうが、それでも肉体的な観点からこんなに眠りやすくできるテクニックがある・・・という事実だ。実際、本書を読んで、どうやら精神的理由ではないかという眠れない理由を単に精神的問題だと片付けていた自分が恥ずかしい。現に、本書を横目に見ながら、眠るテクニックのメモを取りまくっている自分がいる。軽い運動テクニックも、明日・・・いや今からすぐにでも始められるものだ(現に私は本書を読みながら、本書の示す事例にしたがい柔軟体操をした)

謝る記事は多い。あるときは「私は80歳にいたる今日まで平均睡眠時間が4時間だ」という人もいれば、「9時間以上眠るのは良くない」「朝早起きができる人は仕事ができる人が多い」など、主張も様々だ。まぁ、そういった記事をこれまで何度も目にしてきたし、たいていのことはわかっていたつもりだった。本書を読むに至ってそれが間違いだったということに気付かされた。

早速、今日から肩甲骨を動かす運動をしようと思う


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