今、アメリカが揺れている。
911のテロで倒壊したワールドトレードセンターの跡地、グラウンドゼロ。そこから数百メートル離れた場所に、イスラム教のモスクを建設するという話が浮上してきたためだ。
アメリカ国民の80%が、この建設に反対をしている。
反対の理由は色々あるが、一番の理由は、テロリスト達が崇める宗教のシンボルが、惨劇のあった場所のすぐ側に建てられるというのは心情的に耐えられない、というものだ。それ以外にも「イスラム教への信仰がアルカイーダという過激派グループを生み出したのは事実だ。だからイスラム教全体の問題であり、そのような宗教のシンボルの建設を許す訳にはいかない」と息巻く人もいる。先日のアメリカの議会では「建設費は100億ドル(8,500億円)がかかる。そんなお金はテロリストが支援しないと集まるお金じゃない。建設の裏には絶対テロリストがいるはずだ。調べるべきだ」と発言する国会議員もいた。
一方で、賛成する人たちは「あれはあくまでもアルカイーダという一組織(過激派グループ)が起こしたテロでしかない。あのテロの犠牲になった中にはイスラム教徒も多数いた。つまり、あの事件は、非イスラム教徒に対して起こされたテロではなく、(どの宗教に入っているかは関係なく)アメリカ国民全員に対して起こされたものだ。あの事件をもって、アメリカに住むイスラム教徒は悪であり、だから、モスクを建てるのは駄目だ、と決めてかかるのはナンセンスである」と主張する。さらに、モスクの建設がテロとつながっているかもしれないという証拠が全くないのに、推測だけで”調査をしろ”というのは宗教の自由の侵害、すなわち憲法違反である、と主張する。憲法を否定するということは、アメリカそのものを否定することに他ならない。
なお、ここで言う憲法とは、アメリカ合衆国憲法修正第1条(1st Amendment:ファーストアメンドメント)である。
【原文】
Congress shall make no law respecting an establishment of religion, or prohibiting the free exercise thereof; or abridging the freedom of speech, or of the press; or the right of the people peaceably to assemble, and to petition the Government for a redress of grievances.
【和訳】
評議会では、次に掲げる項目につながるような法律を制定してはならない。宗教の設立を促すこと、宗教の設立を妨げること、言論の自由または出版の自由を奪うこと、平和的な集会へ参加する権利に干渉すること、そして、政府に対して不公平となる救済措置を訴えること
先日の議会演説でオバマ大統領は「誰にでも、グラウンドゼロの近くにイスラム教のモスクを建てる権利がある」と明言した。80%以上の国民が建設反対を訴えている中で、勇気ある発言だと思う。日本の国会議員だったら、国民に色目を使う必要があるので、決して、白か黒か発言していなかっただろう。
今後の動向に注目したい。
20代後半から、今日にいたるまで毎日を全速力で駆け抜けてきました。疾走するスピードは毎年加速度的に増えています。 そんな自分の足跡を残したい、考えを整理したい、自分の学びの場としたい・・・こういった思いからこのブログを立ち上げました。とりわけ、読んだ本や雑誌、観た映画、その他遭遇した事件・・・などなど、思いの丈を吐露しています。
2010年8月21日土曜日
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