2010年8月12日木曜日

幼少期からはじまる人種差別

今日、CNNを見ていて目を引いたニュースがあったので、それについて少し書いておきたい。人種差別の話だ。それも、子供の人種差別の話だ。

遙か昔に遡って1947年頃、ある博士がアメリカの子供(白人も黒人も全て含めて)に対して「肌の色の違いを、どのように感じているか」について、テストを行った。このときのテスト結果を想像することは難しくないが、一言で言うと「White Bias(ホワイト・バイアス:白人が上位であるという偏見)」を誰もが強くもっている状態、であったとのこと。

そして半世紀以上が経過した2010年、同じようにアメリカに住む子供130人に対して、似たようなテストを行った。具体的には、5人の全く同じ女の子が並んだ絵(但し、色だけそれぞれ違う)を用意して、


「誰が、バカそうに見える?」
「誰が、賢そうに見える?」
「誰が、汚そうに見える?」

などといった質問を子供にする。

これが大人に対しての質問だったら「そんなのナンセンスだ」と言うのかも知れない。

ところが子供は正直で残酷だ。ほとんどの子供が指で絵を指して即答する。

結果、ほとんど白人の子供達が未だに「White Bias」であるということが分かったそうだ。私もその映像を見て愕然とした。みんな即答するのである。

「誰が、バカそうに見える?」

という質問に対して、子供は、一番、右端に描かれている黒人の女の子の絵を指す。そして

「なぜ、そう見えるの?」

と聞くと、

「だって、肌が黒いから」

と回答する。

悲しむべきは、この「White Bias」は白人の子供達だけにかかっているわけではないということだ。実は、黒人の子供達も「White Bias」がかかっている。つまり、黒人も、白人のほうが「頭が賢そう」とか「綺麗そう」とか、そういう劣等意識をもっているのだ(植え付けられている、といったほうが正しいのかもしれない)。

ちなみに子供と言っても年齢に幅があるが、インタビューの対象者は5歳の子供達だった。しかし、3歳の子供でも、既にそのような意識を持っていたことが判明したという。

誰がこんな意識を植え付けるのだろうか? テレビ? 家族? 先生? 友達?

アメリカでは、オバマ大統領が就任した。しかし、前回のテストから半世紀以上経過した今も、人種差別は根強く残っている。これは変わらぬ事実である


※参考リンク: Anderson Cooper's Blog (AC360)
http://ac360.blogs.cnn.com/2010/08/11/kids-on-race-doll-study-revisited/

0 件のコメント:

書評: 3 行で撃つ <善く、生きる>ための文章塾

  「文章がうまくなりたけりゃ、常套句を使うのをやめろ」 どこかで聞いたようなフレーズ。自分のメモ帳をパラパラとめくる。あったあった。約一年前にニューズ・ウィークで読んだ「元CIAスパイに学ぶ最高のライティング技法※1」。そこに掲載されていた「うまい文章のシンプルな原則」という記...