2011年2月20日日曜日

書評: 文系ビジネスマンでもわかる数字力の教科書

今週は、久保憂希也著「文系ビジネスマンでも分かる数字力の教科書」(大和書房:1,300円)を読んだ。例によって、新刊ラジオ※で紹介されていた本で「これは、自分の仕事に何か役立てられる内容が書いてあるかもしれない」と思い、購入したものだ。

http://www.sinkan.jp/radio/


人を説得するビジネスシーンに活用できるノウハウ本

著者の言葉を借りると「数字力を鍛える」本だ。言い替えると「人を説得する必要のあるありとあらゆる場面、特にビジネスシーン(社内会議での上司への説明、部下やプロジェクトメンバーへの説明、セリング先への提案など)において、”数字”をもう少し上手に活用して、大きな成果につなげよう。そのためにはどうしたら?」・・・こんな疑問に回答を投げかけるノウハウ本だ。

【本の構成】
第1章: 仕事の全てを数字で考える
第2章: 「会社の数字」をざっくりつかむ
第3章: 「数字の魔力」を使いこなす
第4章: 発想を変える9つの方法
第5章: 全ての判断を合理化する

ビジネスに役立つヒントが必ず1つは見つかるかも!?

ところで、この本は読んでみると、どこかで耳にしたことのあるような内容を数多く含んでいる。数字にそれなりに強い人や経営修士学を取得した人、コンサルティングをやっている方・・・そのような人たちは「そんなの知っているよ」と思うことが多いかもしれない。そもそもタイトルからも分かるように、この本は数字にそれほど強くない人であっても、役立つようにというスタンスで書かれたものだから、それはある意味当然のことかもしれない、とは思う。

しかし、良く言われるように、1つでも2つでも自分にとって役立つことが書いてあれば、それだけでその本に読む価値がある、といえると考える。その意味では、私にとっては読む価値のあった本と断言できる。実際、読んでみて”知ったかぶり”になっていたものがいくつかあった。

数字に弱い人にとって、どのような役立つ情報が載っているのか? その1つを紹介しよう。

著者が薦める”数字力を鍛える方法”の1つに、「基本的な数字を記憶しておく」というワザがある。これは非常に単純明快なもので、世の中で出てくる色々な数字(例:1兆円の利益、400億円の売上、200万台の販売・・・)を、自分にとって、あるいは、説得する相手に、より意味あるものにするためには比較できる基本的な数字をつかんでおくと良い、というものである。たとえば、日本の歯科診療所の数は6万8200あるそうだが、これは多いのか少ないのか、イメージがわきづらい。ここに「日本にあるコンビニの店舗数は4万店舗である」という事実をつきつけると、診療所の数がいかに多いのかというメッセージが伝わりやすくなる。しかるに「基本的な数字はあらかじめ記憶しておこう」というわけである。

普段、定量的な説得力に欠けていると自覚ある人たちに・・・

この本は、誰かに説得をする機会を多く持つ人、たとえば、予算取りをするための資料を作る部長、企画立案をする企画部の人や営業マン、コンサルタント・・・それこそ、普段数字をあまり意識しきれていない人たち、みんな・・・と言えるだろうか。

ちなみに、この本の第3章「数字の魔力」を使いこなす・・・を読んでいて、以前読んだ「リスク・リテラシーが身につく統計的思考法」という本を思い出した。今回のこの本を読んで、より興味がわいた方はそちらも目を通してみると、更に理解が深まるかもしれない。



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