
ハーバードビジネスレビュー1・2月合併号に興味深い記事が載っていた。「マクラーレン社のCEO、リコールから学ぶ」がそれだ。
このマクラーレンという会社はグローバルにベビーカーの生産販売事業を行っている。丈夫かつ極めて洗練されたデザインのベビーカーを販売していることで有名だ。日本国内でも、外を出歩いていれば、一日一回は見かけるといっても過言ではないほど。言うまでもなく”信頼性の高さ”が、一番の強みだ。
あるとき、彼らの製品の1つで、ベビーカーに座った子供が留め具の部分に肘をひっかけて、怪我をしてしまうクレームが十数件あがってきたそうだ。そのときに(販売台数に比べれば圧倒的にクレーム数は少なかったようだが)、信頼性は会社の生命線であることを理解していた経営陣は、積極的にリコールをすることを決めたそうである。必要な調査や事務手続きを終えるまでは、法律的に社外に公表することができず、内々に、必要な処理を進めて、さて、いよいよ明日リコール発表。・・・という前日に、報道機関にすっぱ抜かれ・・・電話は2週間パンクし、風評被害に発展し・・・CEOが何を学んだか・・・というのが記事の趣旨である。
CEO曰く、
・常に顧客に対して真実を伝える姿勢を崩さないこと
最後には、顧客に自分たちの姿勢が伝わるので、決して、騙そうという姿勢をとらないことを言っている
・グローバルに連携しているリスク管理体制が必要であること
実は、マクラーレン社は、地域に根ざした形態の運営を行っており組織体制自体、グローバルに密な連携をとれる状態になかったそうである。たとえ法律的に一地域の問題であったとしても、顧客はそうは受け取らない可能性の問題であり、マネジメント側としてもグローバルにリスク統制が行える体制を整えておくべきだった、と述べている
・自分たちがイニシアチブを発揮すべき立場だと認識して行動をとること
今回の事件で、コンプライアンスを意識して、マクラーレン社はアメリカの法規制当局と緊密に連携をとりながら、法に忠実な手順を踏んでいたそうだ。だが、ふたを開けてみれば、これによりむしろ対応が遅くなり、被害は大きくなったという。彼らの企業規模やグローバルプレゼンスを考えると、規制当局の言うことに忠実に従うだけの”受け身の姿勢”ではなく、自分たちが業界をひっぱるリーダーであることを認識し、リコールをする際の適切な対応手段を自分たちが確立する・・・という強い意識を持った”積極的な姿勢”をとることが重要だったと気づいたという
風評被害・・・といっていいと思うが、このあたりの対応手段は、つくづく明確な正解のでていないエリアだと感じる。このマクラーレン社の学びをはじめ、他の事例にも常にアンテナをはっておき、私がコンサルタントして提供するサービスに役立てたいと思った。
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