さて、VOICE3月号。テーマは「バブルは再来するか」。
■値段が先か、機能・デザインが先か
プレミアムマーケットに「値引き競争」はいらない(大喜多寛アウディジャパン社長)より
以前、確か勝間和代氏の「利益の方程式」という本か何かで...(うろ覚えのまま書き出すと)
「食べ物屋さんの多くがする過ちは、作ってから値段を決めてしまうことにある。そうではなく、その立地ならば、どんな値段が好まれるか・・・そういったことを先にそれを決めた上で、その値段の中でベストなものを作らないと駄目なのだ」
そんなことを言っていた。記事では、アウディジャパン社長の大喜多寛氏が、一見?・・・その真逆の主張をしてるのが印象的だ。
『日本のクルマづくりはプライスから決まるのです。たとえば、120万円で出すと決めて、その範囲内でどれだけ機能を盛り込めるかを考え、パワーウインドーや、自動ブレーキシステムまで入れてしまう・・・(中略)・・・。でも、それが個性を弱くしている。・・・(中略)・・・アウディをはじめとするドイツのクルマづくりはまったく逆です。まずは走って楽しいクルマ。こういうニーズを満たすとしたら、こんなデザインがきれいだね、じゃあそれに合わせてエンジンをつくりましょう、という具合に考える。』
両社は真逆のことを言っているようで実は同じことを言っているのだと思う。勝間氏の値段を・・・というのは、裏返せば、地域のレストランのニーズはコストに重きがあって、値段的な要件を把握してから、それに見合うものを用意すべきだろう・・・といっているに過ぎないのだ。ただし、気をつけなければいけないのは、常にコスト=ニーズではないということだ。現にコスト、コスト・・・でお得感に主眼をおいて用意してきた日本のクルマ業界はお客の心をつかめないでもがいている、というわけだ。つまるところ、顧客を見よ・・・となる。
■中国共産党の大罪
共産党政府崩壊 「Xデーに備えよ」(櫻井よしこ、ウィリー・ラム)より
中国共産党の大きな罪を指摘している。その中でわかりやすい指摘があったので以下に取り上げておきたい。
ウィリー・ラム『すべての国民が平等に豊かさを教授できるはずの社会過ぎを掲げているにもかかわらず、実際には大きな経済格差が生まれている』
櫻井よしこ『”ニューヨークタイムズ”紙が3ページの特集記事を組み、温家宝首相の一族が27億ドル以上、1ドル90円換算でじつに2430億円の巨額の資産を蓄財していることを報道しました。・・・中国の国民所得が6000ドル(54万円)という状況で、政府要人が2430億円も蓄財しているのは、犯罪です・・・』
よく言われるように、まるで中国が資本主義で、日本が社会主義みたいだが、まさにこの矛盾が中国共産党の矛盾であり、罪であり、崩壊が叫ばれる理由というわけだ。
===2013年10月14日追記(”毛沢東の教え”)===
2013年10月7日号の日経ビジネスで、なぜ、共産主義を目指すハズの中国で今日のような劇的な格差が生まれ始めたかについて、ズバリの解説コメントが載っていた。
1978年に改革開放政策を始めた鄧小平は、「先に富める者から豊かになれ」という先富論を打ち出したとのこと。その論は見事にはまり、今日見るように富めるものが続出したのだが、先に富んだ者は既得権益層となってしまい、「先に富んだ者は富んでいない者を牽引して共に豊かになれ」という教えについては実行されず・・・それが今日の劇的な格差を生み出したカラクリらしい。既得権益・・・つーのは、どなんな主義を持ったどんな国も持つ、癌みたいなもののようだ。
■シェールガスは幻!?
日本は金融緩和をただちに止めよ(ジム・ロジャースより)
わたしがシェールガスという言葉を初めて耳にしたのは、忘れもしない2011年5月2日号の日経ビジネス。半信半疑だったが、それから瞬く間に世界を席巻し、今では新聞やビジネス誌でこの言葉を目にしない日はない。「アメリカが産油国から、世界一の産出国へ」という見出しももはや珍しくない。そんな中、「おっ」と思える記事があったので取り上げておきたい。
ジム・ロジャース氏によれば、実際のリグ掘削はこの2~3年で75%減少しており、シェールガス田用に注文されたポンプの数も50%減っているという。
『掘削した井戸は寿命が非常に短いことがわかったのです。最初の30日はたくさん算出しますが、その後、急に減少する。米エネルギー省も、今年はシェールガスの算出は2~3%増えるが、2014年には減少する、と言っています』
いろいろな記事に目を通しているが、このような指摘を目にしたのは初めてだ。確かにやや過熱気味とも言える今の動きには、このような指摘を聞かずとも直感的に警戒感が走るのもまた事実だが、果たしてどうなのだろう。これからも、ウォッチしていきたい。
======シェールガスその後(2013年9月25日追記)=======
2013年・・・いよいよメディアは、どこもかしこもシェールガスやシェールオイルというキーワードを扱うようになってきた。日経ビジネス2013年9月23日号「米国はエネルギー輸出大国にはならない」という記事を見ると、確かにシェールガスが減少する・・・いや、している・・・という話が出ている。ただし、それは埋蔵量の問題ではなく、コストの問題である(採算割れを起こす)という指摘だ。シェールガスがいたるところで採掘されるようになった結果、米国では、ガスの価格が下がり続け・・・シェールガスの採掘に必要なコストをも下回るようになってしまったというのだ。記事によれば、シェールガスに比べて、既存設備を流用できることからより安価な採掘が可能なシェールオイルへ注目が集まるが、こちらは埋蔵量の問題で、2020年頃にピークアウトするだろうと言われている。で、シェールガスの埋蔵量ってのはどうなんだろう・・・。
■年をとることは引き算することと一緒!?
五輪招致で東京を 「21世紀のスポーツ都市」に(竹村真一、為末大)
記事は五輪招致をテーマにした話だが、その中に出てくる為末選手の次の言葉が印象的だった。
『私は競技人生を通じて、凝縮された「人の人生」を経験してきました。27歳くらいまでは能力が上がっていきますが、そこからはトレーニング量が落ちる、関節が痛む、体力の回復も遅くなると言った「肉体の衰え」を実感するようになる。そうなると、体力を拡大させていく「足し算」から、大事なものだけを残していく「引き算」へと、考えを改める必要が出てきます。』
私自身は一流のアスリートでも何でもないのだが、40歳に到達した今、これを実感できる。それこそ、小学生の頃から、運動には縁があったし、今でも早朝ジョギングをやっているので、体力の衰えを人並み・・・またはそれ以上に・・・感じる場面が多々ある。たとえば、以前は、8Kmのジョギングをひたすら毎日走っていたが、今、そんなことをすると、翌日、膝が痛くて歩けなくなってしまう。今ではせいぜい週3~4日程度だ。
別にスポーツに限った話ではなく、仕事・私生活全てにおいてそうだ。睡眠時間も昔ほど削ることはできなくなったし、パソコンの前に座っていられる時間も短くなった。そのような制約条件の中、若い頃と同じ・・・いや、それ以上の品質を保とうとしたら、普通のことをやっているだけでは達成できない。日々、工夫の連続だ。
為末氏の言葉を聞いて、自分だけでなく、みんな苦労しているんだと知って、なんとなく励まされた気になった。
月刊VOICE2013年3月号 |
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