2013年9月7日土曜日

商品やサービスの背後にあるもの

日経ビジネス2013年9月9日号の特集は、「スクエア・インパクト」。スクエアとは、会社の名前だ。モバイル端末で、簡単に決済できる仕組みをゼロ円で導入できるサービスを提供している。創業者のジャック・ドーシーCEOは、ツイッターの発明者でもある。


ツイッターもスクエアも、コミュニケーションと顧客体験に焦点を当てているところで哲学が共通している。スクエアは単なる決済サービスを提供するだけの会社じゃない。ツイッターが140文字でコミュニケーションをシンプルにしたように、店舗と顧客のコミュニケーションを単純化するためにスクエアがある・・・(中略)・・・スクエアの「魂」はソフトウエアやサービスの背後にあるものであり、コピーできるものではない。(「特集 スクエア・インパクト 魂はコピーさせない」より)

感想)
ソフトウエアやサービスの背後にあるもの・・・この表現がすごく心に残った。ごく平凡に表現すれば、経営理念やミッションみたいなもの・・・もっと平凡に言えば、会社が目指す究極の目的・・・といえるだろうか。スクエア社ではこれが明確であり、かつ、しっかりと共有できている・・・それがジャック・ドーシーCEOの魂というものではなかろうか。ツイッターやモバイル決済はその魂から生まれたイチ手段に過ぎず、スクエア社に真に根付いている”魂”さえしっかりしていれば、顧客に受け入れられるモノを作れる・・・そういうことじゃないかと思った。

「世界中の情報を整理しアクセスできるようにするという」使命をかかげるGoogleにしても、「自由でみずみずしい発想を原動力に すばらしい夢と感動 ひととしての喜び そしてやすらぎを提供する」という使命をかかげるディズニーにしても、本当に強い会社は、その「背後にあるもの」を大事にしており、品質の高い経営理念やミッション・・・言わば、目に見えないひもで、経営とスタッフ一人一人をしっかりと結びつけているのだと感じた。我が社に足りないものだ。


僕は以前、ソニーにいました。・・・(中略)・・・「ソニーの持つ技術がこう入っているから他社に勝てる」というプレゼンが求められました。もちろんその視点の大事さは知っています。でも、差別化にこだわるが故に、ユーザの顔が見えなくなる場合もある。僕はユーザーが求めるものの中で、「良いものをいち早く出す」というシンプルなことがビジネスとして非常に意味があると思っています。(「失敗なくして運は来ない 森川亮 LINE社長インタビュー記事」より)

感想)
差別化と顧客ニーズ・・・結論から言えば、どちらも必要なわけだ。ただし優先順位のつけかたが問題なのだろう。そもそも差別化と顧客ニーズ・・・見てる方向が異なる。差別化は競合を意識したものだし、顧客ニーズは顧客を意識したものだ。差別化・・・すなわち、競合他社を意識し過ぎると、本当に顧客が欲しいものを見失う・・・そういうことなのだろう。

日経ビジネス2013年9月9日号

===2013年10月14日追記(スクエアとユニクロの提携)===
2013年10月14日号の日経ビジネスに、ユニクロがスクエアに急接近の記事が・・・。店舗の機動力向上と小スペース化・・・が採用の理由とのこと。特に機動力向上という観点では、店員一人一人をレジ化することにより、混雑時にお客様が行列に並ぶストレスから解放できる=機会損失を減らせる・・・ということだが、さて、どれだけの効果があるのか、興味がわく。確かに並ばないのは有り難いが、それが理由で買い物をあきらめる・・・ってのはそんなにあるものなんだろうか。ぜひ、効果のほどを知りたい。

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