どうしたら「社員がワークライフバランスを実現し幸せに働くことができるか?」について、著者自身の失敗談・経験談を元に成功のヒントを提示してくれている。それが本書だ。
ほとんどの社員が17時に帰る、売上10年連続右肩上がりの会社
著者:岩崎裕美子
出版社:CrossMedia Publishing
本書に手を出した理由は、タイトルを見て「あ、自分の会社にも通じる課題だ」と感じたからだ。我が社も、社員が増加傾向にあるが、良いことばかりではない。辞める人もゼロではない。働くのは楽しいが、常に17時退社が保証されているような会社でもない。やはりワークライフバランスに課題があるのだ。
本書の読み始めは、正直、ウーン・・・なんか「ありきたりのことしか書いてないなぁ。もしかしたら、面白くないかも」などと思った。前半は“17時に帰すテクニック”ではなく、まずはどうやったら従業員を早く帰らせる余裕を作れるか、に力点がおかれていた。それだったら「どうやったら会社が儲かるか?」の本を読むよ、と。
ただ、読み進めてみると、どんどん興味をそそられるようになっていった。なんてことはない、誰もが経験しそうなことがつらつらと書かれているのだが、いちいち自分たちが経験してきたこと・していることに当てはまるのだ。多分、これこそが本書最大の魅力なのだと思う。そう、起業家ならばおそらく誰しもがとおる壁、そしてそれをどうやって乗り越えたかについて書かれているのだ。
そもそも、著者が起業当時に持っていた心理状態からして、まさしく自分と同じ。まるで私の過去を見て本書を書いたのでは?と思うくらいだ。ちなみに、我が社では、「純粋に優秀な人を」という目線で採用をし続けてきたら、いつの間にか女性社員が半数を超えるくらいになってしまった。女性社員が多いという環境まで一緒なだけに、余計に本書に書かれた内容は人ごとに思えない。
とった対策も似ている。精神的・物理的負荷を減らすために、営業活動からマーケティング活動に主軸を移したこと、様々な制度を導入したこと、良い文化を醸成するために戦略合宿をしてみたり、新卒採用に手を出してみたりしたこと。すごくかぶる。
ただし、本書に共感できるかどうかと、本書が役立つかどうかは別の話だ。私にとって見れば、どんなに書いてあることが立派でも、内容全てが私の経験とかぶっているのであれば、読む価値はなくなる。著者がとった手段全てが、おーそれはやってみようと思えるものではなかったが、そこには私の会社ではトライしたことのない制度もありちょっとやってみたいなとも思えたものも紹介されている。ちなみにその一例を紹介すると「お、これはいいな」と思ったのは、「17時で帰っていいよ制度」や「選べる時間休制度」など。ぜひ、前向きに検討したい。
ふと、数年前に、こういった類の本を読んだことを思い出した。その本の名は、「日本で一番社員満足度が高い会社の非常識な働き方」(山本敏行著)。その本にも、中小企業に役立つさまざまなノウハウや制度が紹介されていた。「ランチトーク制度」「ノートパソコンのためのモニターを用意する」など、そのときに影響を受けて実践したことは、少なからず役に立っている。だから、この本に書かれている内容も、何か役立つはずだと信じて疑わない。
20代後半から、今日にいたるまで毎日を全速力で駆け抜けてきました。疾走するスピードは毎年加速度的に増えています。 そんな自分の足跡を残したい、考えを整理したい、自分の学びの場としたい・・・こういった思いからこのブログを立ち上げました。とりわけ、読んだ本や雑誌、観た映画、その他遭遇した事件・・・などなど、思いの丈を吐露しています。
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