著者:井口晃
出版社:かんき出版
久しぶりにレビュープラス社からの献本。これまでも機会はあったがタイミング的にやや暇だったというのが、本書を手に取った一番の理由。
中身は、タイトル通りである。「メンターが見つかれば、人生は9割決まる」・・・と確信を持つ著者が、自身の経験を踏まえながら、その理由、実践方法について丁寧な解説をしている。念のため補足をしておくと、メンターとはロールモデルのことで、師匠とも言うべき存在の人のことである。著者は、メンターを早々に見つけ、1年間、その人の一挙手一投足を参考にしながら、自分を高めていきなさい、さすればその後の将来が豊かになる・・・とこう主張しているわけだ。
ところでロールモデルについては、私も餓えていた時期がある。社会人成り立ての頃は周りにそういった人がいて、真似をしようと試みたこともあったし、真似してきた。だが、30歳を過ぎたあたりで、ああなりたい!と思える人に恵まれなかった。それで40歳を過ぎる今に至るわけだが、もしかしたら本書を読めば、こんな私にも、メンターが見つけられるかも!?と変な期待を持ったりもした。さすがに、それを本書に求めるのはお門違いだったようだ。
先の私の経験からも、本書のメインターゲットは、あくまでも社会人成り立てから、社会人になって数年経ったくらいの人たちだろうと思う。私のようにそれなりに月日を重ねると、メンターを探すよりも、むしろ誰かのメンターになる・・・そういう時期にきている・・・と言えるのかもしれない。なれるにふさわしい人間であるかどうかは別にして・・・。
そんな本書だが、当たり前といえば当たり前のことが書いてある。たとえば、本書には一度メンターを決めたら、そのメンターの1日の習慣を聞き出すことが大事、とある。これは私自身、感じるところであり、これから成長してほしい部下にそうして欲しいと思うところでもある。たまに「あなたみたいになりたいです!」と言ってくる人がいるが、本当に真剣にそう思っているのか、と疑いたくなることが少なくない。なぜなら、私の生活習慣を聞き出そうとも、探ろうともしないからだ。私なら、メンターの生活習慣を聞き出して、成長のヒントを見つけ出し、少なくとも同じ努力、いや、それ以上の努力をすることでメンターに追いつき、追い越そうとすると思う。残念ながら、多くの場合は聞きに来ない。真剣じゃないか、単なる社交辞令からの発言だったからだろう。
話がややそれたが、このように本書には”当たり前”のことが書かれている。だから、熱意もやる気もあって、すでに良いメンターに巡り合っている人は読まなくてもいいと思う。社会人数年目で、いまだメンターなどという人には無縁、かつ、成長の仕方に悩んでいる・・・そんな人に本書は向いているのだろうと思う。
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