2015年8月4日火曜日

書評: 「自分」の壁

「自分」の壁
著者:養老 孟司
出版社:新潮社

■本書の趣旨
“自分”って何だろう? “自分”がなかったら、何が起きるんだろう? ・・・みなさんは考えたことあるだろうか。著者の養老孟司氏は、なんと幼少の頃からそんな疑問を持っていたそうな・・・。そんな彼が、行き着いた境地とは・・・。

『(生物学的に自分とは)結局のところ、「今自分はどこにいるのかを示す」矢印くらいのものに過ぎないのではないか』(本書より)

著者は、“自分”をこう定義する。「・・・くらいのもの」という著者自身の表現からも分かるように、“自分”を意識することはそれほど重要なことではないのではないか・・・というのが、著者の長年の経験からの想いである。だから、個性を出せとか自分探し、などといったことを押しつけるなという。無理に押しつければ、他者のことを考える意識が薄れ、(極論だが)それは自殺につながるし、社会問題は他人事になり、無関心が増えていくのだと。

■本書に対する私の印象
中身はさておき、本書に対する読了中・読了後の第一印象は・・・「やや読みづらいなぁ」というものだ。やはり本書の紹介をしていた武田鉄矢さんが「バカの壁」よりもだいぶ読みやすかったとおっしゃっていたが、私の集中力が弱いのか、それとも無知過ぎるのか・・・、個人的にはなかなか本書に入り込むのが難しかった。だから、読みにくい本は全くもって苦手という人にはお勧めしない。

逆に多少、難しくても大丈夫・・・という人であれば、一読する価値はある。人生経験豊富な養老孟司さんの話だけに、きっと自分が年を取ったときに感じることが書かれているのだろうと思えるからだ。“自分が”という意識を引っ込めて物事をとらえたら、新しい境地にいけるかも・・・なんて。みなさんも、一度、本書を読んで日頃当たり前のように思っている“自分”というものを見つめ直すと新たな世界が広がるのでは??


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