佐川マンとは佐川急便で働くセールスドライバー(SD)のこと。佐川急便と言われて思い出すのは、トラックに描かれたふんどし一丁の飛脚。そして、縦縞シャツのユニフォーム。そこで働く彼らがとにかくもてるらしいのである。女性からも男性からも、だ。
いったいなぜ、そんなにもてるのか。「佐川萌え」は、その謎をとことん明らかにした本である。
著者坂口ゆり氏が、現場で働く佐川マンに直接取材を敢行した。佐川マンと、そして佐川マンを育て上げる佐川急便自体の魅力にせまっている。
■恐るべき佐川マンの人間力
バレンタインチョコはわんさか
お客様からのラブコールも日常茶飯事
そこにいるのは“単にモノを配達する青年・おじさん”ではなく、健康的で爽やかに、そして一生懸命に働くセールスドライバー達だ。本を読むと、自分の頭がいかに偏見で凝り固まっていたかが分かる。客は、佐川という看板よりも、むしろ“彼ら”に惹かれて仕事を依頼するのである。
そんな“人間力”をいかんなく発揮する佐川マンの背後には、強烈な佐川イズムの存在がある。思いやり、身だしなみ、挨拶・・・「そんなところで売り上げに差がつくのか?」と思えるような基本中の基本・・・ひとつひとつを丁寧に教育し、体に浸透させてゆく。
・寝癖はNG
・腕まくり、ズボンの裾まくりはしない
・ズボンはきっちり履く
・時間の5分前着席
・褒めるが先、注意は後
・・・
■佐川の”良い部分”を全面的に紹介
さて、この本にあえて難癖・・・いや、読者に気をつけてもらいたいことがあるとすれば、“この本は佐川賞賛本である“という点だろうか。著者は、佐川急便の社員ではなく、フリーランスライターという中立の立場だ。しかし、この本を読んでいると佐川急便という会社がいかに素晴らしい会社か、そこで働くセールスドライバーたちが、みないかに素晴らしいか、のみにスポットライトがあたっていることが分かる。
”物事の素晴らしさ“は、良い部分だけでなく悪い部分にもスポットライトを当てて初めて見えてくるものだ。この本だけを見て「佐川すげっ!」とか「これからは佐川しか使わないっ!」となってはいけないのだと思う。
■結果を出している会社に成功のヒントを学ぶ
「思いの他、ためになった」、という点は強調しておきたい。そこには1人の魅力的なビジネスマンになるヒントが書かれている。そして、1人の経営者として社員のヤル気をどのように引き出していけるか、のヒントが書かれている。
そこには奇をてらった戦略も派手さもない。(今更ながらではあるが)佐川で教育を徹底しているという基本的な行為・・・挨拶や身だしなみ、人への接し方・・・については改めて考えさせられた。
基本を地でいく佐川イズム。常に顧客と接する営業マン、ヤル気満々の若手社員、人の育て方で悩む経営者・・・このあたりの人は、まさにドンピシャのターゲット層となるだろう。
【会社の特徴を描いた本という観点での類書】
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