「文章がうまくなりたけりゃ、常套句を使うのをやめろ」
全速力の軌跡
20代後半から、今日にいたるまで毎日を全速力で駆け抜けてきました。疾走するスピードは毎年加速度的に増えています。 そんな自分の足跡を残したい、考えを整理したい、自分の学びの場としたい・・・こういった思いからこのブログを立ち上げました。とりわけ、読んだ本や雑誌、観た映画、その他遭遇した事件・・・などなど、思いの丈を吐露しています。
2022年8月14日日曜日
書評: 3 行で撃つ <善く、生きる>ための文章塾
2022年8月10日水曜日
書評:クライシスマネジメントの本質 本質行動学による3・11大川小学校事故の研究 西條剛央
この本を読んで 久々に心を揺さぶられた。
クライシスマネジメントの本質
-本質行動学による3.11大川小学校事故の研究
西條剛央
そう感じたのは、世の中の災害対応の課題が全て集約されていると言っても過言ではないと感じたからだ。本書は、東日本大震災での大川小学校事故の詳細が語られている。なお、大川小学校事故とは、2011年3月11日に津波が来た時点で学校管理下にあった76名の児童のうち69名が遺体で見つかって3人が行方不明となった事故のことだ。
最初の揺れから津波到達まで50分の時間があり、校庭から走って1分ほどで登れる裏山があったにもかかわらず、どうしてこのような悲劇が起きたのか。著者は、その原因について、客観的な調査・分析・評価を試みている。
災害対応の課題は、ひと言で言えば「正論だけでは語れない人間心理の厄介さ」だろう。言ってしまえば、天災というよりも人災だ。いざ災害に直面してみると意思決定ができず判断に迷いが出る。「自分だけは大丈夫」「これまで起きなかったから今回も大丈夫」「誰かに怪我をさせて責任問題に発展させたくない」などといったバイアスにも直面する。
以下は、それを浮き彫りにする一例だ。
2022年7月10日日曜日
書評:「なぜ危機に気づけなかったのか 組織を救うリーダーの問題発見力」
この本を読むとリスク感度がどうして人によって異なるのか、それはどうやれば養えるのかのヒントを得ることができるだろう。
タイトル:なぜ危機に気づけなかったのか 〜組織を救うリーダーの問題発見力〜
著者:マイケル・A・ロベルト
冒頭で述べたように、本書は、誰よりもいち早く問題に気づいて行動を取ることができた人はどういう人だったのか、それはどういう理由だったのか、そこに共通要素はあるのか、あるとしたらそれはどうやったら標準化できるのか、それをやった事例はどんなものか、などといったことについて書いてある本だ。
例えば、オーストラリアのいくつかの病院で、容態が急変し亡くなる前に、患者の異変にいち早く気づくためにどうしたらいいのかについて取り組みを行なった事例が紹介されている。彼らがやったことはおおよそ3つあり、1つ目としては各病棟に心停止の前兆となりうるトリガー例を貼り付けてあるそうだ。2つ目としては、そうしたトリガーに基づいてアラートをあげた看護師の声に、いち早く処置できる緊急対応チームを立ち上げたそうだ。第3に、看護師が誤った警報を出しても、一切咎めないというルールを徹底したそうだ。なお、緊急対応チームは、火災で言えば、いわば煙の段階に対応・処置するチームであり、消火役のコード・ブルー・チームとは一線を画している。
言い換えれば、本書は昨今よく言われる「バッドニュースファースト」をどうやったら実現できるのか、について解説している本ということもできる。組織では、「なかなか問題が起きていることに気づけない」「気付いたとしても上げようとしてくれない」「あげたとしても情報にフィルターがかかってしまう」など、あらゆるところにインシデント対応上のハードルがあるが、それをどうすれば取り除けるのか、についてたくさんのヒントが書かれている。
組織の再発防止やインシデント管理を洗練させたいのなら、おすすめの一冊だ。
2022年6月5日日曜日
リスク心理学(中谷内一也)を読んで
「人のリスクの捉え方を知っておくことで、リーダーは、適切なリスクコミュニケーションを取れる可能性が高まる。だからリスク心理学を学ぼう」
2022年5月8日日曜日
「土偶」は本当は何のために作られたのか!?
「土偶、が何のために作られたのか、謎を解いた」という話を聞いたら、皆さんはどう思うだろうか。
「え〜。100年以上、専門家が解き明かせなかったものが、そんな簡単にわかるかねぇ」
私は、そういうふうに思いながらも、好奇心を抑えきれず土偶を読むを手に取った。すでにヒントは本のカバーに描かれている。土偶の顔と栗が並べられた写真が掲載されている。
「そうなのか、答えは、土偶は食べ物を偶像化したものということなのか? でも、土偶は他にもたくさん人型をしたものがあったはずだが、それらはどう説明するんだ!?」
そう思いつつ読み進める。1例目はハート型の土偶の話。ハート型と食べ物が結びつくイメージが全くなかったが、著者が提示するある食べ物と並べた写真を見て、正直、驚いた。確かにそっくりだった。しかも、(これは個人的感想だが)ハートは現代でこそ「心」を模したものとされているが、5,000〜6,000年前の縄文人がそんなアナロジー思考ができているハズもない。これも私の拙い知識からの話になるが、実際「RANGE 〜知識の『幅』が最強の武器になる〜」の著書、デイビッド・エプスタイン氏はその本の中で、「知識を持っている教育を受けた人と未開の人との違いは、アナロジー思考ができるかどうかの差になって現れる」といったことを述べていた。いずれにしても、だとしたら、縄文人は何か身近なものを土偶に模写したハズで、その観点でも説得性がある。
「でも、たかだか1つの事例だけで信じてたまるか」
そう思いながら2例目を読む。栗と並ぶ形で表紙の写真に掲載されていた土偶の話だ。確かに似ているかもしれないな。続けて3例目を読む。ここに掲載された写真を見て「あぁ、これは確かにすごい」と思った。
その後は「よくもまぁ、ここまで調べて仮説を立てたものだ」と感心しながら、読み進める。
決定的に唸らされたのは、超有名な恵比寿田土偶の解説とそこに付された写真を見たときだ。「確かに、人間を模した土偶と説明する方がよほど信憑性がない。しかし、こんなものが、どんな食べ物を模したものだというのだ!?」
著者が読者に信じてもらうために、土偶写真の一部を、その食べ物に置き換えた加工写真を掲載している。俄には信じがたいのだが、「加工」に気づかないほど土偶の体の一部とそっくりなのだ。
ここで正解を述べたら面白くないので、これで興味を持った方はぜひ読んでもらいたい。本書の良いところは、著者の主張を裏付けるために、写真や絵がふんだんに掲載されているゆえ、読者自身が、自らの目で検証できる点にある。
ところでなぜ、我々は「土偶を読む」に興奮するのか。読んで、どんなメリットがあるのか。しばらく考え込んだ。自分が出した答えはこうだ。
「とにかくワクワク感が湧いてくる。なぜそんな気持ちになるのかといえば、キリストが生まれたとされる年よりも昔・・・はるか5,000年前の人間がどんな人間だったのかを知ることができるからだ。そして、食べ物等を土偶に模すことによって豊作を願うなんざぁ、今の自分達と何ら変わらない人間だったんじゃないか、と気付かされる。今の我々が5,000年前と全く同じ人間。そう思っただけで、自分が5,000年前にタイムスリップできた気がするのだ。この気持ちは、サピエンス日本上陸 3万年前も大航海を読んだときにもあった。」
この本一冊でそんなワクワク感を得られるのだとしたら、素敵なことじゃないだろうか。
2022年1月1日土曜日
書評:エンパワーメント 社員の力で最高のチームを作る ケン・ブランチャード著
エンパワーメントとは、『社員がもっているパワーを解き放ち、それを会社の課題や成果を達成するために発揮させること』。チームがどうしたら自律的に機能するのか、エンパワーメントの方法を明快に解説してくれている。
エンパワーメント 社員の力で最高のチームを作る
ケン・ブランチャード著
書評:最高のリーダー、マネージャーがいつも考えているたった一つのこと マーカス・バッキンガム
マネージャーとリーダーという軸に分けて、どうすれば優れたリーダーやマネージャーになれるかについて語っている本。
最高のリーダー、マネージャーがいつも考えているたった一つのこと
マーカス・バッキンガム
2021年10月10日日曜日
書評:米中対立 アメリカの戦略転換と分断される世界
今の時代、どうしても中国の動向は気になる。そんなわけで先日は、「ラスト・エンペラー習近平」を読んだが、今回は雑誌の紹介記事を見て次の本を読んだ。
米中対立 アメリカの戦略転換と分断される世界
著者:佐橋 亮
本書は、米中のこれまでと現在の関係性を特に米国視点で追いかけてみることで、今後の米中対立の行方を占う本だ。政治・社会・経済の話は、情報量が多いせいもあって、いまいち頭に整理されて入ってこないので、本書のように「米国視点で米中関係性を観察してみる」というアプローチは、意外に新鮮でありがたかった。
- アメリカは「安定第一」で既存の状況を変えない戦略をとっている
- 中国は自分の支配領域を決め、そこに入ってくるなと思っている
- 中国は台湾はもちろん、東シナ海は自分達の領域だと感じている
- 中国は上記考えを邪魔する者には徹底抗戦する
- 中国は目的達成のためならかなりアグレッシブな態度をとる
- 中国は他国が反抗すればメンツを重んじる国ゆえ対抗措置を必ずとる
2021年9月19日日曜日
書評:ソニーの半導体の奇跡
期待していた以上の面白さだった。
なぜ、面白いと思ったのか。理由はおそらく次の2点だ。1つは、この本一冊にビジネスの辛さやほろ苦さ、悲しみや喜び、成功や失敗のポイントにつながる生の物語が凝縮されているからだと思う。やっぱりリアルな話は何ものにも変え難い。もう1つは、経営理念とかビジョンとかそういう抽象的な表現では決して伝わらないソニーの文化や気質というものを知ることができたからだと思う。本書を通じて、ソニーらしさが何たるかを知った。
ソニー半導体の奇跡―お荷物集団の逆転劇 著者:斎藤 端(東洋経済)
では、成功や失敗のポイントにつながる生の物語とは具体的に何か。いくつか例を挙げておきたい。
その1)スーパーマンが活躍することを想定した組織運営はいずれ限界が来る
「(出井元社長は)就任当初の電話、すべての事業ユニット隅々まで理解し掌握しないと自信を持って的確な方針を支持できないと感じていたようです。報告を事細かに機器導入予定の製品デザインをチェックし研究開発者の中に埋もれている人はいないか話を聞きに行きました。そこで見出した近藤哲次郎と言う異能技術者を抜擢してきたり、はたまた世界のスター経営者のところへ出かけていては提携の話をまとめて、とまさにスーパーマンのような活躍でした。まさにスーパーマンのような活躍でした。彼のようなやり方は例えて言うならマラソンを100メートル走の全速力で走るようなものです。このままでは会社に殺されるよ。出井がため息をついていたのを何度か目にしたことがあります」(本書より)
2021年9月18日土曜日
書評:ポジティブの教科書
「朝目覚めたら『起きる』という行為をまず楽しむ。それから顔を洗って、歯を磨いて、髪を整えるといった一連の行動すべてに意識を集中して、楽しんでいくんです。」
NewsPicksの記事で、武田双雲氏のインタビュー記事を見て、「ヤバイ。この人、面白い!」と思ったのが本書を買ったきっかけ。
(参考)インタビュー記事
https://newspicks.com/news/4224963/body/
ポジティブの教科書
著者:武田双雲
早速、読んだ。冒頭のクダリほど、インパクトのある内容をもらえたわけではないが、まぁまぁ、期待値どおりの本だった。氏のポジティブシンキングを支える哲学は(本書でも述べられているが)おそらく次の3つである。
- 幸せを与えること
- 幸せであることに「気づくこと」
- 幸せな言葉を発し、幸せな態度をとること
特に一点目は、アダム・グラント氏の本「GIVE AND TAKE -与える人こそ成功する時代」に通ずるものがある。これだけ様々な実証者がいるのだから、(誤解を恐れずに言えば)「正解」であるに違いない。
2021年8月29日日曜日
書評:ラスト・エンペラー 習近平
「あの国では現場の指揮官の皆が野望を抱いており、『こうすれば習近平が喜ぶだろう』と考え、率先して動く傾向がある。むしろ、上からの指令を待つことのほうが少ないかもしれない」(月刊VOICE2021.9)
エドワード・ルトワック氏のこの中国描写がスっと腹落ちした。その瞬間、氏のこの本を読もうと決めた。
この著者、エドワード・ルトワック氏とは何者か。本書の経歴をそのまま引用すると次のようなものだ。米戦略国際問題研究所(CSIS)上級顧問。戦略家、歴史家、経済学者、国防アドバイザー。1942年、ルーマニアのトランシルヴァニア地方のアラド生まれ。
本書は、中国のこれまでの行動と考え方に基づき、今後の中国がどうなるかを考察した本だ。中国のこれまでをチャイナx.0と言う表現を使って、4段階に大きく分けて解説している。その概要は以下の通りである。
- チャイナ1.0
- 平和的台頭
- チャイナ2.0
- 対外強行路線。中国の外交を大いに後退させた悪手だった
- チャイナ3.0
- 選択的攻撃。「抵抗のないところ(フィリピン)には攻撃を続ける」は、アメリカからの外交的な反撃を受け、早くも2015年の段階で戦略として破綻していった
- チャイナ4.0
- 全方位強行路線(戦狼外交であり、チャイナ2.0の劣化版)
さて、では著者の捉える中国とはどんなものか。著者の次の表現がわかりやすい。
「桂氏の釈放を求めるスェーデン政府を中国の駐スェーデン大使が『48キロ級のボクサーが、86キロ級のボクサーに挑み続けている』と揶揄」
「北京の人々は他国の安全を脅かし、その国民の命を奪っても、相手が経済、すなわち金の力に平伏すだろうと考えている」
「中国は現在、国際社会で守られているルールに縛られることなく、全て自分で決めた『国内法』によって行動し、他の国がそれに従うことを求めている」
これらを読んで私が頭の中に思い浮かべたのは、独りよがりのジャイアン(笑)。いや、これは私見だし、ジャイアンに対しては大変失礼な話かもしれない(が、それは容赦願いたい)。著者はこのジャアン的思想こそが、中国を破滅に向かわせるという。それが、この本のタイトルに込められた意味でもある。
そのロジックはどう成り立つのか。「いわゆる戦狼外交で、相手を屈服させることなどできないから」というのがその理由である。例えていうなら、いくら筋力ムキムキのジャイアンになっても、それで一致団結した相手をねじ伏せることなどできない、と言うのだ。ちなみに、ここで言う筋肉ムキムキ力を海軍力、一致団結した力を海洋力という言葉で著者は表現している。しかも、ジャイアンには誰かと対等に付き合うという考えはない。著者は言う。「中国の外交は、強者が弱者からの朝貢を受けるという不平等な関係を常に前提としてきた。対等な他者として認めようとはしなかった」と。つまり、その姿勢をとり続ける限り、習近平はラスト・エンペラーになると言うわけだ。
有益な本であることに間違いはないが、一点、注意はしておきたい。そもそも一国を理解するのに、本一冊読めばOKなんてことはない。説得力はあるが、あくまでも1つの捉え方に過ぎないと言うことだ。
だが、これまでとこれからの中国を理解する上でヒントにはなる。少なくとも、今後の中国のニュースを見る目が変わる。ニュースを見て、彼らがまだ「戦狼外交」を続けているのか、それゆえ破滅に向かっているのか、それによって我々がどういう行動を取るべきか考えることができる。
たとえば今QUAD(日本、米国、オーストラリア、インドの首脳や外相による安全保障や経済を協議する枠組み)と言うキーワードがたまにニュース上で飛び交うが、それも大きな意味を持つものとして見えてくる。
引き続き、色々な知識を増やして中国や他国の理解を深められたらなと思う。
書評: 3 行で撃つ <善く、生きる>ための文章塾
「文章がうまくなりたけりゃ、常套句を使うのをやめろ」 どこかで聞いたようなフレーズ。自分のメモ帳をパラパラとめくる。あったあった。約一年前にニューズ・ウィークで読んだ「元CIAスパイに学ぶ最高のライティング技法※1」。そこに掲載されていた「うまい文章のシンプルな原則」という記...
-
現在、ロシアはサンクトペテルブルク滞在中。 さて、ふと 「自分の苗字のルーツはなんだろうか?」 と思った次第である。私の苗字である勝俣(かつまた)は、富士山の周りに多い、というのは以前から噂に聞いてきたことだが、インターネットを駆使してもう少し調べられないものかと奮起してみた。 ...
-
さる8月21日グランドラピッズ(ミシガン州)のお寿司屋さんに行ってみた。MIKADO(ミカド)という名前のレストランである。きっと”帝”をモジっているのだろう。 ぱっと見たお店の雰囲気は、 忍者タートルズ の世界である。なんか、全て造りが大げさで、日本のように見えない。お店の中な...