2018年3月22日木曜日

記事評: 現場のDNA進化は「ルーティン」で決まる

少し古い記事になるが、ふと読めていなかった雑誌を掘り返して読んでいたら、目から鱗だったのでここに記載しておく。ハーバード・ビジネス・レビューに掲載された入山章栄氏の「現場のDNA進化は「ルーティン」で決まる」だ。

2つある。

マニュアルの意義
『そもそもマニュアルは社員やスタッフの行動を制限するためにつくっているのではありません。むしろ、マニュアルを作り上げるプロセスが重要で、全社員・全スタッフで問題点を見つけて改善していく姿勢を持ってもらうのが目的なのです(良品計画)』

今回のこの記事以外にも、ちょうど昨日読んだ、遠藤功氏の「生きている会社、死んでいる会社」にも同じ事例が取り上げられていたから、余計に目立った。なにかよっぽど縁があるに違いない(笑)。

実は、いま自分が取り組んでいるリスクマネジメント・・・とりわけ、災害時の行動計画や備えであるBCP(事業継続計画)にも同じことを感じていて、コンサルティング時にその考えを取り入れていた。有事の行動計画であるBCP策定の際の大きな問題が、計画策定者とそれを実行する人が異なることだ。文書は副産物でむしろ、BCPを策定するプロセスを経験することのほうがよほど重要と考えたほうが良い・・・そう、言ってきた。今回のこの記事は、それを裏付けるような記事である。私の例の場合は有事に備えた行動計画の話であるが、平時のマニュアルにおいてもそれがあてはまり、なおかつ、それを実践するために良品計画では月1で現場がマニュアルの見直しを行っている点についてはなるほどな、と思った。生きたマニュアルにするための良いヒントだと思う。

新規ビジネスを成功させる要諦
古いビジネスから脱却できず沈没した事例はいくらでもある。コダックと富士フィルムの事例はよくとりあげられる。この記事では、米国新聞社がデジタル化の波に乗れなかった理由を・・・4社8事業を研究した成果について触れている。それが興味深い。

それによれば、4社8事業のうち成功したケースは一つだけだったそうだ。共通していたのは、いずれの会社も、デジタル化の波に合わせてリソース配分をデジタル事業に傾けていたこと。ふむふむ。ここまでだったら誰でも思いつくしやりそうなものだ。だが成功した一社のみが違ったのは、デジタル事業に古いしがらみをもちこまなかったこと。具体的には、事業部を完全に独立させ、トップをシリコンバレーのIT企業の出身者に任せたそうだ。

つまり、新分野で成功させるためにはリソースだけ手当しても駄目で、頭のスイッチも思考プロセスもみんな切り替えなければいけないし、切り替えるような環境を創出しなければならない・・・と、そういうことだ。これはなるほど!である。おおくの企業で、「いやぁ、うちの会社でも新規ビジネスをやらせようと思ってどんどん、いろいろな部門にアイデアを出してこいっていってるんだけれども、みんな成功しないんだよね・・・」という声を聞く。おそらく頭のスイッチの切り替えはおろか、リソース配分も(あわよくば今のリソースを犠牲にしないままで)と甘いやり方をしているのだろう。これでは成功しないはずである。良い勉強になった。

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