2011年4月14日木曜日

ご飯事件

昨日の夜、会社から家に向かって帰宅する途中に、妻から次のようなメッセージが届いた。

「ごはんがないので、食べる分だけ買ってきてくれる?

これを見た私は、その日、なんとなくパン系が食べたかったので、途中のスーパーでパンを3つ4つ買って帰った。


家に着くと、妻が

「ごはん買ってきた?」

と聞く。

「ほい、買ってきた。自分の分のご飯」

とパンを見せる。

すると妻が、

「えっ!? 白いご飯は・・・おかずはあるから白いご飯だけが必要だったんだけど・・・。」


結局、その日、おかずと菓子パン・・・不思議な取り合わせに苦虫をかんだことは言うまでもない。

さて、みなさん、この事件に対する裁定やいかに・・・(^_^;)

HBR 2011年3月号 How to Make it To the Top

ハーバードビジネスレビュー2011年3月号”How to Make it To the Top”を読んだ。


今回の号で割と目についたのが、個人の能力をどう高めるか、自分のブランドをどう高めるか、というテーマ。自分は雇われることを考えていないので、あまり興味がわかずパス。

一方、特に気になって読んだのが以下の記事(注意:和訳は私の主観が入った意訳)。

  • The Short Life of Online Sales Leads(オンラインで獲得したセールスリードがいかに短命か)
  • In Praise of The Handshake(”握手”を褒め称えて)
  • Capitalism for the Long Term(長期的視野の資本主義)
  • How eBay Developed a Culture of Experimentation(eBayはどのようにチャレンジ旺盛な文化を醸成したか)
  • How a CEO's Injury Helped Him Revitalize His Young Firm(CEOの怪我がどのようにして彼の若い会社をよみがえらせたか)

■The Short Life of Online Sales Leads
(オンラインで獲得したセールスリードがいかに短命か)


この記事では、いまや当たり前ともなっているWEBサイトを介しての問い合わせ・・・この問い合わせに対して、企業がどれだけ早くレスを返しているか、そして、そのレスポンススピードの違いで、どれだけ結果に違いが出ているのか、といったリサーチ結果が紹介されている。ある実験では1時間以内にレスを返した企業と、それよりも長い時間が経ってからレスを返した企業との間で、受注率に7倍の差があったとか・・・。

WEB問い合わせの数、販売している製品・サービスの種類によって、このあたりは見解がかわってくるだろうが、学ぶべき点はある。なかなか参考になった。

■In Praise of The Handshake
(”握手”を褒め称えて)


欧米は契約社会と良く言われる。日本はどうだろうか。この記事の言葉を借りるなら、”握手”社会と言えるかもしれない。そう、何から何まで具体的な数字や文言を持って契約で縛る関係がいいのか、そうではなく、必要最低限の部分だけを契約で縛り、後は、暗黙の了解を持って臨む関係がいいのか・・・この疑問に対してスポットライトを当てた記事だ。記事は、契約重視の姿勢をとった際の失敗事例を挙げつつ、契約重視に進みつつある社会に警告を出している。曖昧さが作る関係もいいものだと・・・。

思うに”具体的な数字や文言を持って契約をすること”は決して悪くないことだろうが、そこで定める数字や文言自体、そもそも公平性や完璧性を持って規定できるものではないはずなので、全てにおいて、そういったものを拠り所にした関係は、当然、いい結果を得られないのだろうと思う。

■Capitalism for the Long Term
(長期的視野の資本主義)


先日読んだ大前健一氏の「大前健一の新しい資本主義の論点」でまとめられた論文に、一貫してでてきたテーマの1つに「これからは株主資本主義ではなく、ステークホルダー資本主義が台頭する」というものがあったが、この記事もその類だ。つまり、短期的な利益を追求する株主が幸せになることだけを考えて企業活動を行うべきではなく、より広範なステークホルダー(たとえば従業員や地域社会など)の幸せを考えて企業活動を行うべきだというわけだ。

こういった長期的視野を持つことの大切さは何も企業に限った話ではなく、国家レベルの活動にも当てはまるものだと思う。記事中の「韓国のミョンバク大統領が、マッキンゼー社に向こう60年の韓国の展望についてアイデアを出してくれてと依頼してきた」という事例が印象に残った。日本は、とてもとても60年という長期的な展望を持った戦略的な動きは全くできていないように思うが、どうなんだろうか。

■How a CEO's Injury Helped Him Revitalize His Young Firm
(CEOの怪我がどのようにして彼の若い会社をよみがえらせたか)


この記事は実は結構ありがちな話ではある。成長する可能性が十分に秘めた会社であったにも関わらず、それをとりしきるワンマン若手社長がいた。権限委譲を渋り、仕事を一人でかかえる傾向があったため、会社は成長するどころか、社長の身に何かあれば、つぶれるリスクを多分に持っていた。そんなある日、不運?にも社長が交通事故にあい、まわりに頼って仕事をせざるをえない事態に直面。この経験を通じて、社長は人に頼ることを覚え、会社は成長し始めた・・・そんな話である。

「他人の振り見て我がふり直せ」とは良く言ったもの。自分にもマネジメントとして、十分に社員に仕事を振れてない部分があると思っている。自戒の意味も込めて、この記事をここにとりあげた。

2011年4月12日火曜日

日経ビジネス4月11日号 「3・11 不屈の国」


日経ビジネス4月11日号「3・11 不屈の国」を読んだ。思わず勢いで定期購読を始めたはいいが、週刊の購読はちょっと多かったかも・・・とすでに息切れ気味(笑)。

さて、当雑誌だが、これまではどちらかというと「被災」を中心にとりあげられた記事が多かったが、今回は、そのタイトル(「不屈の国」)からも読み取れる通り「再生」をテーマにスポットライトがあてられている。復興に向けて、どんな取り組みが始まっているか、どんな支援が差し伸べられているか、といった記事が多い。

中でも今回、個人的に興味がわいたのは、次の3つだ。

■ガス復旧に全国27社が集結

社会インフラの中でも、ガスはとりわけ復旧に時間がかかるものだ。ガスの場合は復旧に完璧さが要求されるからだ。電気であれば、多少、地中の中でケーブルのどこかが裂けていたとしても各家庭や工場に電力を届ける上であまり大きな支障はない。が、ガスの場合はガス管のどこかに少しでも穴があればガス漏れがおき、大きな二次災害につながりかねない。ガス漏れ箇所は特定するのに時間がかかる上、修復にもそれなりに時間を要する。そんなわけで、災害時にはいくら人の手があっても足りないわけだ。

この記事では、全国のガス会社が被災地に集合し、被災地のためにみんなが協力し合ってがんばっている姿が取り上げられている。天災は1社だけが良ければいいというものでもないし、1社だけで対応できるものでもない。こういった”共助”は、防災・事業継続を考えるうえで、極めて大事なことだと思う。

■”憧れの街”を取り戻す

この記事では、松崎浦安市長が今回の地震について、そして政府の対応について、激白している。浦安は、東日本大震災で液状化被害(埋立地のような地盤のゆるい土地が地震の影響で、あたかも液体であるかのような状態に変化し、建物や地中のパイプが支えを失い大きな被害を受ける被害のこと)が目立った地域だ。

とりわけ、液状化問題を事前に十分に認識しておきながら、とってあった対策が十分に機能しなかった、という話は興味深かった。市長は記事で次のように述べている。

『もともと、液状化を事前に止めることはまず不可能と考えていましたので、浦安市としてはライフラインの復旧に全力を挙げるというところに意識を置いて対策を講じてきました。そのための上水タンクも完備していたんです。(中略)・・・正直言って、このタンクは浦安市の自慢でしたが、(3基中)2基が液状化でだめになりました。』

何事も完璧な予想などあり得ない。はずれて当然・・・大事なのは失敗から学ぶこと・・・と個人的には思いたい

■中国でも原発推進に逆風

タイトルは「原発推進に逆風」とあるが、私が驚いたのは中国にある稼働中ないし建設中の原発の数だ(「NUCLEAR TECHNOLOGY REVIEW 2010」データによれば、中国で建設中の原子炉は31基とあるが、日経ビジネスのデータ(77基)のほうが新しいと思われる)。

  • 現在稼働中の原子炉・・・13基
  • 建設中及び計画中の原子炉・・・77基
  • 地方政府が建設の意向を表明しているものが144基

仮にもし中国で全て原子炉が建設されれば、第一位のアメリカ(104基)を超える数だ。

ところで日本は?というとデータによれば54基。福島第一原発の事故で1号機から4号機までの4基の話題だけで世界の注目を集めている現状を考えると54基という数は「えっ!?そんなにもあるの!?」と驚いてしまう数だ。


福島原発事故のニュースを受けて、中国政府は原子炉建設の一時中止を宣言しているらしいが、それにしても注目すべきは、その数。そしてその数もさることながら、その建設場所だ。基本的に原子力は燃料棒を常に冷却する必要があることから大量の水が必要とされる。そういう意味で、その多くが中国の東海岸沿いに建設されている。どんなに信頼性が高かろうが、数が増えれば事故が起きる確率も高くなるわけで・・・。今は福島県にみんなの目が向いているが、もう少し高いところから俯瞰的に日本列島を見てみると、中国をはじめ隣国の原子力発電所は気になって仕方がない(もちろん、彼ら隣国は、逆に日本の原発事故が気になって仕方がないのだとは思うが・・・)


いずれにせよ、日本の原発だけではなく、もう少し広い視野でアンテナをはっておく必要があるのは間違いなさそうである。

====2011年4月27日(追記)====
日経ビジネス2011年4月25日号「東電の罪と罰」に「中国で多発する放射線事故」という記事が掲載されていた。そこには、中国では88年から98年までの10年間に332件の放射線事故が発生し、966人が被曝したというデータが載っていた。事故発生率は米国の40倍だともあった。いよいよ怖い・・・。

====2011年5月9日(追記)====
日経ビジネス2011年5月9日号「不動産ショック」で、≪編集長インタビュー≫ 小林喜光氏(三菱ケミカルホーディングス社長)「総合」だから危機に強い で小林社長が次のように述べていた。

『中国やインドはかつて日本がやってきたことを、これからやります。中国の沿岸部に ある原発の安全にも日本の教訓をいかさなければなりません。そうでなければ、日本が原発を止めたところで、中国で事故が起きれば、偏西風に乗って、放射性物質が来るかもしれない。グローバルな見方で、原発を人類の一種の宝と捉えて安全対策を進めるべきです』

2011年4月11日月曜日

日経ビジネス「広がる波紋」


4月4日号のタイトルは「広がる波紋」。当然のことながら、震災に絡んだ記事が多いが、もちろん、それ以外のものもある。この号で特に個人的に面白く読めたのはのは、「三菱重工」の”誤算の研究”という記事。

三菱重工が、新日本製鉄や日立製作所など競合に比べ、いかに成長しておらず、また、社内で立てた計画がどれだけ未達を繰り返しているのか、そして、こういった問題に対してどのように立ち向かおうとしているのかが、具体的に紹介されている。

三菱重工といえば、競争力のある素晴らしい会社というイメージがある。国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」(三菱リージョナルジェット)はなかなかのものだし、とにかく他社が簡単に入ってこれない参入障壁の高いエリアで、その強さを満喫している企業だと思っていた(単なる私の勉強不足の部分もあるが・・・)。

記事を見ると、どうもそんなことはないらしい。

事業計画は毎年未達の嵐、財務はどんぶり勘定、成長は長年停滞、行う事業は失敗続き・・・それでも、売り上げが急降下していないだけすごいと思うが、さすがに、「うわっ、この会社はすごい!これからどんどん伸びるぞ!」と思えるような会社には見えない。(左図は、三菱重工のHPから持ってきた「三菱重工の受注高・売上高」)

もちろん、手遅れになる前になんとか大ナタをふるおうとしている姿勢があるからこそ、日経ビジネスのインタビューにも応じてくれたのだろう。どう立ち向かっていくか、この組織の向こう2~3年の動向を注目したい。

中には、三菱重工のように大企業病にかかりながら、まったく危機感を持っていない組織もあるだろう。今後、ますます「大企業だからつぶれない・・・」なんていう論理は通用しなくなる。

2011年4月9日土曜日

書評: 大前研一の新しい資本主義の論点

先週読んだのはこの本だ。

「大前研一の新しい資本主義の論点」
~世界の何がどう変わったか、新しい現実を知る必要がある~
編者:大前研一、ダイヤモンド社 1,600円


100年に1度の経済危機とまでうたわれた2008年のいわゆる”リーマンショック”。2011年の東日本大震災は日本の大陸を3メートル東に動かしたというが、この経済危機は何を動かしたのか?どうやら、変化したのは、単に企業の売上げだけではなく、プレーヤーが競争を繰り広げるバトルフィールド(市場構造)自体が大きく変化したようである。

「では具体的に何がどう変化したのか?」

大前研一氏が、この問いに1つの方向性を指し示すべく、様々な専門家が意見を寄せるグローバルマネジメント雑誌”ハーバードビジネスレビュー誌”の中から28の論文を厳選し、また、これに彼自身の論文を加え、まとめたものが、この本である。


危機後の様々な変化によって生まれた状態は何か

”(リーマンショックのような)危機後の様々な変化によって生まれた状態”のことをニューノーマルと呼ぶらしい。このニューノーマルについて29の論文に目を通すと、なるほどいくつかのヒントが見えてくる。勿論、中身を全て紹介することはできない(し、するつもりもない)が、その論点は、大きく以下の3つのテーマに集約できる。

・資本主義における前提条件の変化
・主役の交代
・新しい技術の登場

「資本主義における前提条件の変化」とは、簡単に言えば、これまで”正しい”と思い込んできた2つの法則が実は違っていた・・・ないし変わりつつあるということである。その2つのこととは「どうやら人は必ずしも予測できる行動をとる動物ではない、ということ」、そして「企業は株主さえ見ていればいいわけではらしい」ということである。本では、専門的な言葉で前者を「行動経済学」、後者を「ステークホルダー資本主義」(または「マルチ・ステークホルダー・アプローチ」)などと呼んでいる。

「主役の交代」とは、世界経済を牽引する主役が、先進国から新興国へ移りつつある、ということだ。リーマンショックは世界同時不況と言われることもあるが、実は、この不況下でも大きな経済成長を続けている国々がある。それが中国やインドのような新興国である、というわけだ。大前氏はさらに考えを前進させ「人口が5千万人以上で、平均年齢が20代後半、国民の教育レベルが高く、政治が安定している国」が、今後、キープレーヤーになると主張する。しかるに、BRICs(ブリックス:ブラジル、ロシア、インド、中国)やVISTA(ヴィスタ:ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)に目を向けるべきであるというわけだ。

大前研一氏をはじめ、他の28の論者の多くが、実はこの”主役の交代”を通じて、我々はどういったことを考慮するべきか?について言及している。「新興国によるM&A」「新興国の環境分野への進出」「ホームレスマネーの行方」「グローカリズム」「意志決定のアウトソーシング」・・・などなど。

そして最後に「新しい技術の登場」では、今後、企業が依存するインフラを大きく変える可能性のある技術をいくつか紹介している。セマンティックウェブ(インターネット上にある無数のホームページをより有効活用できるようにするための技術)やナノスケールセンサー(文字通り、極めて小さいながら各種センサーとしての機能を果たすもの)、DSSC(色素増感太陽電池)など、それほど世間で知られていないキーワードがいくつも取り上げられている。

経営戦略を考える立場の人に・・・

大前氏は、”まえがき”で、次のように述べている。

『私の考えと異なるものもあるが、新時代に対する彼ら(各国の政治指導者やグローバル企業のアドバイザー、もしくは経済的リーダー達)のアイデアからは、現状分析と戦略策定に関わる思考のヒントが得られるはずだ。リーダーたる者、一度は読むべき論考である。』

自分たちの戦場(市場)を理解した上で、企業は「経営リソースをどこに投入すべきか?」「何に意識した組織体制作りを行うべきか?」「製品・サービスをどうすべきか?」「カントリーリスクをどう管理すべきか」など、経営目標や戦略、リスクマネジメントのあり方などを、今一度、練り直す必要がある。その意味で、企業選びに迷っている人、企業の経営者や経営企画に携わる人、部長職以上の人は呼んでおきたい本かもしれない。

大前研一流・・・二次利用モデルにも学ぶ

この「大前研一の新しい資本主義の論点」を読み終えて、ふと、板橋 悟氏が「ビジネスモデルを見える化する ピクト図解」という著書の中で「既にある情報を再加工して付加価値をつけて、販売するビジネスモデルを”二次利用モデル”と呼ぶ」と言っていたことを思い出した。これは雑誌社が良く採用するモデルで、たとえば、週刊雑誌に連載した漫画を、単行本の形に再編集して販売するというビジネスモデルのことだ。そう、大前研一氏も、良くこのモデルをよく使う。そして、この本もそれに近いものだ。

この本のために、氏が新たに書き下ろした文章は”まえがき”だけである。それ以外は、氏が選定した28論文をダイヤモンド社が日本語に翻訳し、それを氏が整理・分類した本である。実際、私自身2年前からハーバードビジネスレビュー誌をとりよせているが、ここに選定された論文の半分以上は、私が読んだ記憶のあるものだ。

勘違いしないでもらいたいのは、「だから、この本の価値は低いのだ」とか「大前研一氏は最低である」とかそんなことを言いたいのではない。

既読のものでありながら、あらためて氏によって取捨選択、整理・分類された形で読んで見ると、今までそれほど意味を持って頭に入ってこなかったものが、明確な意味を持って、頭の中にスラスラと入ってきた(日本語のせいもあるかもしれない:笑)。

今回、この本を読んで、改めて、整理・分類された情報が、それを提供する側にとっても、提供される側にとっても重要な付加価値になるものか、ということをも思い知らされた・・・私にとっては、そんな点でも、価値のあった一冊となった。



2011年4月7日木曜日

怒りが収まらない・・・Eman Al-Obeidyに祈りを

なぜか、日本ではあまり報道されていないようだが、とても気になっていることがある。ここ数日間、CNNのリビア報道を追っていてどうしても許せないニュースがあったので触れておきたい。

Eman al-Obeidy(イーマン・アルオベイディ)という女性が注目されている。彼女は、先月(3月)、ジャーナリストがおしかけるリビアのホテルに突然入ってきて、叫び始めた。

「私を見て、カダフィーに忠誠を誓う軍の人間に何をされたのかを!」

あたりは騒然。彼女の顔にはアザがあった。詳しく聞くと、歩いているところを拉致され、殴られ、15人に集団レイプされたのだと言うではないか。

彼女はどうやら衝撃の事実を語っている・・・今、とんでもない現場に自分たちは居合わせている・・・何十人ものジャーナリスト達がそう気づくのに時間はかからなかった。ところが・・・さらに驚くべき事が起こった。

まわりにいたホテルの従業員がかけより彼女に布をかぶせ、連れ去ろうとしたのである。

当然、ジャーナリスト達はそれを妨害すべく立ちふさがる。しかし、複数の従業員は近寄るジャーナリストを殴りつけ「おまえは狂ってる。連れて行く。」とEmanに言いながら連れ去っていった。ホテルの従業員もカダフィーに忠誠を誓う人間達が扮していたのだ。

現代において、こんなことがあっていいのだろうか?

目の前に助けを求めている人間がいる・・・助けたいと思う人たちが、手をさしのべられる距離にいる人たちが、目の前に大勢いる。

にも関わらず、彼女は連れ去られた。

後日、リビア政府は「彼女は、酔っていた」とか「彼女は、娼婦だった」とか「精神異常者だ」などと二転三転する主張を展開。その後、国営テレビでは(まともそうな)ニュースキャスターの女性が「娼婦ですら愛国心があるはずなのに、Emanにはそれすらない」とさげすんだ報道を行った。

全世界に報道され注目されたためだろう。カダフィー側もさすがに彼女を殺害する・・・という愚かな手段には訴えなかったようだ。その後CNNが解放後の彼女を発見。政府は彼女が余計なことをしゃべらないよう、当然一般の電話回線を切っている。しかしまわりの助けを借りて衛星電話を手配して、なんとかCNNが再インタビューに成功した。

そのインタビューの中で分かったことだが、Emanが誘拐されとらわれていた時、同じ場所に別の女の子(16歳くらい)が、やはりとらわれていたそうだ。その少女はもう怖くて逃げることをあきらめていたとのこと。逃げ出す恐れがないということで、その少女は縄で縛られていなかった。怖がる少女に必死に頼みこんで自分の縄をほどいてもらい、Emanは逃げ出すことに成功した・・・ジャーナリストがいるホテルにいたる道中なんども検問でひっかかったが、そのたびに「ホテルの従業員です」と嘘をついて切り抜けたそうだ・・・(Emanを助けてくれた少女の身がとても案じられるが・・・)。

インタビューに答えた彼女は、もちろん監視下にあり、今はトリポリの友達の家に身をよせているそうだが、当然、アパートの住人にも気を許せない状態だ。今回の事件について、裁判が行われることになったようだが、法廷に手続きに向かおうとしたところ、外に一歩足を踏み出せば銃を持った人間がつめよってきて「殺すぞ」と脅されて、裁判所にでむくことができない・・・というのが実態のようだ。もうむちゃくちゃである。人権もへったくれもあったものではない。

CNNのアンカーはこう言っている。「彼女の主張を100%証明できる客観的な証拠はない。が、彼女がものすごい危険な状態におかれているのは間違いのないことだ。我々はこれを伝える義務がある。」と。

全世界が注目している。彼女の無事を・・・そして彼女と似たような境遇にいる人々に心から祈りを捧げたい。


====追記(2011年5月9日)====
2011年5月8日付けのCNNニュースによると、アルオベイディさんは、5月5日(木)にリビアを脱出し、チュニジアへ入国することができたそうだ。今後のことは全く白紙だそうだが、とりあえずは一段落といったところか。

Tunis, Tunisia (CNN) -- Eman al-Obeidy, who garnered worldwide attention for her vocal rape allegations against the regime of Moammar Gadhafi, says she has fled Libya, fearing for her safety.

2011年4月6日水曜日

週刊現代4月6日号・・・想定される最悪の事態

週刊現代・・・実は、はじめて買って読んだ。最近、偏見を持たず色々なメディアに目を通して情報収集の量と質を高めようと努力している最中・・・(それにしたって読むメディアをもっと慎重に選べ・・・という声が聞こえてきそうだが)。


今回、読んで個人的に心に残ったのは、以下の2つ。

■福島第一原発は欠陥品です
実際に福島原発で使用されているMARK-Iというタイプのプラントの設計技師が、問題を指摘している。実際に使われている原発の設計技師・・・というだけでも信憑性が高いが、この記事では、様々な専門家の声に聞いた「最悪の事態」について言及している。

一つ、共通性として見えてくるのは”最悪の事態”を想定した場合20Km・・・という数字は、不十分であるということか。

ここからは私見だが、リスクマネジメントの基本は、まず”最悪の事態”を把握すること。その上で対策を講じる。こういう”危機”の際に、危ないなと良く日頃から感じるのは「それは可能性は極めて低いので・・・」という発言。結果的にそういった言動が「想定外だった・・・」という事後発言を生むことになる。

世の中に、絶対はない。可能性が低いので・・・ではなく「可能性はあるので」という言葉使いを持ってしての対応を考えることが重要ではないかと考える。

※この図の著作権は週刊現代に帰属します。皆が知っておいたほうが思いダメを承知で掲載。

■原発ムラの科学者達は現場に行け
タイトルはなんとなく過激だが、要するに東電、原子力安全・保安員や原子力安全委員会・・・など、今メディアで良く聞く組織の相関関係を描いて、体制の問題点を指摘している記事だ。我々のようなシロウトでも、誰がどういった組織を代表しているのか、どういう立場で代表しているのか、どういうなれ合いの可能性があるのか、がよく分かる。

個人的に、一番気になったのは記事中でも指摘されているように、監視する立場にある組織の独立性の薄さ。原子力安全・保安員は、その代表格だが、この組織は”外局”という位置付けの組織にあたるそうだ。「なに、外局って?」とシロウトさながらに、インターネット上を調べて回ったが、Wikipediaによれば「ある程度独立した機関として設置されている」とある。「”ある程度”ってどの程度やねん!?」と思わずつっこみたくなるが、結局は、原発を推進する経済産業省の下部組織の域を出ないことは間違いないようだ。

ところで、それにしても改めても思うのは、その財団法人や社団法人・・・など組織の多さである。いつも思うのだが、こういったインフラ事業は、関与する組織が多すぎて誰が何をやっているのかなかなか分かりづらいものがある。今回、未曾有とも言える大災害を通じて、こういった曖昧さや問題が指摘されているが、きっと他の分野にも似たような構図は一杯あるのだろうと推測する。

他人事とせず他山の石とする心がけも大事だ。

児童71人の命をつないだ橋

以下は、ASAHI.com(2011年3月29日版)からの記事・・・。

「津波が来たとき一番危ないのは越喜来小学校ではないかと思うの。残った人に遺言みたいに頼んでいきたい。通路を一つ、橋かけてもらえばいい」と2008年から訴えてきたのは平田武市議。その努力の甲斐あって、橋は昨年12月に設置されたが、平田さん本人は東日本大震災の9日前に亡くなったとのこと。

http://bit.ly/grMkXa

3月11日の震災直後、71人の児童全員は、この非常通路から崖の上に出て高台に向かうことができたそうだ。津波に飲み込まれた後の現場の写真を見ると「この通路がいかに命をつなぐ大切な橋だったか」ということは明らかだ。

この記事に触れて、TBSラジオで3月31日にラジオパーソナリティーの小島慶子氏が「用心深さ(を貫くこと)は勇気だ、と思う」と発言されていたのが妙に印象に残っている。

【小学校・・・津波の爪痕】

2011年4月3日日曜日

書評: 「東京を経営する」と「日本改革宣言」

2011年4月10日に東京都知事選が行われる。4月3日現在で出馬表明をしている人は、11人。

石原慎太郎氏(無所属)
渡邊(わたなべ)美樹氏(無所属
東国原英夫氏(無所属)
・小池晃氏(無所属)
・ドクター中松(無所属)
・谷山裕二朗氏(無所属)
・マック赤坂(スマイル党)
・古川圭吾氏(無所属)
・姫治けんじ氏(平和党核兵器廃絶平和運動)
・雄上統氏(東京維新の会)
・杉田健氏(新しい日本)

とりわけメディアでとりあげられているのは石原氏、渡邊氏、東国原氏の3人。やはり、都知事選は知名度や圧倒的な実績がモノを言うからだろう。この3者のうち、渡邊氏と東国原氏は、本当にここつい最近、本を出している。もちろん、政治活動を意識してのものだ。

【渡邊 美樹氏】
「東京を経営する」 ~私なら東京をこう変える~
サンマーク出版 1,300円

【東国原 英夫氏】
「日本改革宣言」 この国はこのままでいいはずがない!
アントレックス出版 630円

というわけで先週、(読書の遅れを取り戻すためもあって)この2冊を同時に読んだ。


「東京を経営する」(渡邊 美樹氏)

渡邊氏は、郁文館夢学園(いくぶんかんゆめがくえん)という学校経営や、ワタミの介護株式会社という老人介護ホームの経営を行ってきた。神奈川県教育委員会教育委員を努めた。

「東京を経営する」で氏は、自分の生い立ちや、経営者の立場から現在感じている行政への不満、自分ならこうするという意思表明を行っている。氏の”生い立ち”については、高杉良氏の「青年社長」で良く知られているところだが、何度読んでも「揺るぎない強い意志を持つ心温かい経営者」という印象は変わらない。氏の施策は、最大多数の人の幸せを狙いとした(特に)「教育」と「介護」への取組み。その強い意志を示すかのように、本には「高齢者が安心して暮らせる社会」、そして「子供が夢を描ける社会」という章が設けられている。

こうした「教育」や「介護」に対して氏が思いをはせる原動力は何だろうか?それはやはり、経営者・教育委員会教育委員として携わってきたときにぶつかった”どうにもならない”政治的な壁だろう。たとえば、氏は大きな不満の一つとして「公私間協議」を取りあげている。「公私間協議」とは、公立学校と私立学校とが、それぞれの受け入れる生徒数を決めるための協議のことだ。この協議で「子供第一」ではなく「経営第一」というスタンスで、経営の苦しい私立のために公立で生徒を受け入れる生徒数を減らしてくれ、というやりとりが行われていたそうだ。

この本の中で氏が持つ格言がいくつか紹介されている。私が個人的に気に入った発言を一つ挙げておく。

「困難から逃げてはいけない。楽な道と苦しい道と二つあれば、苦しい道を選べ。それが自ら成長させる正しい道である。」

ちなみに、この本はハードカバーで200ページ弱・・・1,300円。ちょっと手を出しにくいといった印象。

「日本改革宣言」(東国原 英夫氏)

東国原氏は、お笑いタレント”そのまんま東”から転身、早稲田大学第二文学部へ入学。卒業後も同学政治経済学部に再入学して地方自治を専攻。宮崎県知事として約4年間活動してきた。

「日本改革宣言」で氏は、渡邊氏同様、自身の生い立ちをはじめ、宮崎県知事として活動してきた際の実績、その際にぶつかった壁、どうしても取り除けない壁など、について触れている。タイトルにも現れているとおり”東京”というよりも”日本”を意識していることが伺えてとれる。事実、本の中で氏は向こう10年~15年を国家存亡の危機の分かれ目と位置付け、フォーカスすべきテーマとして次の3つを挙げている。

・少子高齢化の打破
・国と地方の財政難の打破
・経済の低迷の打破

ちなみに、氏の東京都知事選への出馬表明は3月24日である。他の後者に比べても著しく遅かったことから、ぎりぎりまで国政へ打って出るべきかどうか、迷っていたことをうかがい知ることができる。都政が持つ影響力も魅力的なはずであり、そういった意味で今回、知事選へ出ることを意志決定したのだろう。

やはり地方の政治をこなしてきただけあって、彼が本の中で述べる実績や考え方を「都でもぜひその力をフルに発揮していただきたい」と思いたくなるものである。奇しくも、今、日本は東日本大震災という未曾有の危機を迎え、強力なリーダーシップ力が求められる時期にある。鳥インフルエンザや口蹄疫(こうていえき)の危機管理対応で前線に立って闘った氏の話は、彼のリーダーシップ力を顕著に物語っており、頼もしくうつる。

この本の中で私が、個人的に気に入った彼の”格言”を一つ挙げておく。

「真摯な姿勢、硬い岩をも穿つ」


都政を担うリーダーの意志をしっかり知っておくために読むべき

都政・・・というと、「東京都民にしか関係ない」と一瞬思ってしまうかもしれないが、そんなことはない。日本で一番ステークホルダーの多い街だ。昼間人口は、1,500万人。文化、法規制、ビジネス・・・色々なものが東京を中心に動いている。渡邊氏も著書の中で触れているが、1999年に石原都知事が提起したディーゼル規制(「環境確保条例」)が都政の力を示している良い例だ。「環境確保条例」は、埼玉県、千葉県、神奈川県が続き、最終的には環境庁も、これにおされる形で法改正を行った。

それだけの影響力を持つポジションに、次は誰が立つのか知っておきたい、いや、知っておくべきだろう(気持ち的には、昼間人口を担う我々にも投票権を与えて欲しいくらいだが・・・)。

もちろん、リーダーが誰になるか分かってから読むのでも遅くはない。


都政にワクワクしたい・・・

さて、書評から少し離れるが、今回の都知事選は面白そうだ。未曾有の大危機の最中ということもあり、先に挙げた三候補者とも重点施策に災害対策を含めているが、それぞれ特徴がある。

現職であること、そして、危機管理対応の最中に行われる都知事選になるということもあり、最も有利なのは石原慎太郎氏だろう。新銀行東京など色々な問題などとりざたされることもあるが、それを超える実績を多く残していると思う。政見放送では、政府が東京都の財布からもぎとって行く3000億円を奪い返して、災害対策に振り分けると言っている。頼もしい。

渡邊美樹氏は、不景気にあっても、経営者として数々の雇用を生み出してきた。「介護」「教育」というテーマで、高齢者や子供を抱える親といった多くの有権者層へアピール。氏の実行能力に疑いの余地はない。真の”有言実行”が当てはまる人だ。

東国原英夫氏、先述したように宮崎県で見せた鳥インフル対応や口蹄疫対応での強力なリーダーシップ力には定評がある。日本のセールスマンとして物怖じしない彼が世界でどんな活躍をできるか、それも見物である。

この誰が次の都知事になっても大きな問題はないだろう。少なくとも、今の菅内閣よりは日本に良い意味での大きな影響をもたらしてくれるはずだ。ただし、個人的には渡邊美樹氏を応援したい。石原慎太郎氏は三期を務めた。石原都知事がどんなに素晴らしくても、目の届いていない場所がたくさんあるはずだ。そこを違う人による違う視点で補う時期に来ているのではなかろうか。

わがままを言わせてもらうならば、渡邊美樹氏が都知事で、東国原英夫氏が副知事・・・こんな組み合わせなんてどうだろうか。

都政にワクワクする・・・そうなれば、こんなに素敵なことはない。


※「日本改革宣言」がオンライン書店で見つからなかったため、ここには貼り付けてません。見つかれば貼り付けるようにします。

2011年4月2日土曜日

買い占めや不買、まずは自分たちが襟をただすべき

TBSのラジオDig、3月30日の放送では「農産物などの放射線量の基準値は妥当?」というテーマで議論が交わされていた。ラジオパーソナリティを含め、番組に出演されていた方ほぼ全員の間で

「政府の指示が曖昧だから」
「政府よもっとしっかりしろ」
「政府の発表の仕方が悪い」
「だから消費者による買い占めがおこったり、福島県産の不買が起こるんだ」

といった主張が目立っていたように思う。

もちろん、政府の対応の改善すべき点はものすごくたくさんあるだろう、しかも早急に。しかし、政府もきっとこう思っているのではないか?

「消費者が混乱しているのは、メディアが煽って消費者に伝えているせいもある」と。

実際に一部ジャーナリストの間では、メディアの報道の仕方にも問題がある・・・との指摘があがっている。

では、消費者心理はどうか?

「どこまで政府を信頼していいのか、分からないから・・・」
「メディアで凄い数値が出てるという報道が良くされているから・・・」
「放射線量の人体に与える影響が、本当に研究者によって解明されているとは思えないから・・・」

と思っているのかもしれない。

私は、今回の原発事故に伴う混乱は○○が悪い!と一方的に決めつけてしまうこと自体が問題だと思う。メディアも消費者も政府も反省すべき点があるのではなかろうか。だから、一方的にメディアが「政府が悪い」と主張するのを聞くと、「ん?本当にそうか?」とつい思ってしまう。

たとえば、メディアは良く「基準値の○○倍が検出された」という報道をしている。この報道で取り扱われる数値は”事実”ではあろうが、重要な情報が欠落している。このため、結果的に消費者心理を煽ることにつながっているのではないか。ここで私が言う欠落している「重要な情報」とは何か? 以下は、ウェブで拾ってきたニュースの一部だが、これを見て何か気づかないだろうか。

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放射性ヨウ素、放水口近くで基準値の4385倍
 経済産業省原子力安全・保安院は31日、東京電力福島第一原子力発電所の南放水口近くで30日午後に採取した海水から、基準値の4385倍となる濃度の放射性ヨウ素131を検出したと発表した。同じ場所では29日午後、海水の放射性物質濃度としては最高となる基準の3355倍を記録していたが、これを上回った。放射性物質が継続して海に流出している可能性について、経産省の西山英彦大臣官房審議官は「可能性はあると思う。それを突き止めなければならない」と認めた。この場所の放射性ヨウ素131は30日午前、基準の800倍に一時低下していた。
(2011年3月31日14時01分 読売新聞)

ヨウ素検出、ハウスも5倍、基準値27倍のホウレンソウ
【社会ニュース】 2011/03/20(日) 19:00  
 茨城県は20日、県北部に位置する日立市で採取した露地栽培のホウレンソウから1キロ当たり5万4千ベクレルの放射性ヨウ素が検出されたと明らかにした。食品衛生法の暫定基準値(2千ベクレル)の27倍。放射性セシウムも暫定基準値(500ベクレル)を上回る1931ベクレルだった。また、福島県境の北茨城市で露地のホウレンソウから基準値の12倍の2万4千ベクレルの放射性ヨウ素を検出。高萩市ではハウス栽培のホウレンソウから1万1千ベクレルと5倍の放射性ヨウ素を測定した。
(情報提供:共同通信社)

放射性ヨウ素、放水口近くで基準値の4385倍
(読売新聞) 2011年03月31日 14時01分
 経済産業省原子力安全・保安院は31日、東京電力福島第一原子力発電所の南放水口近くで30日午後に採取した海水から、基準値の4385倍となる濃度の放射性ヨウ素131を検出したと発表した。同じ場所では29日午後、海水の放射性物質濃度としては最高となる基準の3355倍を記録していたが、これを上回った。放射性物質が継続して海に流出している可能性について、経産省の西山英彦大臣官房審議官は「可能性はあると思う。それを突き止めなければならない」と認めた。この場所の放射性ヨウ素131は30日午前、基準の800倍に一時低下していた。
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いずれも、ニュースヘッダは「基準値の○○倍」と書かれている。人の目を惹きつけたいのだろうし事実だろうからそれは仕方がないことなのだとしても、これを見た消費者はどう思うか? そして、気になってニュースヘッダをクリックして、記事の内容を見ても、その○○倍にもなる基準値が、結局「人体にどういった影響を与えることになるのか」といったことについては一切触れられていない。そう、一番重要な「○○倍だから、人体にはどういった影響になる」という結論がないのだ(もちろん、Digのように専門家を招いて伝えようとしているメディアがたくさんあることも事実ではある)。メディアは客観性が大事であり、事実だけを伝えることが重要なのだ・・・だから、消費者に数値だけを伝えるから、後は自己判断して・・・ということなのかもしれないが。頭だけ触れてお尻を伝えないのは煽っている、といわれても仕方が無いのではないか。AERA(アエラ)は「放射能がくる」というタイトルを雑誌につけて世間の批判を買ったが、上記のような報道の仕方も50歩100歩だと思う。そもそも消費者がそこまで情報リテラシーが高くないことをメディアは知っているはずだ。これを見た消費者は、「○○倍」という数字だけが頭に残り、怖い・・・やっぱり買うのは止めよう・・・そう思うのは当然ではないか。

そもそも「○○倍」という表現方法は総量が見えないので、情報を歪めて伝える可能性があり、非常に危険だ。たとえば「100万人に1人に影響がある」とされたものが、「100万人に10人に影響がある」ことがわかった・・・とされるだけでも、それは「10倍になった」ことになる。これが「1億人に1人に影響がある」とされたものが「1億人に10人に影響がある」とされたとしても、それだけで「10倍になった」と言える。この両者・・・10倍という数字は同じだが、実質的なインパクトは全然異なる。総量が見えないと、正確な情報も伝わらない。ちなみに余談だが、このように自分が考えられるようになったのは「リスクリテラシーが身につく統計的思考法」を読んだおかげではある。

と、メディアの伝え方を責めてばかりいるが、もちろん、メディア自体が指摘しているように政府の対応にも問題はある。消費者も数字に踊らされないように情報リテラシー(もしくはリスクリテラシー)を上げていく努力をする責任があると思う。この3者が3者とも反省し、改善しようとしていかなければ”風評被害はそう簡単にはおさまらない”。そう思う。

TBSラジオの番組があまりにも一方的な”政府たたき”になっていたので「それは違うんじゃない?」と思わず感じて、ブログに思いを吐露してしまった。


=========追記(4月7日)==========
上記ブログを書いた4日後の4月5日(火)、TBSラジオ番組小島慶子さんの”キラキラ”にゲスト出演されていた八代嘉美教授(慶応大学医学部特別研究助教授)の発言が興味深かった。わたしが考えていたこととちょうど似たようなことをおっしゃっていたからだ(もちろん八代先生の方が遙か昔から、そのようなことは主張されていたのだろうと思うが・・・)。私は3者が・・・と書いたが、先生は発言の中で「東電、政府、国民、そして科学者・・・この4者が自分の立場を認識して適切な情報発信・解釈をしなければならない」と述べられていた。

いずれにしても非常に興味がわくようになった。Twitterもされているようなので、早速フォロワーに・・・。
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週刊ダイヤモンド「負けるな!日本」を読んで

以前は、ほぼ毎週のように買っていた「週刊ダイヤモンド」。でも”週刊”であるための限界か、内容が薄く役に立たない、と思うことが少なくなかった。そんなわけで最近は買うのを止めていた。

東日本震災後に出された2011年4月2日号の週刊ダイヤモンド・・・タイトルは「負けるな! 日本」。響きがいい。思わず買ってしまった。内容も”週刊”のわりに内容が濃くて、ためになる記事が多かった。


特に興味深かった記事を2つだけ挙げておくと・・・

1.”自前”発電プラントで東電に助け船を出した森ビル

日経新聞などで「東日本大震災の影響を軽減するため、六本木ヒルズが自家発電機をつかって生んで余った電力を東京電力に逆に供給している」という話は聞いていた。が、そもそもヒルズでは電力については日頃から自家発電を使って自給自足をしていた・・・という事実は初めて知った。ヒルズでは、普段は自家発電を使い、この自家発電に何か起こった際に東電の電力を代替供給手段として使う、という一般的な企業とは全く逆の仕組みを導入していたのだ。これまでエコの観点から、ヒルズビルははき出す二酸化炭素の量が多い・・・と、世間で非難されることが少なくなかったが、こんなところで役に立ったわけだ。夏の計画停電に向け、テナントになりたい!と思う企業が殺到しているかもしれない・・・。

2. 被害甚大のJR東最終赤字は回避か・・・

JR東日本では、大震災の影響で新幹線が被災から3週間経つ今もまだ完全復旧にいたっていない。収入は激減し、大変だろう・・・そう思うのが普通だ。ところが、復旧費用845億円のうち最大710億円の地震保険契約を結んでいるため、おもったほど影響はない・・・と見られているそうだ。そういえば「JR東日本は地震被害にかかわらず震度○○以上の地震が○○で起きたら即座に○○円請求できる」というリスクファイナンスをやっていたことで有名だが、それが活用できた結果なのだろうか・・・。オリエンタルランドもリスクファイナンスに入っていた、というもっぱらの噂だ。どんな保険に加入していて、それが今回の震災でどこまで役に立ったのかたたなかったのか、知りたいところだ。

そういえば、我が家の地震保険は大丈夫だろうか・・・(笑)

書評: 3 行で撃つ <善く、生きる>ための文章塾

  「文章がうまくなりたけりゃ、常套句を使うのをやめろ」 どこかで聞いたようなフレーズ。自分のメモ帳をパラパラとめくる。あったあった。約一年前にニューズ・ウィークで読んだ「元CIAスパイに学ぶ最高のライティング技法※1」。そこに掲載されていた「うまい文章のシンプルな原則」という記...