2015年3月17日火曜日

書評: 世界のエリートの「失敗力」

学生・社会人問わず、本書を読むと自らが成長する糧を得られるだろう。「自らが成長する糧」が何かって!?・・・それは、本書を読んでのお楽しみだ。

世界のエリートの「失敗力」 ~彼らが<最悪の経験>から得たものとは~
著者: 佐藤 知恵
出版社: PHPビジネス新書



■失敗から大きな学びを得る力
世界で活躍するいわゆる”エリート”の失敗力について語る本だ。失敗力とは、失敗から大きな学びを得る力のことだ。エリートたちの失敗談を軸に、「失敗することが、いかに人の成長の糧になっているか」、「どういう失敗が役に立つのか」「失敗を、有効に活用するためにはどうしたらいいのか」といったことを深掘りしている。なお、「世界で活躍するエリート」とは、ハーバードなどアメリカの超有名大学に通う人たち、マッキンゼーなど名実ともに名高い外資系企業や、トヨタや三井物産などの大手日系企業で、それなりの地位に上り詰めた人たちのことを指している。

■エリートたちが語る生の話
最大の特徴は、彼ら・彼女ら”エリート”たち・・・に、著者自身が直接インタビューを行い、生の声を反映していることだろう。その数、約十数人。失敗談の数は、優に30を超える。冒頭に触れたようなビッグ組織に在籍する人達に「具体的にどんな失敗をしたのか」といった質問や、「失敗をどうとらえているか」、「そこから何を学んだか」といった質問を投げかけ、得られた結果がまとめられているわけだ。

単に「失敗話集」で終えていないところも、本書の付加価値と言えるだろう。失敗談だけでなく、その失敗が、その人のその後にどう役に立ったのかについて、具体的な成功事例も交えながら、紹介してくれている。また、失敗について、あるいは、失敗から学ぶことの大事なポイントについても、ところどころで著名人や著者自身の考えを披露してくれているのが有り難い。たとえば、次のような感じで・・・だ。

『(失敗したときに)最もいけないのは、”市場が悪かった”というようにコントロールできないものに責任転嫁するような説明方法です』(第二章スタンフォードが教える失敗力より抜粋)

こうした失敗に対する考えを読むと、改めて「自分もそうなっていないか」「自分の身の回りにそういうヤツがいないだろうか」とドキっとさせられる。

■対象者にもっとバラエティーがあったら
良い面ばかり挙げても面白くない。あえて本書のマイナス要素を挙げるとすれば、著者のインタビュー対象者にやや偏りがあることだろう。確かに、海外の大学に始まり、外資系、そして日系大手と、押さえるべきところは押さえているように見える。ただ、私に言わせれば、なんとなくMBA色(要するにMBAホルダーが勤める企業である傾向)が強い。もっと、ベンチャー企業や中小企業なども、あっても面白かったかもしれない。

私自身がMBAのOBだが、先日、MBAフェアに参加してきたら、MBAにこれから通いたいと希望する方達の多くが、本書に載っているような企業の方ばかりだった・・・(ので、余計にそう感じたのかもしれない)。

■失敗力を身につけたい人に
それはさておき、面白い本であることは間違いない。人の失敗談なんて、実はそう簡単に聞けないし、追体験をすることで自分の身になる。ふと、ヤフーの宮坂社長の言葉を思い出す。

『(日本電産社長の)永守さんは、経営者には2つの要素しかないと言うのです。1つは、いかに多くの意思決定をするかと言うこと。もう1つは、いかに早く挫折を経験するかということです。』

振り返れば、私自身の人生も・・・大きく成長したと実感できたときは、多くが、大きな失敗や苦労をした後だ。部下を成長させたい一心で、色々な仕事を、わざと無茶ぶりしたことがあった。無茶ぶりするのは悪いことじゃないと思うが、いかんせん、私のフォローの頻度やタイミングが悪かった。結果、その人は会社を失ってしまった。失ったものも大きかったが、それがったからこそ、今があると言っても過言ではない。

本書を手に取った人には、失敗がいかにエリートたちの成功のカギになっているかを学ぶいいきっかけになる。また、既に「失敗がいかに大切か」を知っている人には、エリートたちの失敗談そのものが、役に立つはずだ。


【失敗から学ぶという観点での類書】
失敗の本質(著:野中郁次郎ほか)
不格好経営~チームDeNAの挑戦~(著:南場知子)
一勝九敗(著:柳井正)
ハーバードビジネスレビュー2011年4月号記事(失敗)


=====似鳥昭雄社長の失敗力(2015/04/16追記)=======
ここ最近、日経新聞朝刊の掲載されている「私の履歴書」で、似鳥昭雄ニトリホールディングス社長の話に魅了されている。何が惹きつけるって、今の氏からは信じられないくらい破天荒な人生がだ。私も相当、苦労・堕落した時期があったが、氏と比べたら、天と地の差がある。今日は、まだ資金が乏しいときに、日本初のエアドーム店を開設したときの話だったが、「そこまで失敗するか!?」と・・・あきれるほどの失敗ぶり。と、ともにそうした失敗を常に乗り切ろうとする姿勢・工夫には、頭が下がった。正直、笑ってしまった。私なりに確信した。これだけの失敗力を持つ社長。社長が健在な間は、まだ、ニトリホールディングスは業績を伸ばしそうだ・・・(笑)。

2015年3月3日火曜日

言論の自由

月刊VOICE2015年3月号の記事の宇野重規の記事・・・は、普段、考え切れていない事柄に気づかせてくれる良い記事だった。そのタイトルは、「言論の自由」、その痛みと覚悟

『十八世紀の哲学者ヴォルテールは、自身がはげしいカトリック教会批判で一度は国外生活を余儀なくされた自分であるが、”あなたの意見には反対だが、あなたがそれを主張する権利は命をかけて守る”という言葉を残している

・・・(中略)・・・

ポイントは、自分にとって不快な意見であっても、あるいは自分にとって不快な意見こそ、それを主張する権利を認めなければならないということである。

・・・(中略)・・・

宗教戦争の過去をもつ欧州においては、多数派の宗教も少数派の宗教も等しく批判の対象となる。例外的に批判を免れるものをつくりだせば、やがてそれが暴走する可能性を否定できない。自らが信じるもの、権威とするものを批判されれば誰でも腹が立つが、それを認めてこそ自由で民主的な社会は保持される。このような信念に支えられた欧州の”言論の自由”とは、血塗られた過去の経験に基づく原則であって、単なる理想論ではない』

宇野さんが示す歴史から気づかされるのは、「言論の自由」と言っても、ヨーロッパの人が信じるそれと、日本人が信じるそれとは別物ではないか、ということだ。その違いに気づかされる顕著な事例として、昨年末のテレビ番組における人気歌手のふるまい(権威・権力を揶揄していたのでは?と騒がれた)事件を取り上げている。この事件の是非はともかく、著者がいいたいのは、つまり、今の日本はヨーロッパに比べて、”反対”に対する許容度がだいぶ低いのではないか・・・ということだ。

そういえば、以前、「飛行機に泣きわめく赤ちゃんを乗せないで欲しい」と書いた女性が、社会的に袋たたきにあった。確か、それも月刊VOICEだったと思うが、結局、その寄稿がもとで、その雑誌から下ろされていた。子を持つ親として個人的にどうかと思う意見だが、その是非はともかく、”こうした発言をした人を社会的に袋たたき”にして、”たたきつぶす”のには、違和感がある。「あれもこれも発言することすら許容しない」を繰り返していくと、それがいきつく世の中は、発言許容度最小公倍数の世の中だ。すなわち、反対意見を出すこと・・・つまり、マイノリティーの意見を持つことがほとんど許されない世の中になっていってしまうんじゃないかと不安になる。それってある意味、カルト教信者になるようなものじゃない?

もちろんヘイトスピーチには絶対反対だが、基本的には不快な意見でも、反対意見を出す人をたたきつぶす世の中にしないほうが、社会にとってメリットのあること・・・そんな世の中の方が健全な気がする。日本には意見を戦わせる文化がないから、そもそも、仕方がないことなんだ・・・と言われれば元も子もないが、やはり、少しくらいは欧米のディベート文化を取り込んでみてもいいんじゃないだろうか・・・。

宇野さんの記事を読んで、そんなことを感じた。

2015年2月16日月曜日

書評: サントリー対キリン ~業界2強を徹底分析~

表紙がビール色。頭より体が反応して買ってしまった。 

キリン対サントリー ~業界2強を徹底分析~
著者: 永井 隆

出版社: 日本経済新聞出版社


 

■対照的な2強の比較

国内ビール業界は4強。キリン、アサヒ、サントリー、サッポロ。

キリン 2兆1,861億円
サントリー 1兆8,515億円
アサヒ 1兆5,790億円
サッポロ 4,924億円
(出典:日経業界比較2013年度版)

で? なぜ、「サントリー」と「キリン」なのか? 売上げで言えば、2強というより、キリン、サントリー、アサヒの3強という印象があるし、ビールに限って言えば、一番搾りのキリンと、スーパードライのアサヒ・・・この2強比較でしょう・・・などと素人的には思ってしまう。

それでも、本書のタイトルは「キリン対サントリー」。端的に言えば、キリンとサントリー・・・この2社がDNA的に、ものの見事に対極に位置する会社だからなのだろう。同じ業界にあって、組織文化、強み、弱み・・・そのいずれもが、表紙のビール色のごとく、対照的なのだ。さしずめ、コンビニ業界で言うところの、セブン・イレブンとローソンの構図だろう。ちなみに、時期的にNHKのドラマ「マッサン」の影響でウイスキー=サントリーが再注目されつつあるせいもあるだろうが。

■業績、文化、サクセスストーリー、そして生の声

そんな本書がキリンとサントリーの何を徹底比較するのか。著者が解剖するのは、互いの業績はもちろんのこと、文化が生まれた背景となる創業の経緯、サクセスストーリー、そして現場の生の声だ。これらについて、前半をサントリー目線での深掘り、後半をキリン目線での深掘り、最後は、キリンとサントリーの持つサクセスストーリーの裏側について触れ、著者なりの考察をもって締める・・・という構成でまとめている。

中でも、印象的なのは、著者が両者の現場の人に直接聞いて拾ってきた生の声。ところどころで紹介される「自社の強み・弱み、ライバルの強み・弱み」だ。

『キリンの弱点ですか?そうですね、ずっと、王者でいたため、挑戦者意識が少し希薄なところでしょう。受けにまわると弱いのです。以前から比べると、スピード感は出てきたのですけど。サントリーについてですか? やはりキリンとの裏返しで、”やってみなはれ”の精神、すなわち挑戦心が組織全体で旺盛というところです。もちろん、マークしていますよ。』(第3章のキリンはシェア6割の大企業だった、より)

こうした生の声は、両者の文化の違いを浮き彫りにするだけでなく、両者に重なる部分が多分にあることも浮き彫りにしている。互いに対するリスペクトも感じられ、良い意味で互いに切磋琢磨して、成長してきた会社なんだ・・・という印象を覚える。

加えて印象的なのは、後半に登場する個別のサクセスストーリー。とある会社に対する売り込みで、明らかに負けが見えていた勝負に、キリンが大逆転勝ちした実例の紹介。ウイスキー文化を創ったサントリーが、ハイボールで2度目の文化を作りあげた裏話。これは、サラリーマンであれば誰もが参考になる話だ。

■本書が我々にもたらす2つの効能

本書はビジネス力向上のインプットになる。キリンの強みは、組織力・技術力、サントリーの強みは、チャレンジ精神・・・。本書を読むと、その言葉の持つ真の意味を理解できる。組織力・技術力で勝負に勝った実例、チャレンジ精神がもたらした勝利の実例がふんだんに紹介されているからだ。こうした実例は、ビール業界にのみに当てはまるものではない。どの業界・会社にも当てはまる重要なケーススタディだ。

また、個人的にビールを堪能するインプットにもなる。ビールをはじめ両社の製品を飲むとき、単純に、”のどを潤す液体”・・・で終わらせるのではなく、その裏にあるストーリーをイメージしながら飲めるようになる。きっと今まで以上に、よりおいしく飲める、そんな効能がありそうだ。


【業界2強を比較する観点での類書】
「セブン・イレブン終わりなき革新」&「個を動かす」

2015年2月10日火曜日

書評: 人を操る禁断の文章術

人を操る禁断の文章術
著者: メンタリスト DaiGo
出版社: かんき出版



「文章のたった1つの目的、それは今すぐ人を行動させること」

そう言い切る著者が書いたこの本は、わたしなりの言葉でまとめると、「文章に関する基本中の基本」にはじまり、「人の心をゆさぶるコツ」がハイライト、そして「書き方のコツ」で締める・・・そんなストーリーから構成されている。

メンタリストDaiGoの本を前にして、このように書くと、おそらく「人の心をゆさぶるコツ」が、誰もが一番気になる箇所だろう。

この箇所には、全部で7つのポイントが紹介されている。「興味」「本音とタテマエ」「悩み」「ソン・トク」「みんな一緒」「認められたい」「あなただけの」だ。

「あれ?なんかシンプルじゃね?」・・・そう感じた人はいるだろうか。その人は、私と同じだ。テレビで良く見かけていた著者だけに、本を読む前の勝手な期待は、相手の心をいかに巧みに読み取るか・・・そういった派手なワザをたくさん教えてくれるのかなー、といったもの。だって、そもそも本のタイトルが思わせぶりじゃないか。しかし、結果はことごとくそれと逆だった。著者の伝えるワザは非常にシンプルで、派手なんかじゃない。もしかしたら、彼はテレビでも派手にパフォーマンスを見せているが、その実、中身は非常にシンプルなワザの組み合わせなのかもしれない。

一方で、先の7つのポイントを見て「あれ?なんかマーケティングっぽいな」・・・そう感じた人もいるだろう。それも正解だ。昔、わたしはマーケティングでAIDMA(アイドマ)という言葉を習ったことがある。AはAttention(注意)、IはInterest(興味)、DはDesire(欲求)、MはMemory(記憶)、AはAction(行動)の略で、人間はこの流れに従って購買行動を起こす・・・という考えだ。全く同じ表現ではないが、先に挙げた7つのポイントを彷彿とさせるものだ。人をどうやって惹きつけるか・・・突き詰めていくと、マーケティングといっしょでも何らおかしいことではないのかもしれない。

「ってことは読む必要ないの?」

どうやら、本が目新しいことを語っているかどうかと、本が面白いかどうかは別物らしい。面白いと思えるかどうかを何ではかればいいのか。わたしの場合、どれだけ学びのポイントがあったか、その一点だ。この観点では、自分でも驚いたのだが、意外に学べる点が多かったということだ。

たとえば、恥ずかしながら私は「ブレインダンプ」という言葉を知らなかった。「ブレインダンプ」とは、頭に瞬間的・直感的に浮かんだことをはき出す手法だ。これは、著者が読み手を惹きつける際の言葉を生み出す上で、最初にやってみるといい、と推奨している方法の一つだが、非常にシンプルでありながら、なかなか有効な方法だと思う。

このようなちょっとしたテクニックもさることながら、実はわたしが一番勉強になったのは、”本書の文章”そのものだ。小見出しの付け方、シンプルなワザの意義や方法を印象に残るような紹介方法・・・それらが実にあざやかで、印象的だった。たとえば、彼の指摘する文章術の1つに「自分で書かない」という項がある。最初、この表現をみたとき、「???」だった。自分で書かない?・・・ゴーストライターにでも書いてもらうのか?と。だが、このように興味をもたせた時点で、おそらく著者の意図は見事に半分以上成功しているのだ。「読んで見たいと思わせて、読ませる」・・・そう思わせる小見出しやポイントが何度も出てくる。読んだ後も、もちろん「だまされた感」などはなく、「納得感」と「印象」が残る。このような彼のテクニックが、本全体に浸透しているのである。

今まで自分はどちらかというと、論理的であること=分かりやすいこと=印象に残りやすいこと・・・と思いがちで、文章を書く際には、どう表現するか・・・の部分は、ややおろそかだったように思う。だが、そこの手を抜くと、せっかく立派な文章も相手に何の印象も残さずに終わってしまうのだろう。印象に残りやすいかどうかは全く別の話なのだ。そのことを改めて気づかせてくれたのが本書だった。

本書の文章そのものが勉強になる。それが、この本の最大の魅力だろう。


2015年2月3日火曜日

書評: 大前研一 日本の論点 2015-2016

久しぶりに手を出した大前研一氏の本。彼の本は、当然ながら整理されて頭に入って来やすいので、読んでいて気持ちがいい。ストレスフリーで読めて、それでいて、思考力と知識がつくというありがたい本だ。





本書は、月刊誌プレジデントへの同氏の寄稿記事やストックしてきたネタに加筆修正を行ったものだ。タイトルにあるように日本が抱える論点について言及している。では、論点とはなんだろうか。

論点とは、「問題を解決するために、みなが最も集中して時間を注ぐべき事項のこと」だ。我々には何かについて何時間も真剣に議論していても、実は時間をかけるのはそこじゃない!ということがよくある。たとえば「どうやってこの難題を解こう」と何時間も悩み続けてるテーマがあったとする。何時間も考えて解が出ないなら、論点は「どうやって"自分が"この難題を解くか?」ではなく、「どうやって、解ける人を捕まえてくるか」とすべきなのだ。

頭のいい大前研一氏から見たら、「日本の政治家や経営陣の多くが、論点ではないところに時間を割いている」とイライラする場面が多いのだろう。「我々の思考時間の使い方のどこに無駄があるのかを指摘してくれているのが本書とも言える。

さて、具体的にはどんな論点を取り上げているのだろうか。ビジネスよりの話では、アマゾンの一人勝ちの話に始まり、ソニーの一人負け、もがき苦しむ日産自動車などを取り上げている。また、社会的な話では、エネルギー政策や企業の給与体系のあり方、韓国や中国との付き合い方などを取り上げている。

どのような語り口調で大前氏が論点を述べているか一例を挙げてみよう。以下は、ソニーの一人負けの章からの抜粋だ。

『ソニーのような大きな会社が躓く理由の一つは、過去の成功体験に引きずられるからだ。事業を作り出したことのない平井社長のような経営者は過去の延長線上で、足し算と引き算で考えることしかできない…(中略)…会社の中でデジタルの本質が何なのか、徹底的に議論する。その脅威を組織で理解し、共有する。そして勝者の側に立っている企業が何をやっているのか、徹底的に研究する。トップ自らがそれを毎日にように行わなければ、組織は危機感やビジョンを共有できないし、新しい発想も生まれてこない』

なかなか手厳しい。

実は本書を読むメリットは、こうして大きなテーマの論点を知ることだけではない。それに加え、もう一歩踏み込んで、見方を変えて読めば「思考術」の勉強にもなる。

先のソニーの事例で言えば、「勝者に学ぼう」という考え方・・・これは思考の起点として王道だ。一方で、何かを生みだそうとしているのなら、さらに、自分たちが提供している製品やサービスの付加価値・・・の本質を徹底的に見極めようという考え方・・・も、そうだ。何かを生みだそうとしても、ゴールに向かって敷かれた道ばかり(例:他社がどうやっているか、今何が売れそうか)見ていてはダメで、ゴールそのものをもっと徹底的に理解し、とらえ直す。そうすればそのゴールに到達するための別の道のりが見えてくる・・・「デジタル化とは何かを徹底的に議論する」との言があったが、そういうことじゃないだろうか。

ビジネスマン必見の書だ。


【日本の論点シリーズ】

2015年2月2日月曜日

澤田秀雄のハウステンボス再生術に魅了される

月刊プレジデント2015/2/16号。澤田秀雄氏に対し、田原総一朗氏が行ったインタビュー記事読んだ。ハウステンボスの再生に成功した鍵を紐解く内容である。

いつも思うが、詳しい成功体験の話は読んでいて面白いし、とても参考になる。ハウステンボスにいたっては、過去18年間にわたり誰もが黒字化にできなかった事業である。それを見事再生させるなんて痛快な話ではないか。参考までにハウステンボスの歴史を見てみると(Wikiより)、こんな感じだ。

1992 開業
2000 業績不振の責任をとり神近社長辞任
2003 会社更生法の申請、野村プリンシパル・ファイナンスが、経営に参画
2010 エイチ・アイ・エスが、経営に参画

記事によれば、澤田氏はハウステンボスの社長を引き受けてほしいという依頼を2回も断ったというのだから、コトがだいぶ深刻だったということがうかがえる。

澤田氏の「詳しい成功体験」とは例えば、東京ディズニーランドと比して使用効率の悪い土地を売却するなどのコストカットの話、やはり東京ディズニーランドなどに比してアクセスに不利な立地条件を克服するために飽きない目新しさを打ち続ける施作の話・・・などだ。

ただし思ったのは、対象が何であろうが、どれほど大きい規模の難題であろうが、解決のアプローチには法則があるな、ということ。一つには、(成功事例がある場合の)起点は「成功している同業他社と比べ何が違うのか」ということだと思う。ハウステンボスの話で言えばそれが東京ディズニーランドやUSJである。そう言えば、以前プロフェッショナルか何かの番組で紹介されていたが、USJの再生の成功にこぎつけたマーケターの方が、やはり東京ディズニーランドをとの集客のデモグラフィーの違いを起点に、改善策を導き出していた話を見たことがあった。

ベネッセの原田氏が戦略よりも実行が大事と言っていたように、もちろん、ギャップを見つけても実行がともなわなければ意味がないが、思考の出発点としては王道であるように思う。

2015年1月25日日曜日

等価交換の法則

「何かを得るには相応の代価を払わなければならない」

錬金術では有名な等価交換の法則だが、これはすごく真理に迫った言葉だと思う。

今、注目されつつある「燃料電池車」。先日、トヨタ自動車がMIRAI(ミライ)という車を販売すると発表した。走る上で排出するのは水だけ。温暖化につながるCO2は排出されない・・・ガソリン車やハイブリッド車よりも遙かにクリーン・・・夢の次世代車だと言う。テレビでは華やかに報道されているが、その一方で、我々の見えないところで「代価を払っているではないか」という指摘をする記事が増えてきている気がする。

代価とは、水素の取り出しから、燃料電池車に乗せるまでの過程で発生するCO2排出のこと。車に乗せた後はクリーンだが、乗せる迄がクリーンではない。早い話がそういうことだ。WEDGE1月号の安井教授の記事によれば、数値(1キロメートルあたりのCO2排出量)で見ると、ガソリン車は147g-CO2/km。ハイブリッド車が95g-CO2/km、電気自動車は55g-CO2/kmだという。これらに対し、燃料電池車は特に工夫をしなければ260g-CO2/kmものCO2を排出することになるそうだ。水素は自然界にないモノで、取り出すときにどうしても電気が必要になる・・・つまり、その段階でCO2を排出する。しかも、気体のままではとても運べないので、マイナス252.6度未満の温度で液化貯蔵しなければいけないが、それにも体力(電力)がいる。液化後の搬送にしてもタンカーやタンクローリーがCO2を排出する。加えて、水素ステーションでは、液化の状態で一定期間貯蔵することが必要になるのでその間、電気を使い続ける。これが260gのカラクリだ。

発電所から送られてくる電力もCO2とは無縁ではないが、効率性の面から言えば、まだまだハイブリッド車やEVの方が有利で現実的・・・というのもうなずける。

ただ、現時点で全く希望の見えていない技術かというとそういうわけでもないらしい。理論上は、太陽光発電など自然エネルギーを活用することで、分解時のCO2排出をなくせる。貯蔵にしたって、新技術が開発されつつある、ときく。先日、専門家の方の講演を拝聴する機会があったが、千代田化工建設がSPERAという技術を開発したそうだ。有機溶剤のトルエンと水素を化学反応させメチルシクロヘキサンという化学物質にして水素を貯蔵・輸送する技術だそうだ。頼もしい。

いずれにしてもテレビなどで報道されている以上にハードルは高い・・・とても高い・・・ということはわかる。「走る上では、すごくクリーンなエネルギー」というところだけに注目するのは、まったく本質的な課題解決になっていないし、そうした表面的な報道だけをしたり、表面的な報道を全ての真実として理解してはいけないのだ。

改めて大事だと思ったのは冒頭で述べた「等価交換」の言葉だ。何かこれはすごいゾ!と言う事象に遭遇したとき、実はどこかで代価を払っているのでは?それは何だ?・・・とまず考え、疑ってみる・・・モノゴトを正しく理解するためには、そういう問いかけがきっと大切なのだ。

【関連リンク】
水素を液体化、体積500分の1に 千代田化工建設の新技術を聞く(日本経済新聞)


2014年12月29日月曜日

書評: すべらない敬語

「正しい敬語にこだわり過ぎる」のは、きっと知識人が知識人であることに優越感を感じるための手段なのかも。「こだわるのはそこじゃないんだ」。本書を読んでそう感じた。

すべらない敬語
著者:梶原しげる
発行元:新潮新書



■敬語の解説書
本書は、敬語の解説書である。文化庁の出している「敬語の指針」を軸にすえながら、敬語の意義、世の中で使われている敬語の実態、それに対する専門家の見解、そして、それらを踏まえた上での著者の見解が、述べられている。

なお、著者の梶原しげる氏は、元文化放送のアナウンサーで、今はフリー。司会業などに従事している方だ。ちなみに、私はずっと昔に梶原さんにお会いしたことがある。今から25年以上も前、私が中学生だったとき、ラジオ番組の英語弁論大会で、梶原さんは司会者、私は大会参加者という立場で会話を交わした記憶が、なぜか今でも鮮明に残っている。そんな影響もあって本書に手を出した・・・のかもしれない。

■バランス感覚に優れた本
敬語に関する書物を他に読んだことがないので、正確なところは分からないが、本書を読んで感じたのは、敬語に対する著者のバランス感覚の良さだ。知識人にありがちな「本来の意味でこの敬語を使うべき!」といった”頭でっかちさ感”がない。かと言って「言葉は生き物なんだから、誤用されていてもみんなが使っている言葉なら、いちいち目くじら立てるなよ」といった”何でもござれ感”もない。

『私自身は、敬語を上手に使えることは確実にその人の力になり、メリットになる、と考えています。もっといえば人間関係においてもっとも簡便で有効な武器です。相手のことを本当に尊敬しているかどうか?なんてことは関係ありません』(4.敬語は自己責任である、より)

バランスがいい・・・そう感じる最大の理由は、上記一文からもわかるように、著者の論点が「あの使い方が間違っている」とか「この使い方が間違っている」といった正解・不正解の点にないからだろう。論点は、「敬語の効能は何か?」「その効能を最大限に発揮させるためにはどうしたらいいのか?」といった点にある。誤用されている敬語を紹介してくれているし、それらは十分に参考にはなる。が、そうした具体例は、敬語を使う効用を読者に伝えるためでもある。

■へぇーと感じる敬語の効用
せっかくなので、敬語がもたらしている力について、私が「おっ、なるほど」と思ったものを1つだけ紹介しておきたい。敬語は相手への敬意を表すというより、自らのプライドを守り、相手に巻き込まれないように距離をとり、毅然とした態度を示せるという例。

「私が伺います。ご用件をおしゃらないようであれば、お引き取り下さい。」

なるほど、べらんめー調の言葉に負けず劣ら、なぜか威圧感がある。敬語は、敬いの意図を示すために使うこともあれば、距離をとるために使うこともある・・・不思議な力を持つものなんだなと改めて感じた。

■確実に使える有効な武器を手に入れるために
私のような頭でっかちになりがちな人なんかは、頭を柔らかくするために有り難い本と言えるだろうが、次の2点の理由から、誰にでも本書をおすすめしたい。

1つには、プロの梶原氏の言う社会で確実に使える有効な武器の一つを携えるためだ。

2つには、人生を楽しくするためだ。普段何気なしに使うモノ(今回で言うと”敬語”)の中に、新鮮な観点を与えられると、世界観が広がる。なにより、些細なことでも、楽しみの目を持って観察できるようになる。

何のために敬語を使うのか? 敬語が何の役に立つのか? 考えたこともなかったが、それがわかったような気がする。


2014年12月27日土曜日

書評: 人に強くなる極意

たたき上げの実力者。鈴木宗男さんと仲の良い人。ロシアに精通する人で、逮捕されても信念を曲げないブレない人・・・そんな印象を持つ佐藤優氏の名前は色々な場面で目にしてきた。だが、これまでに彼の本を読んだことはなかったので、思わず手に取った。

タイトル:人に強くなる極意
著者:佐藤 優
発行元:青春出版社
価格:838円



■グローバル社会における人との接し方指南書
今の時代、一定の成功をおさめるためには、人との接し方をマスターしなければならない。それもグローバル社会に通用するものを。本書は、その指南書だ。グローバル社会における人との折衝においては、そのテクニックがフルに要求される外交官。かつてその立場にあった著者が、自身の痛みを伴った経験を踏まえつつ、役立つことを示してくれている。

■してはならない全8箇条
第一章「怒らない」にはじまり、「びびらない」「飾らない」「侮らない」「断らない」「お金に振り回されない」「あきらめない」「先送りしない」・・・本書はこのように「人との折衝において、してはならないこと」という視点でまとめられている。各章では、それぞれのテーマに対して「どうしてそうしてはいけないのか?」、そして「そうしないためにはどうしたらいいのか?」というポイントを解説している。

具体的には、どんなことが書かれているのだろうか? たとえば、第一章の「怒らない」。著者は、目的を持って怒るのは良いが、理由なく怒りに身を任せるのは良くないと述べている。さらに、人との折衝において怒りに身を任せないようにするためにはどうしたらいいか、怒りに身を任せている相手と折衝するときにはどうしたらいいか、についてアドバイスをしてくれている。

■標準的な努力ができる人なら確実に実行できるもの
本書の特徴は2つ。著者自身が「はじめに」で述べているように「標準的な努力ができる人なら確実に実行できることだけ」が書かれた本である、ということ。「本当にそうか?」と思いつつ読んだが、なるほど実行可能なことばかりが書かれている。たとえば第七章「あきらめない」における「目標は終わりがイメージできるものに」では、次のように記述している。

『「執着」の泥沼に陥ってしまう人は、たいがい「終わり」や「出口」の見えないものを追いかけている。・・・何か目標設定をする時は、完成形がイメージできるもの、実現可能なものにすることが大切です。たとえばもし東京に住んでいる人なら、比較的簡単に上れる高尾山や三峰山に登るという目標を立てる。あるいは伊豆七島を全部回るとか、頑張れば達成できて、しかも充実感のある目標を立てて楽しんでみるのです。』

特徴の2つ目は、各章のテーマに絡めて、役立つ本を数冊紹介してくれている。これは興味深い。「~してはいけない」という著者の意図を理解した後だけに、余計にそうした本に手を出したくなる。余談だが、「びびらない」という章で紹介されていた梶原しげるさんの「すべらない敬語」という本・・・買ってしまった。

■私が本書に影響を受けたこと
私が実際に読んで見て、全部ではないがいくつか、琴線に触れるものがあった。先に例に挙げた「目標はイメージできるものにすべき」、という主張もその一つだ。自分のつたない人生を振り返っただけでも、意外にゴールが明確でないゲームなどに熱中してハマって時間を無駄に費やしたことが思い浮かぶ。反省したい。

書いてあることがほとんど役に立つというものでもないので、誰もが絶対に読むべきとは思わないが、本書はターゲットを選ばないし、人によっては読めば何か得るものがあるかもしれない・・・そんな本である。


2014年11月30日日曜日

書評: 免疫力をあなどるな!

免疫力をあなどるな!
著者: 矢崎雄一郎
出版社: サンマーク出版
価格:1400円


矢崎医師は、がん根絶のため、”免疫力”を使った治療の研究開発を進めている。本書は、そんな医者が書いた健康を維持するための虎の巻だ。免疫力とは何か? どうして免疫力が大事なのか? 免疫力を高めるために何をしたらいいか? の回答にせまる!

正直、最初にパラパラっと全体をめくってみた直後の私の感想は、「適度の運動しろ、とか、トイレを我慢するなとか・・・あるし、なんか当たり前っぽいことが書いてあるな~」といったもの。ところが、改めて少し丁寧に読んでみると、なるほど、と思えるいくつかの点・・・つまり、本書を読むメリットに気がつく。それが何か?を理解するために、本書の特徴を他書との比較の中で見てみたい。

健康管理本の類書である「50歳を超えても30代に見える生き方」の著者、南雲医師は「命の導火線と呼ばれるテロメアをどうやったらすりへらさずに済むか」を論点にしていた。一方、本書の著者である矢崎医師は、人間が元々持っている病気と闘う力・・・免疫力をどうやって高めるかを論点にしている。免疫力を論点にすると、普段とやや異なった健康管理法が見えてくる、というのが矢崎医師の主張だ。たとえば、運動。長時間の運動は、運動能力を身につける、という意味では良いかもしれないが、健康体を作るという意味ではかえって良くないという。なぜなら、運動のやり過ぎはかえって疲労がたまり、免疫力低下につながるからだ。他にも、「口内細菌の量が免疫力に影響しているということを理由に、歯磨きを1回よりも2回実施するべき」という主張をしておられる。ちなみに、南雲医師は運動なんてするな・・・と主張しておられたが、矢崎医師は運動は汗をかく手前でやめるのがいいとの主張だ。これをどうとるかはあなた次第。私自身は、何事も「過ぎたるは及ばざるがごとし」が当てはまるのではないかなと思っているが・・・。

「へー、そうなんだ!?そんな健康管理実践法があったのか!?」と、魔法のような奇抜で効果抜群の健康管理手法を、知らず知らずのうちに我々読者が求めてしまうのも悪いのだろう。結果的には「当たり前のこと」が割と多く書いてある・・・その印象は、本書を丁寧に読んだ後も、さほど変わらない。

でも、それは逆に言えば、明日からすぐにでも実践できることばかりが書いてあるということだ。実際、「納豆キムチが免疫力アップに良い」という著者の主張を読んで、明日から早速買ってたべようとおもってるくらいなのだから。

2014年11月10日月曜日

書評: できる人はなぜ、本屋で待ち合わせをするのか?

なかなか、キャッチーなタイトル。ご本人の知恵なのか、出版社の知恵なのか、わからないが、良い意味でだいぶ策士だなという印象を持った。

できる人はなぜ、本屋で待ち合わせをするのか?この「ひと工夫」が一流の人生を作る。
著者: 臼井由妃(うすい ゆき)
出版社: 翔泳社



■誰が書いた、どんな本か?


ビジネスで成功を収めた主婦が書いた自己啓発本。ビジネスで成功するための基本的な心構えや、時間の使い方、発想力を高める方法など、「成功する人のシンプルな習慣37」と題して、紹介している。

どれだけ成功した方かと言うと、日本テレビの「マネーの虎」で、投資家たる審査員の側で出演していたほどの方・・・とのこと。お金の面では、相当な成功者と言えるのだろう。ちなみに、ネット上では年商20億円以上を稼ぐ・・・という数字が出ていた。

プロフィールを簡単に拝見すると、
  • ガンに倒れた夫の後を継ぎ、専業主婦から健康器具販売の社長に転身
  • 独自のビジネス手法で通販業界で成功をおさめる
  • 多額の負債を抱えていた会社を優良企業に変える
  • マネーの虎に出演し人気を博す
と、ある。

■成功する人のシンプルな習慣37とは?

本書は、成功する人のシンプルな習慣37を、1つあたり約3~4ページ弱割いて解説している。具体的にはたとえば、発想力を高める習慣の1つに「行列では必ず立ち止まるべし」というものがある。著者は、次のように解説している。

「いったいこの行列はなんだろう?」

こうした時、あなたは立ち止まりますか? それとも、スルーするでしょうか?

工夫上手な人、アイデア豊かな方、仕事ができる人は、必ずと言っていいほど、行列を見つけたら立ち止まります。ある金融機関の支店長は、移動中でも・・・

(できる人はなぜ、本屋で待ち合わせするのか? ヒットを生み出す発想法より)

と、こんな感じだ。

■本書最大の特徴は?

さて、私は書評を書く際に、その本にしかない魅力について触れるよう最大限努力しているが、さすがに世に溢れる自己啓発本ともなると、もうそうした魅力を見つけるのは至難のワザと言わざるを得ない。それが嘘偽りのない感想だ。そうした中でもあえて、本書の魅力を挙げるとすれば、私は次の3つではないかと思う。

1つ目は、主婦・・・いや、女性が書いた本であるということ。文章に柔らかさを感じるとかそういうこともあるが、女性目線で書かれている・・・と感じるときがあり、それが男性読者には考えたこともなかった新鮮みを感じさせ、女性読者には親しみを感じさせる・・・そんな効果を生んでいるのではないかと思った。たとえば、37の習慣の1つに「家事の工夫から仕事を学ぶ」というものがあるが、これなんかまさにそう。

2つ目は、「シンプルな(習慣)」という形容詞に現れているように、本当にシンプルな指摘であること。悪く言えば当たり前、よく言えば誰もがおさえてソンはない基本中の基本・・・そんな内容が紹介されているのだと言える。

3つ目は、表題がキャッチーであること。本そのもののタイトルもキャッチーだと思いますが、37の習慣それぞれにつける表題がこれまたキャッチー。たとえば、「ブラジャーについて本気で考える」「机はギリギリまで小さくする」「忙しいときは桃太郎をゆっくり語る」・・・こんな表題を見ると、「いったい何が書いてあるんだろう?」と興味をひかれてしまう。それが比較的上手だと思う。

■誰が読むのがいいか?

自己啓発本の書評の最後はいつもこんな感じになってしまうが、既にこれまでに類書を何冊も読んできている人に、改めてこの本を読むことはおすすめしない。もし、類書をそれほど読んでいなくて、他の本よりも先に、この本にたまたま出会った・・・という人ならば、手を出してみたらどうかと言いたい。とりわけ、著者自身が女性であることから、女性の方・・・そして、内容のシンプルさから新人ビジネスマンなどに向いているのではないかと思う。

先述したように、キャッチーな表題が多いので、ぱらぱらっとめくってみて、「おっ!?これ何だろう?」と目を引いた表題のみ、目をとめて読んで見る・・・そんな読み方をするのもアリではないかと。


書評: 3 行で撃つ <善く、生きる>ための文章塾

  「文章がうまくなりたけりゃ、常套句を使うのをやめろ」 どこかで聞いたようなフレーズ。自分のメモ帳をパラパラとめくる。あったあった。約一年前にニューズ・ウィークで読んだ「元CIAスパイに学ぶ最高のライティング技法※1」。そこに掲載されていた「うまい文章のシンプルな原則」という記...