WEDGE9月号 |
- ”防災力向上はハードよりソフトで、カギは「図上演習」”(吉井博明教授)
- ”生活保護3兆円の時代”
■”防災力向上はハードよりソフトで、カギは「図上演習」
今回の震災以後ハード・ソフトと言う言葉が頻繁に聞かれるようになった。ハード(立派な設備や文書)よりもソフト(人の対応力)の向上を図ることが重要、と言う吉井教授の主張自体は目新しいものではない。ただ文中、解決策の1つとして触れている「ビジネススクールで行っているケースメソッドの災害版を実施すべきだ」は、面白いと思った。
ソフトの向上・・・と言えば何かと、体を動かす避難訓練のような演習や、特定のシナリオに基づく行動計画の検証が多いが、ケーススタディというのは実は意外にやっていない組織が多いのではないだろうか。理由は簡単。ケーススタディとして使えるようなまとめられた素材が少ないからである。ビジネススクールであればGEのM&A後の組織問題、ZARAのIT戦略の悩み、任天堂の経営戦略の行き詰まり・・・などなど、ケースが数多く用意されており、それをベースにディスカッションを行う。それと同じようなもの(災害版)がもっと頻繁に行われるようになると意義は高いように思う。ケースを自分でまとめてみようかな。
■生活保護3兆円の時代
生活保護を受けている人が増加傾向にあり歯止めがかからない・・・というお話。理由の一端は、制度自体が就労意欲を減退させる仕組みになっているということらしい。一生懸命働いてもらえる額が、生活保護でもらえる額よりも少ないことが少なからずあるとのこと(※都内23区にすむ単身者であれば約13万円が最低生活費もらえるそうだ)。
問題が深刻なのは、仮に就労意欲がわいて一生懸命職探しをしても職自体が見つからない・・・という実態だ。今後ますます国内空洞化、労働生産人口の減少が続いてゆくことを考えると、とてもとても抜本的な解決策なんてなさそうだ。うーむ。
わたしの小さい脳みそで考えつくことと言えば・・・もうこうなったら、仕事を与えてもらう側にいるのではなく、仕事を創る側にまわるしかないのでは・・・と個人的には思ってしまう。「そんなの無理だよ」と一蹴されるかもしれないが、13万円を保護費として渡して労働意欲をひたすら減退させるよりも、その一部を起業促進に向けてしまうってのはどうだろう。
もちろん起業促進なんぞ政府は言われなくてもやっているとは思うが、もっと極端に! 極端に・・・とは、とにかく、いつでも何度でも誰でも恐れずに起業に挑戦できる仕組み作り。特に起業に失敗した際の支援については日本はアメリカに比べてまだまだ遅れていると聞く。一度起業に失敗すると立ち直れないことが多い。株式会社といっても、日本ではお金を貸す銀行が社長個人を保証人にさせるからだ。しかも、世間ウケも悪い。アメリカのシリコンバレーなんかでは失敗の数は勲章の数だって言われてるくらいなのに・・・。
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