そのようにメディアに植え付けられてきたせいだろうか。”国内空洞化”という言葉を聞くと、ネガティブなイメージしかわいてこない。
日経ビジネス2011年9月5日号 |
しかし、今回の日経ビジネス(2011年9月5日号)の特集は”出稼ぎ”のススメ ~空洞化が日本を潤す”となっていた。ファーストリテイリングの柳井会長、コマツの坂根会長、日産のカルロス・ゴーン社長、代金の井上社長といった名だたる企業のトップが「出稼ぎのススメ」をうたっている。国内消費の低下、新興国市場の急成長・・・そして円高。世の逆風を逆風として受け止めるのではなく、追い風に変えたほうが中長期的にメリットが大きい、というのがその根拠だ。
もちろん、反論もある。海外で雇用して海外で生産して海外で売り上げて、その利益をまた海外に投資して・・・では、いくら頑張っても、日本の雇用につながらず、中長期的な日本の景気浮揚策にはならない、というものだ。
そうは言っても、日本が出稼ぎによるメリットを享受しているという事実は否定できない、と記事は説く。記事では海外に出稼ぎしている企業が日本政府にどれだけお金をもたらしているかについても触れている。
確かに、今の状況を逆風にするよりも、追い風にするための工夫や努力をしたほうがよっぽど現実的なのかもしれない。そう感じた。
■輪廻転生が日本を救う?
ところで、もう1つ目の止まった記事がある。「ブータン公務員だより」という御手洗瑞子氏の記事だ。GNH(幸福度指数)の最大化を目指すことをビジョンとして掲げている国だ。
わたしはブータンにはもちろん行ったことがない。この国に話は神秘的にすら聞こえる。御手洗氏はその中で次のようなコメントをしている。
『(ブータンの人々は)人生のとらえ方が、私たち日本人とは違うのでしょう。「現世が全て」と考えていたら、思い通りにいかない時、取り返しがつかない気がして、つらくなる。反対に「来世もある」と考えれば、多少思い通りにいかないことがあっても、「まあいいか。次の人生がうまくいくといいな」と割り切れる。それがリラックスにつながっているのかもしれません。』
一瞬「なるほど・・・そういう救われ方もあるのか」と思った。
しかし、しかしである・・・ふと、思うのだ。いや、待てよ、と。逆に、こうはならないだろうか。
「来世があるさ。なのでさっさと死んじゃって次の人生にページをめくろう」と。
仏教の輪廻転生が年間30000人の自殺者を救う・・・と、一瞬、安直に思ったが、そう簡単な話ではなさそうだ。ただ、ブータンの人々は、日本人よりもストレスの少ない生活を送れているという点は否めないだろう。
【関連リンク】
・苦悩するアメリカ
・自殺率の国際比較
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