2011年12月31日土曜日

偉大なる会社は何が違うのか?

2011年11月号のハーバードビジネスレビューのテーマは"What Great Companies Do Differently (偉大なる会社は何が違うのか?)"だ。この号は、個人的に読み応えがあった。

■Why Don't We Try To Be India's Most Respected Company?
(インドで最も尊敬される会社になってみないか?)

この記事はインドで最も有名な会社の一つ、インフォシス(Infosys)の成功体験談を語ったものだ。創設者の一人、N.R. Narayana Murthy氏は、賄賂が横行する20年前あえて、会社の目指す姿に「インドで最も尊敬される会社になること」をぶちあげた。

記事が面白いのは「正しいことをやろうとするほうが、とてつもなく大きな損失を被る」社会の中で、どうやって「正しいことをやり続け、どうやって信頼を勝ち得たか」・・・その事例を紹介してくれている点だ。

「オレに賄賂を払えば、ただで税関を通してやる。賄賂を払わなければ、135%の関税だ。」

会社の資金がほとんどないときに、そう言われたらわたしだったらどうするか? 非常に興味深いテーマだった。

■Social Strategies That Work
 (機能するソーシャルストラテジーとは)

Facebook(今やユーザー数7億人!)のようなソーシャルネットワークサービス(SNS)を莫大な利益の源泉として活用する企業が増えてきたが、成功者はまだまだ少ない。成功者と失敗者の違いは何だろうか?・・・この問いに答えようとしている記事だ。

SNSの活用に失敗している会社は「SNSを活用している顧客にとってのWinは、企業の商品を知ることや買うことよりもむしろ、ネットワークの輪を広げたり、強めたりすることである」にも関わらず、その期待に応えるような戦略をとっていない、と記事は指摘している。つまり、相変わらず「顧客にとってのWinは自分たちの商品を買うことである」「自分たちにとってのWinは自分たちの商品が売れることである」というスタンスでアプローチしている、というわけだ。

この関係性を理解して上手くビジネスにつなげている企業として、記事は、Yelp、Amex、eBay、そしてZyngaを取り上げている。こうした企業がどうやってSNSで儲けているのかを知ることは決して損なことではないと思う。

ところで、わたしはとりわけZynga(ジンガ)に注目している。なぜなら、自分もまさにこの戦略の罠にハマった一人だからである。Zyngaという会社は、Facebook上でプレイできるゲームを無料で提供し、2011年に10億円の収益を叩き出した会社だ。無料なのに何故10億円の収益がでるのか? 今、はやりのフリーミアムだ。フリーミアム(Freemium)とは、基本的なサービスや製品を無料で提供し、さらに高度な機能や特別な機能について料金を課金する仕組みのビジネスモデルのことだ(Wikipediaより)。

Facebook上で、知人から定期的にZyngaの誘いを受け、最初はバイアグラか何か、よくあるいかがわしい勧誘だと思っていた。しかし、紹介者が知っている友人であること、たまたまそのとき暇を持て余していたこと、Facebookに多少ハマっていたこともあって、ついついクリックしてしまったのである。すると、あれよあれよ・・・という間にいきなりゲームが開始。・・・そんな感じだ。私はお金を払うようなことはしていないが、思いがけずネットワークが広がるし、ゲームそのものもなかなか面白い。たまに楽しませてもらっている。

この仕組を作ったアイデアと技術は凄いな、と脱帽せずにはいられない。

■KFC's Radical Approach to China 
(中国に対するKFCの過激なアプローチ)

KFCの中国マーケットに対するアグレッシブなアプローチ。自分たちの王道である「標準化、フランチャイズ化、少数精鋭の品揃え化・・・」をことごとくひっくり返す戦略。いわゆる”グローカリゼーション”の極みをそこに見た気がした。

ちなみに、先日、読んだ日経ビジネスに「中国ではバラエティーに富んでいることが良しとされる」と書いてあったが、KFCが中国市場を攻めるにあたってもそれは例外ではなかったようだ。本家米国ではメニューが29種類であるのに対し、KFC中国では50種類ものアイテムが取り揃えられているそうだ。

ハーバードビジネスレビュー 2011年11月号

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