2012年12月23日日曜日

なぜ今、古事記なのか

VOICE2013年1月号を読んだ。

  ■なぜ今、古事記なのか

「なぜジャパン・エキスポで古事記なのか」の記事。吉木誉絵(よしきのりえ)さん・・・が、今、注目されているとのこと。なんでも日本の古事記をベースにしたステージ演出が日本のみならず世界で、評価されているらしい。この記事のヘッダーには「アメリカ留学を経て、日本の神話に見せられた若き歌姫が、古事記編纂千三百年の節目に挑んだ大プロジェクト」とある。 記事中、彼女が”古事記”に注目した理由について触れられているが、それが印象的だった。 

『お風呂好きな性質や勤勉さ、箸やご飯茶碗などは自分の食器が決まっていること、話し合いで争い事を解決しようとする性格など、わざわざ意識していなくても外国人から必ず日本人の特徴としてあげられるそれらの気質は、古事記に神々の気質として起源が書かれていたのである。勉強すればするほど、古事記が無意識的に日本人のなかで、共通に存在している不思議な感覚を覚えたのだった』

「日本の外に出てこそ見えてくる”日本人らしさ”」、「千年超えてなお変わらぬ”日本人らしさ”」、「古事記という神秘的・伝統的な書物に投影される”日本人らしさ”」・・・、なんだか日本人であることを誇らしげに感じてしまうのは自分だけだろうか。同時に、古事記を良く知らない自分が恥ずかしい。

■中央銀行の質と量?

「日銀がインフレターゲットを設定するのは必要なことだ」「いや、それだけでは不十分だ」「いや、不要だ」などなど、色々な専門家が喧々諤々。たとえば、江田健二氏(みんなの党)は、インフレターゲット設定を推奨しているが、池田信夫氏はインフレターゲット設定だけでは不十分という論を展開している。両者がそれぞれの論を支える根拠の1つとして挙げている点が(ともに事実を述べてはいるが)、(アタリマエのことではあるが)それぞれに都合の良い部分を使っているので、面白い。

『現にいま、イングランド銀行、スウェーデン中央銀行といった先進国の多くの中央銀行で、インフレターゲット政策が採用されている』(みんなの党 江田健二)

『インフレ目標というのは、中央銀行が物価上昇率に一定の基準を設けて、それを守るように金利を調整する政策だが、日銀もFRBもECB(欧州中央銀行)も採用していない』(経済評論家 池田信夫)

いや、面白い。

VOICE2013年1月号

2012年12月22日土曜日

書評: 南海物語 ~西郷家 愛と悲しみの系譜~

南海物語 ~西郷家 愛と悲しみの系譜~
著者: 加藤和子
出版社: 郁朋社



この本は、西郷隆盛(さいごうたかもり)と彼に深く関わった人々の人生を描いた歴史物語だ。

西郷隆盛と名乗るようになる遥か前のまだ24歳・・・そう、彼がまだ吉之助(きちのすけ)と呼ばれていた頃、切腹同然の罪を犯す。吉之助を失うことを”著しい損失”と考えた藩は、切腹の代わりに、当時侵略先として検討していた台湾で密偵役をこなすよう命を下す。琉球からの流れ者と偽り、とある台湾漁民と家族同然の仲になるが、そこの娘と恋仲になり妻として娶る。妻は身籠るが出産間近のタイミングで、藩命により吉之助は薩摩へ帰投することになる。残された妻子・・・とりわけ妻は、嘆き悲しむばかり・・・。産後の肥立ちも悪かったためか、ついには亡くなってしまう。

このように・・・物語は学校では習わなかった悲しい史実からいきなり始まる。

私のつたない記憶をたどると、西郷隆盛と言いえば・・・

「体の太い人」「銅像になってる人」「薩長同盟」「(最後は暴走気味に)西南戦争で負けた人」

といったことしか思い浮かばない(もし事実と著しく異なっていたとしても、それは私の教養不足のためであり容赦願いたい)。しかし、この本を読むと、おそらくは体型や薩長同盟に関すること以外、何1つ彼に対する知識が正しくなかったことがわかる。また、彼が台湾はおろか、奄美大島にもこれほど深い関わりを持っていた人とは知らなかった。さらに、そもそも隆盛という名が正しい名前ではなかった・・・ということも驚きだった。

サブタイトルの「西郷家、愛と悲しみの系譜」・・・これはパッと見、昼のメロドラマのタイトルのようで、この本に対して腰が引けなくもない(正直、私は最初の一ページを開くのに時間がかかった)。が、この本にはまさしく愛と悲しみがあふれている。読んでいると胸が張り裂けそうになるシーンも多々ある。

西郷隆盛に興味がある人はもちろん、明治維新に興味がある人、奄美大島に興味がある人・・・そして歴史に興味がある人・・・そんな人達にお勧めの本である。

【歴史物語という観点での(私が読んだ)類書】
この命、義に捧ぐ(門田隆将著)

2012年12月8日土曜日

書評: 背の眼

正直、ミステリーものはあまり好きじゃない。

現実世界を描きながら、現実っぽくない・・・その中途半端さが好きになれない。たいていの場合、複数の殺人が起こる。そしてたいていの場合、主人公はその(またはそれに近い)場面に出くわす。一人の人間が殺人に出くわすことって、人生に一度あるかないかだろうに・・・。

そんな自分の気持ちに背き、次の本に手を出した。素直に面白いっ!と思った。

背の眼
著者: 道尾秀介
発行元: 幻冬舎文庫



手を出したきっかけは、雑誌「男の隠れ家(2012年12月号)」での彼の記事を読んだことだ。そこには道尾秀介氏自らが設計を手がけた書斎が紹介されていた。一日きっちり10ページ・・・無理のないノルマを自分に課し、リラックスと集中・・・朝7時から夜6時まで小説を仕上げる。若手ながら次から次と賞を受賞・・・確か、そのような話だったと思うが、そんな素敵な空間&彼の才能
から描き出される世界観は、きっと読者にも何か素敵な気分を分け与えてくれるに違いない・・・そう思ったのかもしれない。

■白峠村を舞台にしたミステリー小説

「背の眼」は、ミステリー小説だ。ちなみに、ホラー・サスペンス大賞特別賞を受賞している。ネタバレしない程度にあらすじを紹介しておく。

作家業を営む道尾(みちお)は、久しぶりの旅行にでかける。行き先に選んだのは白峠村。この村を訪れた際、偶然、児童失踪事件の話を耳にする。その矢先、宿泊先近くの河原で、不気味な謎の声を聞き、慌ててその村を逃げ出してしまう。恐怖体験が頭から離れなず困った道尾は藁をもすがる思いで、霊現象探求所を運営する旧友、真備庄介(まきびしょうすけ)のもとを訪れる。そこで目にしたのは、被写体の背中に人間の眼が映り込む四枚の心霊写真。彼ら全員が撮影数日以内に自殺したという。そしてなんとその、白峠村周辺で撮影されたものだという。失踪、謎の声、心霊写真、自殺、白峠村・・・これは単なる偶然か・・・それとも・・・。


■ヒーローの存在と読めない展開

さて、なぜおもしろいと思ったのか・・・。

1つは、”強いヒーローを見たい”という欲求を満たしてくれるからだ。コナン・ドイルのシャーロック・ホームズ、東野圭吾のガリレオ・・・彼らのような聡明さを持つ存在が、この作品では真備庄介にあたる。小説の最初の方で、道尾を”ワトスン”にみたて、真備があたかもシャーロック・ホームズになったかのように推理を披露するシーンがある。実は、デタラメの推理で冗談として挿入されている場面だが、作品内での二人の立場を描写するのに、これほど的確な喩えはないだろう。

もう1つは、ストーリー性だ。とても処女作とは思えない良く練られた作品だ。いくつものパズルのピースが、最後に、カチリとはまっていく・・・その流れに心地よさすら覚えた。加えて、(これがミステリー小説において最も重要なことなのだと思うが)最後の最後までストーリーが読めない。この小説の中に出てくる”霊”という存在をどのように捉えるべきか・・・どう捉えるかで、読者の推理のあり方も全て変わってしまう。すなわち、最後まで迷う。

■憎らしいほどの才能

ところで、”ワトスンくん的立場”で小説に登場する道尾は、作者の道尾秀介氏自身のこと・・・は自明だが、現実世界での作家としての能力は”ワトスンくん”・・・というよりも、”シャーロック・ホームズ”・・・と思わずにはいられない。

実は、この本の「あとがき」に裏話が載っているのだが、ホラーサスペンス大賞特別賞をとるためにとった戦略の話からはじまって、道尾秀介氏が短期間でいとも簡単に小説を仕上げてしまう話、そして今作品で打ち出した狙い・・・など・・・読者のみならず、小説の審査員の心理を的確に読み当てる彼の洞察力には、驚嘆するばかりだ。小説を読んだあと、ぜひとも、この「あとがき」を読んでほしい。

今でもミステリー小説は、相変わらずあまり好きではない。しかし、道尾秀介氏の作品なら、残りの作品もぜひ読んでみたい。「男の隠れ家」の記事に働いた私の直感は間違っていなかった。


2012年12月4日火曜日

コミュニケーションのあり方

VOICE2012年12月号をようやく読み終えた。後、6日で1月号が発売されてしまう・・・(;´Д`)


■再生JALの心意気(さかもと未明)

さかもと未明さん・・・色々な方の非難を浴びることを覚悟の上で、書きます・・・こう切り出した上で、JALに乗った際に近くにいた赤ん坊の鳴き声がうるさくてうるさくてたまらずブチキレた話をしはじめた。「お客様に迷惑がかからぬよう、個室を作るとか、乳児は乗せないとか、工夫ができないものか?」との提言。

この記事に端を発して、さかもと未明さんが色々な人からバッシングを受けているようだ。「さかもと未明は常識が足りない!!」など云々かんぬん・・・。

さかもと未明さんの気持ちはわかるが、赤ん坊は宝物。彼ら彼女らに関しては我々はもう少し許容の度合いを広げてもいいのでは?・・・と思う。この件にかぎらず、今の社会には(私を含め?)心の余裕がないというかなんというか・・・混雑している電車に赤ん坊を連れて乗り込んでくる母親を見て、ケアしてあげようと思うどころか、あちこちから舌打ちが聞こえてくるありさま。この余裕のなさが非常に寂しい。そもそもプッシングマンと呼ばれる駅員さんは「もっと奥につめてくださいっ!」と叫ぶより、「もうこれ以上乗らないで下さい!」と制する方が人間らしいと思うのだが・・・。

さはさりながら、さかもと未明さんに対するバッシングはやや度を過ぎているような気がしないでもない。女性週刊誌にまで、さかもと未明の文字が踊る。当件、「物議を醸し出している・・・」とか「論議を巻き起こしている・・・」とニュースは語るが、叩かれ方がほぼ一方的で・・・意見の中身よりも彼女の人間性を否定する口撃が多く、そもそも議論自体成り立っていない印象を受ける。ディベート慣れをしてない日本の悪い風潮かもしれないが、意見自体が存在することを真っ向から否定してしまう・・・バッシングの行き過ぎにはいささか、気分が悪くなる。

■悩めるリーダーはSFに学べ(押井守、夏野剛)

押井守氏は映画監督。なんといっても攻殻機動隊が有名だ。夏野剛氏は、ハイパーネット取締役副社長だ。二人の対談の中で「コミュニケーション」について語った印象的な箇所がある。

(押井)コミュニケーションには2つの側面がある。一つは、現状を維持するためのコミュニケーション。近所付き合いする、会社で同僚と関係を築く、恋愛関係や夫婦関係を保つ、といったものです。もう一つは、異質なものと付き合いためのコミュニケーション。会社は学校での会議、国同士の外交、恋愛や結婚の初期段階で必要な交渉などのことです。
 ネット社会では個人がむきだしになるあまり、本質的な問題について真剣に「議論」することなどできない。そして、前者だけを「コミュニケーション」と考えてきたの日本社会です

(夏野)日本人のいうコミュニケーションは、「周りと仲良くやること」。だから、周りと摩擦を起こす人のことを「コミュニケーションが取れない」といいますが、まったくの間違いですね。

 この発言で「なるほどな」と思ったのが、「SNSやツイッターなどのネットツールが、いずれアナログ的なコミュニケーションのあり方を置き換える」という風潮があるが、この論を前提にするとそれは難しい(あるいはできない)のだ、ということ。ネット社会では個人がむきだしになるかぎり・・・。いやはや、”むきだしになる”とは何とも言い得て妙だ。

2012年12月2日日曜日

書評: なぜフォークの歯は四本になったか

散歩途中に、コンクリート道路の隙間に咲いている花を見て・・・

「いったいなぜこんな場所に!?」

不思議に思い反応を示す人・・・、特に何も感じずそのまま歩き続ける人・・・。「バカの壁」 (養老孟司著)によれば、この2人の行動の違いは、それぞれが持つ「感情や興味の係数」の大きさによるという。

さて、みなさんの「感情や興味の係数」はいかがだろうか? ちょっと心配・・・という方にお勧めの本がある。

なぜフォークの歯は四本になったか 実用化進化論
著者: ヘンリー・ペトロスキー (忠平美幸 訳)
発行元: 平凡社



普段、わたしたちが”アタリマエのモノ”として目にする食器、文房具、大工道具、果ては建築物にいたるまで、それらがどうしてその形を持つにいたったのか・・・言わばダーウィンの進化論ばりに・・・但し、動物ではなくモノの・・・を徹底的に研究した本だ。

著者のペトロスキー氏はアメリカの工学者。学者らしいというか何というか・・・彼が最初から最後まで掲げている一貫した主張が「(人間が作る)モノの形は、機能ではなく失敗に従う」である。これをもう少し分かりやすく説明すると、たとえば(タイトルにある)フォークであれば、それに人が期待する役割(機能)は「食べ物をつかみ、安全に口に運ぶ」というものだが、それを満たすことがフォークの目的であれば、なんで何十何百種類ものデザインが存在するのか?とペトロスキー氏は疑問を呈する。「やれ、これがつかみづらい、あれが食べづらい・・・いや、このフォークの形はフォーマルな場には美しくない・・・」というように、モノの形を決めるのは、必ずしも機能ではなく、むしろ失敗(経験)だ・・・そういうことらしい。

著者はこの主張を証明しようと、本全体の9割近を”うんちく的な話”・・・に割いている。ナイフ、フォーク、スプーン、クリップ、ポストイット、ジッパー(チャック)、ジュース缶、マクドナルドのハンバーガー容器、ハンマー・・・世の中で普段わたし達が目にするモノの進化の歴史についての言及だ。こうした”うんちく”こそが、本書最大の特徴とも言える。

ところで、1つ難点を挙げるとすれば、この本は読むのに相当な体力を要するということだ。

読者の理解を助けようと、ところどころに出てくる挿絵はとてもありがたいのだが、残念ながら、取り上げられるモノの数の比して十分な量とはいえない。モノのデザインについて、その細かい部分を文章で描写されても、頭の体操をしたいのならともかく、気軽に読みたい読者にとっては疲労感を増やす要素以外の何者でもない。加えて、著者が終始言及する「ほらね、モノの形は失敗に従うじゃないか!」論・・・こちらについては、どうしても抽象的・概念的な話にならざるを得ず、やはり読んでいると疲れる。

しかしながら、こうしたネガティブな側面も、数々のモノのルーツを教えてくれる本書の魅力には抗えないと思う。それに、小難しい話は読み飛ばせばいい。

ポストイットで有名な3M(スリーエム)社が、元は砥石車やヤスリの製造業者だったという話・・・さらに聖書で読み進めた箇所をおさえておくのにしおりだと良くずり落ちて困るストレスを解消したい・・・という願いがポストイットを生んだという話・・・ほとんど目を丸くしながら読んだ。

読んだ次の日から「感情や摩擦の係数」が急上昇することうけあいだ。

「ふーん、このフォーク、このスプーン・・・このお箸は・・・どうしてこんなカタチに決まったんだろう??? なぜ?なぜ?なぜ?」・・・って。


【モノの起源にせまるという観点での類書】
 ・世界一のトイレ ウォシュレット開発物語(林 良佑著)
 ・舟を編む(三浦しをん著)

2012年11月24日土曜日

オンリーワン戦略 vs 事業継続

日経新聞2012年11月23日(金)朝刊の記事「iPadが液晶採用、シャープ救えるか(ルポ迫真)」は示唆に富んでいる。

シャープのオンリーワン戦略・・・その結晶であり、生き残るため”最後の綱”である最新液晶技術IGZO(イグゾー)が、同時にシャープを苦しめる理由にもなっている・・・その苦悩に言及した記事だ。

飛ぶように売れているApple社のiPadには、シャープの液晶が採用されている。

しかしiPadを買っても、液晶パネルがIGZOとは限らない。新型iPadには、シャープ製のIGZOと韓国サムスン電子などが作るアモルファス液晶という2種類のパネルが混在しているからだ。それが消費者に分からないよう、アップルは性能で勝るIGZOの解像度をわざと落としている。(記事抜粋)
記事はシャープの苦悩にスポットライトを当てたものだが、ここに出てくるApple社のリスクマネジメント戦略もとても興味深い

それは”どんなに製品が良くても、一社しか供給できない状況にはしない”複数購買戦略のことだ。もちろん、バイイングパワーが伴わなければできないことだが、画質を落としてでも複数社からの仕入れを実現させる・・・この姿勢には正直、驚いたし・・・だが、他のグローバル企業が見習うべき点がある。

調達先を複数にしておけば、事故・災害などにより、そのうちの一社が供給停止に陥ったとしても購買する側の企業は事業継続が可能になる。そして、もちろん価格競争をさせることにより調達価格自体を引き下げることにもつながる。

日本メーカーの多くは、今、二社購買にすることができずに困っている。オンリーワン企業が多い
からだ。しかも、仮に調達先(一次サプライヤ)を二社にしても、その先のどこかでつながっているケースは少なくない。しかし、一方で事故・災害は待ってくれない。それどころか日増しにリスクは高まっている。ニューヨークを襲ったハリケーン(サンディ)、タイの大洪水、東日本大震災・・・日経ビジネスによれば、「10ヶ月に1回は世界のどこかで大災害が起きている計算になる」そうだ。

「よりいいものを!」は確かに顧客の持つ強いニーズだが、「事業継続できるものを!」も、また顧客の持つ強いニーズと言えよう。オンリーワン戦略は、供給者側にとって(生き残るために)重要だが、需要者側にとっては「よりいいものをより安全に」が重要となるわけだ。

供給者側はこのパラドックスを、解けるのか。あるいはパラドックスであるとおもうこと自体間違いなのか。今流行の事業継続計画(BCP)は、その答えとなるのか・・・。

「顧客のニーズ(課題)解決をできる企業が生き残る」という事実を念頭においたとき、日本企業は、果たして、どのような戦略をとることができるだろうか。

【関連リンク】
 ・日経新聞社(公式HP)
 ・Apple社(公式HP)
 ・シャープIGZO紹介ページ

===オンリーワンがリスクマネジメント戦略を凌駕!?(2012年12月23日追記)====
最近、読んだ記事に、企業が求める答え(選択肢?)の1つたりうるものがあったので、ぜひ紹介しておきたい。YKK株式会社会長の言だ。

『例えばジーンズの米リーバイ・ストラウスはかつて、部材については自社商品の生産に支障を来さないように2~3社から同等のモノを仕入れることができるようにする方針だった。ところが、当社からファスナーを購入するようになってからは当社1社にしたいと言ってきた。いいモノを責任をもって供給してくれるので、リスクヘッジのため複数社に発注するよりもYKK1社の方がいいという判断だった』(日経ビジネス2012年12月24日号 吉田YKK代表取締役会長兼CEOに関するインタビュー記事より引用)

うーむ。なかなか・・・色々ありますな。

2012年11月23日金曜日

映画: ミッション・インポッシブルⅣ

DVDで「ミッション・インポッシブルⅣ(ゴースト・プロトコル)」を観た。 

だが実は借りるまでにすごく・・・そう2週間近くも悩んだ。

毎週レンタル屋に足は運び、このDVDが目にとまるのだが、どうしても手を伸ばそうという気にならなかった。ミッション・インポッシブルは、なんだかんだで一作目から三作目まで全て観てきて嫌いではない。むしろ好きだ。だが、どうしても手が伸びなかった。

 なぜなのか!?・・・いや、くだらない理由だ。「自分の貴重な時間を、水戸黄門ばりのお約束ストーリーを見ることに費やすことに本当にいいのか!?楽しめるのか!?」。そんな理由だ。

 いま思えばDVDの前に立って「うーん、借りるべきか、借りざるべきか」と悩んでいた時間のほうがもったいなかった。さっさと観てハラハラドキドキ・・・そして爽快な気分を味わっておけば良かった・・・そう思った。

今回はなんと、トム・クルーズ扮するイーサン・ハントが所属するIMFが強敵出現により、解散の危機に追い込まれる。絶体絶命の大ピンチ。(例によってまさに)ミッション・インポッシブル(遂行不可能)!

単にハラハラドキドキだけではなく、コミカルなシーンもある。まさに喜怒哀楽・・・全てが2時間に詰まった映画であり、エンタメとして十分に完成された映画だと思う。

その意味では、先日観たバトルシップなんかよりはるかに満足度が高い。 2時間ほどリラックス・・・(ハラハラしてるときはリラックスにはならないが)・・・したい・・・そんな人にはもってこいの作品。


2012年11月18日日曜日

書評: 「進化する教育」 ~あなたの脳力は進化する!~

今週は献本サイトReview+(レビュー・プラス)からもらった宿題本。

「進化する教育」 ~あなたの脳力は進化する!~
大前研一通信・特別保存版 PARTⅥ
大前研一、ビジネス・ブレークスルー出版事務局 編著

本書は、大前研一氏が経営するMBA大学・・・ビジネス・ブレークスルー(BBT)大学とその提携校である豪州ボンド大学大学院・・・のプロモーション本である。プロモーション本とはつまり・・・、
  • BBT大学の教育理念とは何か?
  • BBT大学の特徴とは何か?
  • BBTのカリキュラムはどんなものか?
  • BBTに参加している人たちの声はどんなものか?

など、同大学について、あらゆる角度から解説をしている、という意味だ。200ページほどのボリュームがあり、あたかも”大学院パンフレットの超豪華版”といった印象だ。ちなみに紙版と電子書籍版の2つがあり、電子書籍版はiPhone、iPad、Android、Tablet版PCや普通のパソコンなどで閲読できる。

どれどれ・・・どんなことが書いてあるんだろう。

恐る恐る本を開くと、最初から大前研一節が目に飛び込んでくる。今の日本人が世界で戦えていないワケ(今の日本人に欠けているモノ)が、熱く語られている。

『・・・世界中どこに放り出されても裸一貫で生きていける「生存力」を子供に身につけさせる、これこそが教育の目的のはずなのである。ところが、いまの日本の学校はどうかというと、学習指導要領に基づいて、先生が生徒にこれが正しいという答えを教えるという愚行を、あいも変わらずやり続けている・・・。』

大前氏は「これからの人材に求められるモノ」を、はっきりと、IT力、論理的思考力、コミュニケーション能力(=英語)の3つだと主張する。まさにそれを提供する場がBBT大学であるというわけだ。

本書最大の特徴は、”分かりやすさ””具体性”に尽きるだろう。さすが、論理的思考力をウリにする大学だけあって、「主張」、「理由」、「それを裏付ける具体的な証拠」・・・全てが明瞭完結にまとめられている。思わず「一流コンサルタントが大学院パンフレットを作るとこうなる!」と言い換えたくなるくらいだ。また、授業で取り上げられたケーススタディ及びその時のオンラインディスカッションの生の記録(一部)が記載されており、BBT大学で実際に何が行われているかが手に取るようにわかる。通信制のMBA受講をとるべきかどうか悩んでいる人が知りたい情報全てが載っているといっても過言ではないだろう。

1つ・・・留意事項を挙げるとすれば、当然だが、本書はBBT大学の欠点についてはほとんど振れていないという点だ。先にも触れたように、おそらく「受講すべきかどうか」を検討する人が読む本だろうが、そこは冷静かつ客観的に読むように努めるべきだ。BBT大学は基本的に通信制大学院(わずかだがキャンパスでの授業もあるようだが)だ。だから、キャンパス通いで得られるメリットは享受できない。たとえば、私はヨーロッパの大学のフルタイムキャンパスでMBAを取得したが、そこには40超の国から参加した学生と触れ合うことができた。グローバルな付き合い方(グループワークで喧嘩したほどだ)、生きた英語でのコミュニケーション、国際的な著名人のひっきりなしの講演、海外工場の見学・・・など、キャンパスでしか体験できないこともある。7年経過した今だからはっきり言えるが、そしてこれらは全て今の仕事の糧になっている。

勘違いしてもらいたくないのは、BBT大学を否定するつもりは全くない、ということである。むしろ、大前氏の主張にも、同大学の意義・・・にも賛同している。お金と時間をかける以上、効果的・効率的な手段を選ぶのは当然だ。通信大学も選択肢に入れている人であれば、本書も1つの貴重な判断材料とすべきだ。

フルタイムキャンパスに通うのは難しい、時間もお金もそこまではかけられない・・・でも本気で今の殻を打ち破りたいと思っている・・・そんな30代前半から40代の闘うビジネスマン・・・色々な手段を知り、自分の将来の選択肢を増やす・・・そう考えている人に1500円(電子書籍は600円)は決して高くないはずだ。

【関連リンク】

2012年11月11日日曜日

顧客第一主義の意識を社内に根付かせる方法


ハーバードビジネスレビュー(HBR)2012年11月号の「How I Did it」(私はどうやったのか)は、ドイツの総合電機大手シーメンス社長兼CEOのピーター・レッシャー(Peter Loscher)氏の記事。

あのオリンパスのガバナンス問題が子どものように見える。シーメンスでは2007年とんでもない汚職事件が発覚した。事業受注をめぐり、各国の当局者らに13億6000万ドル(約1230億円)の賄賂を贈っていたことが分かったのだ。結果、2008年12月には米国やドイツ当局に総額約10億ユーロ(約1240億円)の制裁金を払うこととなり、当時の社長は引責辞任した。

ちなみに株価の変動を見る限りでは、この事件がどれだけ組織の企業価値に影響を与えたのか、よく分からない(あまり下がってないような・・・(-_-;) )

まさにこの苦難の時期に社長を引き継いだのが、この記事の主人公、ピーター・レッシャー氏だ。彼はいわゆる”プロパー”ではなく、ゼネラル・エレクトリック(GE)から引きぬかれてやってきた外部の人間だ。そんな彼が、どうやってこの組織を建てなおしたのか。

「人の意識を変えなければならない。しかも100年以上も続いてきた意識を・・・」

気の遠くなる仕事・・・それだけは容易に想像がつく。

記事にはビジネスに参考になる話がたくさん見つかるが、中でも「顧客第一」を社内に浸透させるため彼がとった手段の1つが印象的だった。

全てのCEOと役員の前年度の(アウトルック)カレンダー履歴をひっぱってきて、過去1年間に彼らがどれだけ顧客に会っていたか・・・その時間をグラフ化しランキングをつける・・・これを毎年続けるようにしたそうである。

最初の3年間こそ、(本人曰く、残念ながら・・・)社長であるピーター・レッシャー氏自身が1位だったらしいが、その後、ランキングが変わっていったとのこと。

このような話を聞くと「カレンダーなんぞに登録された情報に果たしてどこまで信ぴょう性があるのか」「顧客にどれだけ会ったかが、本当に”顧客第一”につながるのか」「CEOや役員の間に数値で優劣をつけて関係がぎくしゃくしないか」など・・・わたしのような素人は、ついつい「できない理由」をすぐに挙げてしまう。

しかし実はこれほど、シンプルかつ明瞭で、実践的な手段はない・・・かもしれない。本当にレッシャー氏自身が考えついたの?と勘ぐりたくなるほど、いいアイデアだ。きっと、前職とか顧客などからヒントを得たに違いない・・・。まぁ、それはさておき・・・、その効果の程はどうだったのか? 

「”顧客に耳を傾ける”というビジネスの原点」
「それを何としてもやりとげるという社長の強い意思」
「そしてそれを実践させる明瞭簡潔な手段」

とても勉強になった。

HBR 2012 Nov
【関連リンク】

2012年11月8日木曜日

書評: これが週間こどもニュースだ

「クローン人間はなぜダメなのか?」

これを小学生に伝えなければいけないとしたら・・・あなたならどう伝えるだろうか? 知りたい方はぜひ次の本を読んでいただきたい。

これが週刊こどもニュースだ
著書: 池上彰
出版社: 集英社文庫

この本を読むと
  • 人にわかりやすく伝えることがいかに大切か?
  • 人にわかりやすく伝えることがいかに難しいことか?
  • どうすればわかりやすく伝えられるのか?
が分かる!

なお、タイトルにある「週刊こどもニュース」とは、大人向けに報道されるニュース番組の内容について、子供にも理解できる言葉に噛み砕いて解説するNHK番組のことだ。ちなみに、番組は1994年10月から放映が開始され、2010年12月19日に放映が終了している。

■「週刊こどもニュース」を徹底解説

本書は、「週刊こどもニュース」の(初代)メインを担当した池上彰氏が、番組の表側と裏側を余すところなく紹介したものだ。

ここで言う”表側”とは番組でとりあげた時事ニュースやそこで使われる専門用語の解説そのもののことである。本では「日本銀行」にはじまり、「ゼネコンの談合」、「政治家の不正経理処理」、「衆議院と参議院」、「比例代表制度」、「逮捕状」、「警視庁と警察庁」、「GDPとGNP」、「円安と円高」などなど、子供のみならず一般の大人でも、正しく理解できてなさそうな基本用語について解説している。映像番組とは異なり、文字だけに頼った説明(多少、挿絵もある)ではあるが、いわゆる”今更、人には聞けない”事柄について知ることのできる、絶好のチャンスだ。ここで詳しくは紹介しないが、興味のある方はぜひ本を手にとって確認して欲しい。

”裏側”とは「番組編集側がニュースの中身や専門用語を視聴者にわかりやすく伝えるためにどんな苦労・工夫をしたか、発見があったか」といった裏話のことである。たとえば「日本銀行」の役割を説明する際に、お金を”血”、日本銀行を”心臓”に例えた話や、「談合」の意味を理解してもらうために、実際に演劇仕立てにした話など、が紹介されている。この”裏側”を読んでいると、単に”伝え方の技法”だけでなく、何かを人に伝えることの難しさ、それでいてなお、伝えることの意義について、気づかされる。

まさにこの点で印象的だったのが「職員のカラ出張問題について浅野知事が、子供インタビュアーからインタビューを受けた際」の事例話だ。

(池上氏)『浅野知事はカラ出張について、当初は「公金支出の不適切な処理」などと説明していたのですが、子供には通じません。なんとかわかってもらおうと表現に苦労しているうちに、とうとう知事は、「要するに、ウソついちゃったんだよ」と言ってしまいました。これを聞いた子供は、「えー、ウソついたのー?」と反応し、カラ出張の意味がようやくわかりました。」 この発言について知事は、後日、「子供になんとか理解してもらおうと苦心しているうちに思わず出た言葉だったが、このようにわかりやすく表現したことで、たいへん悪いことをしていたことがはっきりした」と述懐しています。』(本書より)

「”理解した”とは、それを他人に分かるように伝えられてはじめて言えることだ」とは良く言ったものだが、はからずも、子供に正確にモノゴトを伝えることを通じてコトの重大性を真に理解できた、ということなのかもしれない。

■「伝える」→「理解する」→「疑問を持つ」→「鵜呑みにしないクセがつく」→「考えるクセがつく」

ところで興味深かったのは、本書を読んだお陰で多くの疑問が解決できた・・・のではなく、むしろ疑問が増えた、ということだ。

たとえば温暖化についての話を読んだ時のこと。

『氷が溶けて海の水が増えます・・・(中略)・・・気をつけなくてはいけないのは、氷山が溶けても海の水は増えないということです。これ小学校の理科でやりましたよね。南極の(大陸の上に乗っかっている)氷が溶けて一部氷山になって海にただよいだせば、その段階で海水面が上昇しますが・・・』(本書より)

これを読んで「おー、そうだよな。今まで何も考えず、南極の氷山が溶ければ海水面が上がると考えてたけど、既に海に浸かっている・・・というか、浮かんでいる状態の氷は、溶けても海水面に影響を与えないよな。」と改めて理解したわけであるが、その瞬間、次のような新たな疑問がわいたのである。

「あれ、でもテレビでたまに”北極・南極の氷が溶けて海水面が上がるので・・・”といっているのは間違いじゃないのか? なぜなら、北極に大陸はなく、あるのは全て海に浮かんだ氷の塊なのだから・・・」。

理解がまた新たな疑問を呼ぶのである。本書を読みながら、わたしも何度、インターネットで調べ物をしたことか・・・。しかしながら、このように新たな疑問を持てることは大変素晴らしいことだと思う。疑問を解決するために自らまた調べ始めるわけだが、こうしたプロセスを繰り返していくうちに「何かをすぐに鵜呑みにしないクセ」すなわち、「自分で考えようとするクセ」が身につくからだ。

本書のお陰で、”人に伝えること”が究極的にどんな意味を持つか・・・、その本質を理解できたような気がした。

■とにかく読むのが楽しい本

池上氏の著書には「伝える力」という本があるが、”伝え方の技法”、”何かを人に伝えることの難しさ”、”伝えることの意義”を理解するという点では、「こどもニュース」にまさるものはないのではなかろうか。楽しみながら読める本・・・という点でも、秀逸である。

「週間こどもニュース」を見たことのない方、あるいは、本書を読んだことのない方は、ぜひ、ご一読あれ!

【類書】
 ・伝える力(池上彰)

2012年11月3日土曜日

トップによる透明性の貫徹

2012年11月5日号「日経ビジネス」。

「実践の奥義」・・・は、米P&Gアジア統括責任者、桐山一憲へのインタビュー記事だった。ワークライフバランスが主な話のテーマだったが、氏の次の一言が印象的だった。

『(部下にはワークライフバランスの重要性を説いておきながら)社長は別だ、俺がやるわけにいかないよ」というのは、少なくともP&Gでは通用しない。働く前提条件に関しても、自分が音頭をとる以上は、同じでなければならい。この「透明性の貫徹」は、トップに立つリーダーにとっては一番タフな仕事だと言える。』

タフな仕事・・・いや、すごく実践が難しいと思う。トップに立つ人には、仕事が山ほどある。でも、実践しなければならない。そして実践する。

僕も最近そんな境地に立っているので、妙に共感できた。

日経ビジネス2012年11月5日号

書評: 3 行で撃つ <善く、生きる>ための文章塾

  「文章がうまくなりたけりゃ、常套句を使うのをやめろ」 どこかで聞いたようなフレーズ。自分のメモ帳をパラパラとめくる。あったあった。約一年前にニューズ・ウィークで読んだ「元CIAスパイに学ぶ最高のライティング技法※1」。そこに掲載されていた「うまい文章のシンプルな原則」という記...