2011年5月2日月曜日

日経コンピュータ2011年5月12日号 「真実のデータをつかめ」

会社で「日経コンピュータ」を購読している・・・(それにつけても日経BP社の雑誌に取り囲まれ過ぎかもしれない(苦笑))。自分はもともとシステムエンジニアだったので、コンサル中心の業務に従事する今でもIT系には強い興味があり、こうした雑誌にもほぼ毎号目を通している。


■リアルタイムデータウエアハウス

2011年5月2日号の特集は「真実のデータをつかめ」。ITの世界では、ストレージの大容量化をはじめCPUの高速化といったハードウエア性能の劇的な向上が、ソフトウエアの進化とあいまって、経営者の欲しい情報がよりスピーディによりわかりやすい形での提供を可能にしてきた。特集では、「真実のデータ」を即時に利用者に届けるリアルタイムデータウエアハウス(リアルタイムDWH)について、北陸コカコーラや双日の事例を紹介している。

■節電とIT

このほか、やはり東日本震災絡みのネタははずせない。「節電とIT」をテーマにした記事も掲載されている。

記事では、情報システム部門が夏前に実戦可能な節電対策として「1. データセンター事業者に預ける」「2. 西日本・北海道に移設する」「3. 場所は変えずに節電する」といった3つの選択肢を紹介している。

ここで個人的に注意を喚起しておきたいのは、やはり”システム停止を発生させないための対策”も大事だが、”システム停止が発生した場合の対策”も大事、ということだ。これは福島第一原発の事故で多くの人が嫌というほどその大切さを味わったはずだ。節電が功を奏せず停電が起きたときに「どのようなインパクトがあるのか?」「耐えられるのか?」「耐えられないのなら、何か事前に準備しておいたほうがいいことはないか?」そういった(BCP的な)観点で自社のシステムを見つめ直す時間を数時間でもとる・・・これが重要だと思う。

■動かないコンピュータ

今号で一番面白かった・・・(いつも、おおよそ同じ類の記事に反応ばかりしているが)のが、≪動かないコンピュータ≫である。

ここでは資格取得に関わるサービスを提供することで有名なTAC(タック)において起きた事件を紹介している。タイトルは「予備校システムの刷新を注し 開発費の返還求めベンダーを提訴」。内容はざっと次の通りだ。

TACがシステム刷新を注しせざるを得なかったとして、委託先の加賀ソルネットを提訴。TACは5億1300万円の損害賠償を請求。加賀ソルネットは「システムは完成していた」と反論、未回収の2億1000万円を求めて反訴した。』

ITベンダーの人は「またか!?」と思うだろう。ITシステムが高度化・複雑化した世界では、開発プロジェクトは長期にわたり、なかなか、プロジェクト管理もさることながら、顧客の期待値調整を図ることはかなり難しい。スルガ銀行が勘定系システムの開発案件について111億円をIBMに求めた裁判を起こしたことはまだ記憶に新しい(2008年3月のこと)。

ただ、この記事が興味深いのは、受託側である開発会社の加賀ソルネットは実際の開発を更に別の会社に委託していたのだが、そこがプロジェクト期間中に倒産してしまったことである。これがプロジェクトの歯車を大きく狂わせたのは間違いない。記事を読むと、裁判にいたる全過程が説明されているが、裁判に訴える手前の最後の方の両社のやりとりは「どちらが正しい」とかそういった次元の話ではないような印象だ。完全にお互いに対する信頼残高がなくなった状態でプロジェクトを進めようとすれば、負のサイクルに入ったも同じで、どんなに”正しいこと”をやっても、よっぽど歩み寄る努力をしない限り、そのサイクルからは抜け出せない。裁判への道まっしぐらである。

ある意味人間の心理に近い。おそらくこうした裁判はこれからもなくならないだろう。

0 件のコメント:

書評: 3 行で撃つ <善く、生きる>ための文章塾

  「文章がうまくなりたけりゃ、常套句を使うのをやめろ」 どこかで聞いたようなフレーズ。自分のメモ帳をパラパラとめくる。あったあった。約一年前にニューズ・ウィークで読んだ「元CIAスパイに学ぶ最高のライティング技法※1」。そこに掲載されていた「うまい文章のシンプルな原則」という記...