・石原慎太郎氏(無所属)
・渡邊(わたなべ)美樹氏(無所属)
・東国原英夫氏(無所属)
・小池晃氏(無所属)
・ドクター中松(無所属)
・谷山裕二朗氏(無所属)
・マック赤坂(スマイル党)
・古川圭吾氏(無所属)
・姫治けんじ氏(平和党核兵器廃絶平和運動)
・雄上統氏(東京維新の会)
・杉田健氏(新しい日本)
とりわけメディアでとりあげられているのは石原氏、渡邊氏、東国原氏の3人。やはり、都知事選は知名度や圧倒的な実績がモノを言うからだろう。この3者のうち、渡邊氏と東国原氏は、本当にここつい最近、本を出している。もちろん、政治活動を意識してのものだ。
【渡邊 美樹氏】
「東京を経営する」 ~私なら東京をこう変える~
サンマーク出版 1,300円
【東国原 英夫氏】
「日本改革宣言」 この国はこのままでいいはずがない!
アントレックス出版 630円
というわけで先週、(読書の遅れを取り戻すためもあって)この2冊を同時に読んだ。
「東京を経営する」(渡邊 美樹氏)
渡邊氏は、郁文館夢学園(いくぶんかんゆめがくえん)という学校経営や、ワタミの介護株式会社という老人介護ホームの経営を行ってきた。神奈川県教育委員会教育委員を努めた。
「東京を経営する」で氏は、自分の生い立ちや、経営者の立場から現在感じている行政への不満、自分ならこうするという意思表明を行っている。氏の”生い立ち”については、高杉良氏の「青年社長」で良く知られているところだが、何度読んでも「揺るぎない強い意志を持つ心温かい経営者」という印象は変わらない。氏の施策は、最大多数の人の幸せを狙いとした(特に)「教育」と「介護」への取組み。その強い意志を示すかのように、本には「高齢者が安心して暮らせる社会」、そして「子供が夢を描ける社会」という章が設けられている。
こうした「教育」や「介護」に対して氏が思いをはせる原動力は何だろうか?それはやはり、経営者・教育委員会教育委員として携わってきたときにぶつかった”どうにもならない”政治的な壁だろう。たとえば、氏は大きな不満の一つとして「公私間協議」を取りあげている。「公私間協議」とは、公立学校と私立学校とが、それぞれの受け入れる生徒数を決めるための協議のことだ。この協議で「子供第一」ではなく「経営第一」というスタンスで、経営の苦しい私立のために公立で生徒を受け入れる生徒数を減らしてくれ、というやりとりが行われていたそうだ。
この本の中で氏が持つ格言がいくつか紹介されている。私が個人的に気に入った発言を一つ挙げておく。
「困難から逃げてはいけない。楽な道と苦しい道と二つあれば、苦しい道を選べ。それが自ら成長させる正しい道である。」
ちなみに、この本はハードカバーで200ページ弱・・・1,300円。ちょっと手を出しにくいといった印象。
「日本改革宣言」(東国原 英夫氏)
東国原氏は、お笑いタレント”そのまんま東”から転身、早稲田大学第二文学部へ入学。卒業後も同学政治経済学部に再入学して地方自治を専攻。宮崎県知事として約4年間活動してきた。
「日本改革宣言」で氏は、渡邊氏同様、自身の生い立ちをはじめ、宮崎県知事として活動してきた際の実績、その際にぶつかった壁、どうしても取り除けない壁など、について触れている。タイトルにも現れているとおり”東京”というよりも”日本”を意識していることが伺えてとれる。事実、本の中で氏は向こう10年~15年を国家存亡の危機の分かれ目と位置付け、フォーカスすべきテーマとして次の3つを挙げている。
・少子高齢化の打破
・国と地方の財政難の打破
・経済の低迷の打破
ちなみに、氏の東京都知事選への出馬表明は3月24日である。他の後者に比べても著しく遅かったことから、ぎりぎりまで国政へ打って出るべきかどうか、迷っていたことをうかがい知ることができる。都政が持つ影響力も魅力的なはずであり、そういった意味で今回、知事選へ出ることを意志決定したのだろう。
やはり地方の政治をこなしてきただけあって、彼が本の中で述べる実績や考え方を「都でもぜひその力をフルに発揮していただきたい」と思いたくなるものである。奇しくも、今、日本は東日本大震災という未曾有の危機を迎え、強力なリーダーシップ力が求められる時期にある。鳥インフルエンザや口蹄疫(こうていえき)の危機管理対応で前線に立って闘った氏の話は、彼のリーダーシップ力を顕著に物語っており、頼もしくうつる。
この本の中で私が、個人的に気に入った彼の”格言”を一つ挙げておく。
「真摯な姿勢、硬い岩をも穿つ」
都政を担うリーダーの意志をしっかり知っておくために読むべき
都政・・・というと、「東京都民にしか関係ない」と一瞬思ってしまうかもしれないが、そんなことはない。日本で一番ステークホルダーの多い街だ。昼間人口は、1,500万人。文化、法規制、ビジネス・・・色々なものが東京を中心に動いている。渡邊氏も著書の中で触れているが、1999年に石原都知事が提起したディーゼル規制(「環境確保条例」)が都政の力を示している良い例だ。「環境確保条例」は、埼玉県、千葉県、神奈川県が続き、最終的には環境庁も、これにおされる形で法改正を行った。
それだけの影響力を持つポジションに、次は誰が立つのか知っておきたい、いや、知っておくべきだろう(気持ち的には、昼間人口を担う我々にも投票権を与えて欲しいくらいだが・・・)。
もちろん、リーダーが誰になるか分かってから読むのでも遅くはない。
都政にワクワクしたい・・・
さて、書評から少し離れるが、今回の都知事選は面白そうだ。未曾有の大危機の最中ということもあり、先に挙げた三候補者とも重点施策に災害対策を含めているが、それぞれ特徴がある。
現職であること、そして、危機管理対応の最中に行われる都知事選になるということもあり、最も有利なのは石原慎太郎氏だろう。新銀行東京など色々な問題などとりざたされることもあるが、それを超える実績を多く残していると思う。政見放送では、政府が東京都の財布からもぎとって行く3000億円を奪い返して、災害対策に振り分けると言っている。頼もしい。
渡邊美樹氏は、不景気にあっても、経営者として数々の雇用を生み出してきた。「介護」「教育」というテーマで、高齢者や子供を抱える親といった多くの有権者層へアピール。氏の実行能力に疑いの余地はない。真の”有言実行”が当てはまる人だ。
東国原英夫氏、先述したように宮崎県で見せた鳥インフル対応や口蹄疫対応での強力なリーダーシップ力には定評がある。日本のセールスマンとして物怖じしない彼が世界でどんな活躍をできるか、それも見物である。
この誰が次の都知事になっても大きな問題はないだろう。少なくとも、今の菅内閣よりは日本に良い意味での大きな影響をもたらしてくれるはずだ。ただし、個人的には渡邊美樹氏を応援したい。石原慎太郎氏は三期を務めた。石原都知事がどんなに素晴らしくても、目の届いていない場所がたくさんあるはずだ。そこを違う人による違う視点で補う時期に来ているのではなかろうか。
わがままを言わせてもらうならば、渡邊美樹氏が都知事で、東国原英夫氏が副知事・・・こんな組み合わせなんてどうだろうか。
都政にワクワクする・・・そうなれば、こんなに素敵なことはない。
※「日本改革宣言」がオンライン書店で見つからなかったため、ここには貼り付けてません。見つかれば貼り付けるようにします。
1 件のコメント:
都知事選の結果は、予想通り・・・に、石原慎太郎氏が当選。次点は東国原氏。3番目に渡邊氏。
別に良いんだけど・・・なんか、ワクワクしてこない。
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